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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
87/132

87 ペナルティ

本多君は久々のポールポジションです。だから、今回は優勝させてあげたいんだけど……

 ピットウォークは、お昼前から四十分行われました。

 毎回の事だけど、沢山のファンの方が来てくれます。本多(ほんだ)君も杏香(きょうか)も対応するのは大変だけど、レースアンバサダーの斎藤(さいとう)さんと柚月(ゆづき)さんがサポートしてくれるのでかなり楽だと思います。


 ピットウォークの後は、決勝レーススタートまで休憩です。決勝スタートは15時の予定です。


「杏香、一緒にお昼食べない!」


「うん、良いよ」


 性懲りも無く結菜(ゆいな)がうちのパドックに来ています。まあ、オーナーが許しているし、来シーズンは……


「ねえ、何食べようか」


「私、パスタにしようかな」


 楽しそうな二人を見てると、来シーズンが楽しみでもあります。


 あれ、でも、そうなったらどっちがファーストドライバーなんだろう…… 実力的には杏香だけど、team SHOWGOに移籍する訳だから結菜がファースト?


 まあ、どっちでも良いか……





 決勝レーススタート三十分前です。各マシーンはスターティンググリッドに着いてグリッドウォークです。


「杏香、ウイングはそのままで大丈夫か!」


 (げん)さんに訊かれてます。


「うん、大丈夫! こっちの方に慣れたから問題ないよ」


「うん、でも気を抜くなよ!」


「解ってるよ! それより、マシーン重量を勝手に増やさないでね」


 杏香が言っているのは、昨日のレースで山口(やまぐち)君と源さんの二人でバラストの量を8kgこっそり増やしていた事です。


「いや、ウイングの件もあったから……」


 源さんは弁解してるけど……


「だからストレートでスピードの伸びがないと思っていたんだよね」


 いや、8kg増えただけでストレートのスピードって変わるものかな……


 まあ、今回は設定を682kgにしたみたいです。


「杏香、水分をちゃんと摂るのよ」


「うん、解ってる!」


 ちょっと世話を焼き過ぎだったかな……


 杏香とそういう話をしている中、柚月さんは苦笑しながらパラソルで、杏香に日陰を作っていました。


『グリッドウォーク終了』


 さて、いよいよ決勝レースのスタートですが、まずはフォーメーションラップです。


 ゆっくりとマシーンを動かしコースを一周します。ポールポジションの本多君、2列目4番手の杏香と3列目5番手の結菜ですけど、昨日みたいにスタート直後に順位が逆転するんでしょうか? それとも杏香が引き離してしまうのか……


 各マシーンが再びグリッドに着きました。後方ではグリーンフラッグが振られ、レッドシグナルが灯ます。


 そして、レッドシグナル五つ灯ったすぐにブラックアウト! レースがスタートしました。


 その時、5番手の結菜が杏香の右側を通り抜き去って行きました。


『うわーっ、またやられた!』


 杏香がそう言いながら、第1コーナーへ向かいます。


 まったく、同じ手を二度も許すなんて……


 これで杏香は5番手ですが、結菜を抜き返さないと上位3台のマシーンに置いてきぼりになります。


 なんたって結菜は、ストレートが遅いから……


「杏香、慌てないで! 昨日もタイヤ交換で追い抜いているから」


『でも、松島(まつしま)中森(なかもり)に差をつけられるよ』


 まあ、杏香の気持ちは解るけど……


「杏香、今回は本多君が先頭にいるから援護にまわって!」


 杏香は昨日優勝してるから、今回は本多君に勝たせてあげたい。私も甘いかな……


 でも、チームってそんなもんじゃないかな……


『うん、解った……』


 杏香としては、納得いかないかもしれないけど、あなたはセカンドドライバーなんだから、本多君も悔しい思いをしてるんだからね。


 一方、ポールポジションからスタートした本多君は、松島と中森との差を広げながらトップをひたすら走ります。


『美郷さん、小山内は4番手を走っているか!?』


 本多君が無線でそう訊いて来ました。


「杏香は今、5番手よ! スタート直後に結菜に抜かれたから……」


『まったくあいつは何をしてるんだ!』


 まあ、そう言わないであげてね! 本多君だって今回は調子が良さそうだけど、前のレースまでは今ひとつだったよね! と私は心の中でそう思いました。


美郷(みさと)さん、タイヤ交換の準備終わりましたよ」


 山口君がパドックに来て、私にそう報告しました。


「うん、それじゃ15LAPくらいに本多君のタイヤ交換を先に

します」


「了解」


 山口君は笑顔でそう返事をしてピットへ戻りました。


 まあ、山口君としては本多君がトップを走っているからこのまま良い条件でと思っているんだと思う。


 周回を重ね12LAP目の時でした。近くのパドックから『あーっ!』という大きい声が聞こえました。


「何、どうかしたの?」


「まったく、ドライブスルーかよ!」


 今度は、はっきりと聞こえました。誰だろう……


 『D070』の表示が出ています。


「木村は何かやらかしたみたいだな」


 深田GMがパドックに来ました。


「GM、これってteamSHOWGOの結菜ですよね……」


「ああ…… 翔吾(しょうご)君も大変だ」


 『D070』のDとはドライブスルーで070は、カーナンバーを意味します。


 つまり、カーナンバー70番は3LAP以内に指示に従いピットロードを通り抜けないといけないのです。


 結菜は、なんらかのレギュレーション違反をしている訳ですけど、何をやらかしたのか……

結菜にドライブスルーの指示です。


ドライブスルーは『D070』のように表示されます。これは、ドラブスルーカーナンバー70という意味で、ピットロードへ入り速度を落としてピットロードを通過しなさいという意味です。『P070』というのもあって、これはピットストップとカーナンバーを意味します。ピットストップは、ピットロード内の所定の場所に5秒から10秒停止するペナルティです。

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