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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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97 SUGO決勝3

SUGOの決勝レース序盤、スローペースだったレースでしたが、杏香が先陣を切って飛ばし始めたため松島から攻められています。

 第8戦スポーツランドSUGOでの決勝です。


 トップは中森(なかもり)、2番手に本多(ほんだ)君、3番手に松島(まつしま)、4番手に杏香(きょうか)、5番手パンドラー、6番手に結菜(ゆいな)です。


「ちょっと翔吾(しょうご)さん、チームのパドックへ戻らなくても良いんですか」


 私はちょっと邪魔者扱いのように言いました。


「大丈夫だよ! うちには優秀なスタッフが揃っているから」


 いや、別にそんな事を訊いてる訳ではないです……


 そんなやりとりをしていた時……


「中森ピットインです」


「えっ、今何周目?」


 私は驚きました。うちのタイヤ交換は20周目を予定してたけど……


「今、16周目です」


 結構早い時期に交換して来たな……


「本多もそろそろ入れますか?」


 山口(やまぐち)君がそう言いますけど……


「うーん、そうね……」


「いや、中森がニュータイヤならあったまるまで3LAPくらい掛かるから、20LAPまで走って差を開いた方が良いんじゃないか」


 (げん)さんの話には説得力があります。


「それじゃ、本多君を20LAP目、杏香をその後に」


 そう指示を出している時でした。


美郷(みさと)さん、小さいゴミみたいのが飛んでくるんだけど』


 杏香からそう無線が入りました。


「小さなゴミって……」


「それって、マーブルじゃないのか」


 山口君がそう言ってますが、マーブルというのはタイヤの状態が悪くなって表面が剥がれ出るタイヤカスの事で、形がマーブルチョコに似てるのでそう言われています。


「レース前半から激しい走りをしたから松島のタイヤはかなりやばいんじゃないかな」


 という事は、杏香のタイヤもやばいんじゃないの……


「杏香、あなたのマシーンのタイヤはグリップ大丈夫? ちゃんとブレーキは効いてる?」


 私がそう訊いたら……


『えっ、問題ないよ』


 まあ、杏香がそう言うなら大丈夫かな……


「今、中森がピットアウトしました」


 本多君が馬の背コーナー、杏香がバックストレートだから30秒くらいは先行してるかな。


「美郷さん、杏香を先に入れよう!」


 源さんと山口君です。やっぱり杏香のタイヤもかなりやばいんじゃないかという事のようです……


 その時、最終コーナーを回った杏香はメインストレートを通過して行きました。


 でも松島は、最終コーナーの坂を登ってなんとかピットインです。


「杏香、次ボックス!」


『えっ、本多さんが先なんじゃ……』


「状況が変わったのよ」


 まったく、自分のタイヤの痛み具合も解らないとは……


『了解』


 まあ、これで、本多君の独走かなと思いましたけど、彼もこの後タイヤ交換しないとだから、中森の前に出れるかな……


「小山内ピットイン!」


 急いで交換をします。この後本多君も交換に来ますからね!


「OK GO!」


 6秒くらいでピットを出て行きました。杏香は中森と松島の間に入り現在3位です。


 でも……


「本多ピットインです!」


 これで、杏香は2位だけど…… 本多君は中森の前に入れるのかな……


「OK GO!」


 本多君がピットアウト、しかし、中森が最終コーナーを回ってメインストレートです。


「ギリギリ行けるか」


「いや、中森が速かった……」


 やっぱり、ピットロードはスピードが出せないから仕方ないよね。


 結菜の方は、タイヤ交換の合間にパンドラーを抜いて5位です。彼女も速くなりました……


 ここで順位を整理すると、トップが中森、2番手に本多、3番手に杏香、4番手に松島、5番手に結菜、6番手にパンドラーと上位はこんな感じです。


 あとは、最後まで走り切れれば良いんだけど…… そろそろタイヤも温まったから後半戦のバトルが始まりそうです。


「パンドラーが結菜をロックオンです」


 最終コーナーからメインストレートはかなり登っているので、ここでパンドラーは結菜を追い抜きました。


「結菜はアクセルワークが甘いな……」


 ボソッと翔吾さんがそんな事を……


 先頭の中森と2番手本多君が最終コーナーを回ってメインストレートへ本多君が中森の背後にピッタリ着いています。


「本多君、行け!」


 私はつい叫んでしまいました。彼にとっては今季限りで終わりだからタイトルを取って欲しいですから。


 まあ、杏香もだけど彼女はまだ1年目だからね……


 本多君は、メインストレートで中森を抜いてトップに立ちました。そのすぐ後ろを杏香、松島、パンドラーが追います。


 第1コーナーから第2コーナーへと集団が流れて行きます。


 松島が杏香の背後にピッタリと着いています。その後ヘアピンコーナーでインをつかれ杏香は4位に後退です。その先のS字コーナーに差し掛かった時、松島がトップ2台に急接近、本多君がコーナーの外側にスピン! というより弾き出されたような? 中森もスピードダウン、その隙を松島が狙いますが、中森が阻止します。


「今のは接触があった……?」


「本多と中森と松島で接触があったんじゃないかな?」


 源さんもそう見たようです。


 そして、4台のマシーンが戻って来ますが、トップに中森、2番手に松島、3番手に杏香、4番手に本多君ですけど、タイヤが可笑しいです。


 最終コーナーを登ればピットイン出来ますけど……


「本多君、ピットへ戻れる?」


『ピットには戻れそうだけど、もう走れないかな……』


 その後、後続に抜かれながら本多君はピットへ戻って来ました。


「S字コーナーで接触した。相手は松島なのか中森なのかは判らない。でも、あの二台も接触していて、俺はこのザマだ……」


 そう言って本多君はマシーンを降りました……


「マシーンの左後輪に接触があったようだ。ロッドが変形してサスが壊れてる」


 源さんが的確に判断しています。


「すみません……」


 こうして本多君のレースは終わりました。


 その後、決勝レースは順位を変える事なく完走して終了しました。


「やっぱりSUGOには魔物が住んでるな……」


 源さんはポツリとそう言いました。

レース後半、本多、中森、松島の接触があり、本多君はリアタイヤが接触した事で、サスが壊れてリタイアです。杏香は……

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