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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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85 移籍!?

来シーズン、本多君のWEC移籍が伝えられました。それに伴い新しいドライバーをと思ったのですが、teamKAEDEは来シーズン休止となってしまいました。私達は、杏香は、これからどうなるのか……

 まさか、オーナーから来シーズンteamKAEDEの休止が言い渡されるとは……


小山内(おさない)さんについては今シーズンは無理だけど、来シーズンの成績次第ではF2へ行けると思いますよ」


 オーナーはそう言いますけど…… いや、そうじゃなくて、だからteamKAEDEは……


「でも、チームは休止なんですよね!」


 私は来シーズン何をしようか……


(せい)ちゃん、俺たちはもう終わりなのか……?」


 私達の悲観的な顔を見たオーナーは……


「何を勘違いしているんだ! teamKAEDEは休止するけど、teamSHOWGOがあるんだから、そこで一生懸命頑張ってもらわないと困る!」


 顔色を変えてオーナーに怒られてしまいました。


 えっ、どういう事?


「小山内さんも北島(きたじま)君もスタッフの面々も、teamKAEDEから teamSHOWGOへ全員移籍してもらう! ただ、他のメンバーにはまだ言わないでほしい。余計な心配を掛けたくないから……」


 移籍! 私達全員が…… はあ、思考回路が追いつかなくて頭が痛いです。


「はあ、なんだ、そういう事か、良かった…… まだ家のローンが残っているからな」


 深田(ふかだ)GMはひと安心のようですけど、理解出来たの?


「あっ、(ひで)ちゃんには俺の手伝いをしてもらいたい」


「えっ、何を?」


「心配しなくても、今まで通りの報酬を出すよ」


「はあ……」


 本当、何を考えているのか…… オーナーの考えている事はよく解りません。


 一方、何も知らないスタッフは、いつも通り暴飲暴食状態ですけど…… 何も知らない人達は良いな……


「あっ美郷(みさと)さん、そろそろお開きにしましょうか」


 珍しく山口(やまぐち)君からそう言われました。まあ、いくら飲んでもノンアルビールじゃ酔えないもんね!


「あっ小山内さん、サインをお願いしても良いですか?」


 大将が色紙とマジックを持ってお願いしてます。


「良いですよ!」


 そう言って杏香(きょうか)結菜(ゆいな)は仲良くサインをした後、大将と握手をして、スマホで写真も撮りました。


「ありがとうございます。また来てくださいね!」


 そういう事で、今日のプチ祝勝会はお開きになりました。




 日曜日、第7戦富士スピードウェイでのダブルヘッダー後半戦です。十時から予選Q1A組が始まります


「美郷さん」


 昨日、あんな事を訊いた後のレースなんて……


「美郷さんってば!」


「えっ、杏香……」


 私は慌ててしまいました。昨日の事を考えている時に彼女に声を掛けられ気付きませんでした。


「どうかしたんですか?」


「ううん、たいした事じゃないから」


 いや、たいした事です……


「たいした事じゃないって何か

あったの?」


 うーん、どうしてこういう事に敏感なのかな……


「何でもないよ、それより今日もQ1A組でしょう早く行かないと」


「あっ、そうだった」


 そう言って杏香はマシーンがあるピットへ行ってしまいました。


 はあ、この状態で残り3戦をやらなきゃ駄目なのか……


「美郷さん!」


 今度は私の側に(げん)さんが来ました。


「源さん、そろそろQ1が始まりますよ」


 私がそう言ったときでした。


「清ちゃんは何を企んでいるんだ!」


 そう訊かれました。


「えっ、オーナーは何かするつもりなんですか?」


 私は表情を変えずに訊きました。


「ああ、朝から秀ちゃんがよそよそしい態度だから訊いたんだが、何も教えてくれなかった。こういう時は大体何か隠している事が多いんだが……」


 ハハ、源さんは何も知らないんだ、羨ましい……


「私は何も知りませんけど……」


「そうか、あいつ今度はF1のチームでも作る気かな……」


「えっ、F1のチーム?」


 何言ってるのこの人?


「美郷さん、今のは内緒な!」


 そう言って源さんはピットへ戻って行きました。


「美郷さん、1分23秒112です」


「えっ、何が?」


「美郷さん、ふざけてます? 予選始まってますよ!」


「はい、すみません……」


 私は、小林(こばやし)さんに怒られてしまいました。それもこれも昨日のオーナーの話が、重くのしかかっているからです。はあ…… 知らない方がどれだけ幸せか……


 杏香は何も知らずに楽しそうに走っています。杏香がもし、ホンダからトヨタへ移籍って知ったらどう思うだろう……


「美郷さん!」


 今度は、本多君が側に来ました。


「どうしたの? もうすぐQ1B組でしょう」


 私がそう言った時でした。


「来シーズンWEC行きが決まりました」


 本多君からそう訊きましたけど…… いや、それ言って良いの? 私はそう思いました。


「美郷さん?」


「あっ、えっ、そうなんだ…… どこのチームに行くの?」


 私が訊くと……


「アコーディスASPというチームへ行きます。あそこのマシーンはレクサスだから乗り慣れているから」


「そう、良かったね」


「はい」


「頑張ってね」


 私がそう言った後、彼はそのままピットの方へ行ってしまいました。はあ、彼の移籍先はオーナーが探したんだよね……


 それって、teamSHOWGOの件やteamKAEDEの休止も何かをする為にやってる事なの?


 源さんが言ってた通り、オーナーはF1チームでも作るつもりなのかな……


「美郷さん!」


「えっ、小林さん?」


「もう、何やってるんですか? A組終わりましたよ」


「あっ、えっと、杏香は……」


「Q1A組4位通過です」


「あっ、はい……」


 私が色々と考えている間にA組が終わってしまいました……

オーナーから言われたteamKAEDEの休止で、私の心は乱されてしまいました。取り敢えず来シーズンはteamSHOWGOにチーム全員が移籍する事になってるようだけど、大丈夫なのかな……

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