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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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70 いざ、イギリスロンドンへ

杏香がジムにトレーニングに来た時、木村結菜が、うちのガレージに来ました。楓オーナーから許可をもらっているという事だけど……

 結菜(ゆいな)さんは、オーナーの許可が出ているという事で、うちのトレーニングジムを使える事になりました。


「結菜、私も今からプールに行くから一緒に行かない?」


 杏香(きょうか)は何だか嬉しそうです。


「うん、行く」


 結菜さんはそう返事をして杏香と二人で早速ジムの方へ……


「あっ、小山内さん色々案内してあげてください。彼女も君と同じ待遇で利用出来るから」


「はい、解りました」


 オーナーからそうお願いされた杏香は早々に返事をした後、トレーニングジムの方へ行ってしまいましたけど、私はまだ納得出来てません……


「オーナー良いんですか?」


 私が不満そうに訊きましたけど……


「どうかしたの北島君!」


 オーナーは不思議そうに私の顔を見て言います。


「だって木村さんは他所のチームの部外者ですよ!」


 私は不機嫌そうに、そう言いましたけど……


「彼女は良いんだよ北島君、それよりそんな顔をしたら折角の美人が台無しだよ!」


 オーナーにそう言われて、私は急に恥ずかしくなりました。この人はなんて事を言うのよ……


「team KAEDEとteam SHOWGOは今後は同じグループとして動く事になるんだから」


 えっ、どういう事? 私が呆気に取られていると……


「ひょっとして、あのチームのバックは清ちゃんか!」


 源さんの問いに楓オーナーはニコッと笑って……


「源さんは相変わらず鋭いな!」


 そう言ってオーナーは行ってしまいました。


「源さん、どういう事ですか?」


 私が、訳が分からずに訊きました。


「要するに、team KAEDEもteam SHOWGOも楓コーポレーションの傘下という事だ」


 えっ、どういう事? 私は全く理解出来ませんでした。


「北島さん、清ちゃんはいつもあんな感じだから、またかという感じで納得した方が良い! そうしないと疲れるだけだから……」


 源さんはそう言うけど…… KAEDEコーポレーションってレースにどれだけ資金を使ってるの?


 ここの会社って確か小型のモーターとかを作っている会社って聞いたことがあるけど…… そんなに景気の良い会社なのかな……




 そんな事があった今週末に富士スピードウェイで公式テストがありました。


 二日間にかけてsession1からsession4までありました。


 本多君のマシーンも前回オイルを吹いたとは思えないくらい快調に走っていました。


 杏香は、今ひとつ調子が良くなかったのか本多君がトップグループで走っている中、杏香は5位から10位くらいを楽に走っていたような…… 杏香はまた、手を抜いていたと思われます。あの娘はレースじゃないと速く走れないようだから……


「小山内さん!」


 レースアンバサダーの柚月さんが呼んでいます。


「杏香で良いよ!」


 あの娘は他人行儀な事が嫌なのか、名前で呼んでもらうのが良いみたい。特に女子にはね。


「そんな、ファーストネームでは呼べないよ」


 まあ、柚月さんにしてみれば杏香推しのファンな訳だから、ちょっと抵抗があるかな……


「別に普通に声を掛けてくれて良いのに……」


「だって…… あっ、そんな事よりイギリスに行っちゃうんですか?」


「うん、そうなの、F2なんだって!」


 嬉しそうに杏香は言っています。


「そうですか…… それじゃ淋しくなりますね……」


 柚月さんにしてみれば、スーパーフォーミュラの杏香推しのファンな訳だからそうなりますよね……


「第6戦の富士までには戻って来るから」


 笑顔で杏香がそう言ったのを聞いた柚月さんは不思議そうです。


「F2に行っちゃうんじゃないんですか?」


 柚月さんは勘違いをしていたみたい。でも、杏香もすぐに戻って来る事を最初に言えば良かったのに……


「うん、テストドライバーで行くみたいなんだよね」


 それを聞いた柚月さんは笑顔が戻ったようです。良かった!


「テストドライバーって何をするんですか?」


「さあ、なんだろう……」


 杏香も解ってないんだね……




 富士のテストも終わり、いよいよイギリスです。


 私と杏香、それに本多君の三人で成田国際空港第2ターミナルから飛び立ってイギリスのヒースロー空港に到着しました。


「美郷さん、ここからはどうするんですか?」


 本多君から訊かれました。


「ダムスのスタッフが迎えに来るみたいなんだけど」


 私と本多君が話をしてる間、杏香は俯き加減でブツブツ言ってます。


「小山内、まだ気にしてるのか!」


 本多君が言っていることは、入国審査の時、英語でペラペラと質問をされて杏香は頭が真っ白になったみたいで入国審査の職員もちょっと困ったような事があったのです。


 まあ、私がすぐに駆けつけて事なきを得たのですが……


「飛行機の中ではあんなに元気だったのにな」


 普通だと本多君がこんな事を言うと杏香はムキになって否定して来るのに今日は、そんな余裕もないようです……


 そんな話をしている時、一人の男性が近付いて来ました。


「teamKAEDEの方ですか?」


 意外と流暢な日本語です。


「はい、お世話になります」


 私がそう言った時でした。


「ハハハ、俺だよ! 気付かなかった?」


 その男性は、帽子とサングラスをはずしながらそう言いました。


「川嶋君!」


「ああ、ようこそロンドンへ」


 私達はこれで、なんとかF2のテストに参加出来そうです。

私達三人はロンドンのヒースロー空港に着きました。これからどうなるのか心配でしたけと川嶋君が迎えに来てくれました。

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