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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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75 育成ドライバー

昨日は格の違いを見せつけられた杏香、気持ち的に相当打ちのめされたようでした。夕飯を少しだけ食べた後も、部屋に引き篭もってしまいましたから…… 今朝はだいぶん良いみたいです。

 テスト走行二日目です。今日も朝からフリー走行をしてますけど……


 昨日の夜は大変でした。杏香(きょうか)は機嫌が悪く一人でブツブツ言って食事も少し食べた後は部屋に戻って出て来ませんでしたから……


 私と本多(ほんだ)君は川嶋(かわしま)君とサラさんがロンドンを案内してくれるという事で街に出ましたけど……


「よお、嬢ちゃんの機嫌は治ったか!」


 もう、川嶋君が追い抜くだけならまだしも、周回遅れにするから……


「ええ、昨日よりはマシよ! でも、あまり酷い事しないでね」


 これ以上杏香の機嫌を損ねたらスーパーフォーミュラ後半戦に支障を来たすかも……


「はあ、あれくらいで機嫌を損ねたらF2には来れないぜ!」


「そんな簡単じゃないでしょう! それに彼女はまだ全日本選手権のスーパーフォーミュラだから」


 まったく、何言ってるのか川嶋君は……


「でも、ジェームズはあいつをうちの育成ドライバーにするつもりだぜ」


 えっ、育成ドライバー? どういう事……


「それ、なに!」


「まあ、うちのチームも来シーズン終了時にはジェームズがF1ドライバーになるかも知れない」


「そんなに良いドライバーなの?」


「ああ、ただスーパーライセンスをまだ取得してなかったから、今シーズンと来シーズンでライセンスは取得出来るだろう」


 はあ、ライセンスの問題はあるよね…… スーパーライセンスはあの男の過去3シーズン下位のカテゴリーで40ポイント以上獲得する必要があるんだけど……


「ジェームズは、今何ポイント獲得してるの?」


「えっと、二年前はノーポイントで去年のシーズン年間6位だったらしいから、あれ、いくつだっけ……」


[10ポイントよ!]


 金髪の綺麗なサラが英語でそう言って私達のところへ来ました。


[えっと、それじゃ今シーズン4位以上で……]


 私も釣られて英語で話します。


[ええ、まあ、そうなんだけど…… 彼は、今シーズン年間チャンピオンになるわ!]


 サラは自信たっぷりにそう言います。えっ、それって彼女はジェームズの事……


[それなら来シーズンはF1デビューじゃないの?]


[いや、そう上手くは行かないさ、彼は何処のチームからもオファーも無ければ育成ドライバーにもなっていないから]


 川嶋君が言うには、スーパーライセンスを持ってない人が育成ドライバーになるには相当難しいみたいです。


[それじゃ、何故杏香をダムスの育成ドライバーに?]


[そうね、F3からでも良いドライバーはいるんだろうけど……]


 えっ、どういう事?


[ジェームズの野郎、小山内の事お気に入りのようだ!]


 川嶋君がそう言ったのを聞いた私は……


[えっ、そうなの……]


[ええ、ジェームズがリチャードに言ってたものね……]


 サラさんもちょっと呆れ顔みたいだけど……


[もし、ジェームズがF1へ行ったらサラさんも一緒に行くの?]


 私がそう訊いたら、サラさんは迷惑そうな顔をして言いました。


[何故私が、彼と一緒に行かないといけないの! 彼がいなくなったらこのチームは平和になるのに]


[ハハ、美郷(みさと)はサラがジェームズと付き合ってると思ったのか?]


[あっ、えっと……]


[冗談じゃないわよ! どうせなら、秀樹(ひでき)の方がまだマシよ]


 えっ、それってひょっとして…… 私はサラの顔をジッと見てしまいました。


[ふふ、ごめんなさい、秀樹をあなたから取るつもりはないから]


 えっ、何それ…… 私は川嶋君とサラの顔を交互に見ました。


[俺が話したんだよ! ジェームズの事も気になったから]


 何だか朝から気が重いです。


「何かあったんですか?」


 杏香が来ました。ある程度話が終わってからで良かったわ……


「おい小山内(おさない)、また一緒に走るか?」


 おいおい、川嶋君は何を言ってるのよ? ようやく虫の居所が良くなって来てるっていうのに……


「はい、お願いします」


「杏香!?」


 私はつい、叫んでしまいました……


「どうかしたの、美郷さん?」


 この娘、今晩も機嫌が悪くなるのかな……


 その時、本多君も来ました。


「はあ、なかなか良いタイムが出ないな……」


「本多君、走ってたの?」


「うん…… 1分45秒前半だった」


 確か、杏香が1分40秒だったよね…… 杏香より5秒遅いのか…… でも、杏香も川嶋君より2秒くらい遅いんだよね……


[ヘイ本多! おまえは遅い]


 ジェームズが、また余計な事を…… でも、英語で言っているから本多君には伝わっていないんだけどね。


「あっ、どうも、お疲れ様です」


 などと笑顔で、本多君は手を振ってますけど…… ジェームズは両腕を左右に開いたような仕草をして行ってしまいました。


 この後、川嶋君と杏香は、また一緒に走ってますけど、やっぱり川嶋君が速いね! まだ2、3周走っただけだと思うけど、杏香はかなり遅れてます。


[秀樹、杏香、ボックス!]


 私の横で、サラは無線で指示を出しました。


[もう、終わりですか?]


 私がサラに訊きました。


[ええ、リチャードからの指示よ]


 そう言って、サラは耳のところを指で触っています。


 ああ、インカムが付いているのね!


 その時、パドックの方にリチャードの姿が見えますけど、一緒にいるのは楓オーナー?

昨日の続きとばかりに杏香と川嶋君は一緒に走ってますけど…… サラに呼び戻されました。呼び戻したのはGMのリチャードみたいですけど、そのリチャードと一緒にいるのって楓オーナー?

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