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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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69 パスポート申請

もてぎのレースが終わり、いつもの如く宴会がありました。翔吾さんと一緒にいた結菜さんは……

 第5戦モビリティリゾートもてぎのレースが終わり、名古屋へ戻って来ました。


 昨日の宴会は大変だったみたいです。でも、私と杏香(きょうか)それに柚月(ゆづき)さんは食べるだけ食べてサウナへ行こうという事になり、こっそり会場を抜け出しましたので楽しい夜を過ごせました。


 でも、あとの面々はあれから二次会に行ったとか…… 翔吾(しょうご)さんも山口(やまぐち)君達と行っちゃったみたいなので結菜(ゆいな)さんはひとりでホテルに戻ったという事でした。宴会の席でも翔吾さんと一緒だったもんね……


 それが、帰りの新幹線で偶々結菜さんに会って、散々愚痴られました。


「杏香も抜けるなら言ってくれれば良いのに……」


 結菜さんからそう言われたけど……


「えっ、だってこっそり抜けたんだよ! 結菜こそ翔吾さんの横にいないで私達のところに来れば良かったのに」


 まあ杏香にしてみればそうなのかもだけど、結菜さんはそれを訊いて複雑そうな顔をしています。よほど仲間はずれにされたのが寂しかったようです。


「私もサウナに行きたかったな……」


 これは、何か穴埋めしないと収まらないかも……


「サウナじゃないもん、岩盤浴だもん!」


 いや杏香、そういう事じゃないから……


 そんな感じで、名古屋まで散々言われっぱなしの杏香でした。その後、結菜さんとは名古屋駅で別れました。


「杏香、まずはコンビニに行くわよ!」


「えっ、旅券センターじゃないの?」


 杏香からはそう言われたけど……


「杏香は、パスポートは初めて申請するんでしょう」


「うん」


「それじゃ、戸籍謄本がいるから! それと証明写真もね」


 まあ、私も証明写真はいるけどね。


「なんだか面倒臭いんですね!」


 まあそうだけど、これがないと海外へは行けないからね!


美郷(みさと)さん、コンビニに戸籍謄本って売っているんですか?」


 それを聞いた私は、頭を抱えてしまいました。この娘はそんな事も知らないのか…… それに戸籍謄本が売られてる訳ないっちゅーの!


「杏香、そうじゃなくて…… コンビニのマルチコピー機で自動発行出来るのよ」


「へえー、市役所とかに行かなくて良いんだ」


 市役所でとれる事は知っているんだ……


「杏香、マイナンバーカード持ってるわよね」


「うん」


「暗証番号は、判る!」


「うん」


 という事で、コンビニで戸籍謄本を取った後、証明写真を撮って県の旅券センターへ来ました。


「これに必要事項を書いて!」


 私は申請用紙を渡します。


「これって名前は英語なの?」


「えっと、ローマ字ね! 書けるでしょう」


「えっと、KI あれ、小さい“よ“ってどうするんだっけ?」


 もう、頼むからそんな事言わないでよ……


「杏香はkyoukaで良いわ」


 そう私が教えたら……


「それじゃ、小山内は?」


 はあ……


「小山内は、osanaiよ」


 そう言って申請書を書いて提出しました。


「ねえ、これで終わり?」


「うん、そうよ」


 私はそう、返事をしました。


「パスポートって出来るまで何分くらいかかるの?」


 はあ……


「今日申請したから、二週間後に取りに行かないと! そう言われたでしょう」


 私はそう言ったけど…… 杏香は何がなんだか判っていないみたい…… まあ、良いか! 二週間後にはパスポートは出来てるはずだから。




 それから数日後、杏香がガレージに来ました。


「えっ、エンジン外したんですか?」


「えっ、外す?」


「杏香、本多(ほんだ)のマシーンがオイルを吹いて止まっただろう」


「うん」


「それで整備してるんだ!」


「でも、これって私のマシーンでしょう!」


小山内(おさない)さん、マシーンは二台ともセッティングが一緒だから同じ不具合が無いか整備するんだよ」


 まあ、今回偶々本多君のマシーンがそうなったけど、杏香のマシーンがなっても可笑しくなかった訳だから……


「あら、杏香来てたんだ」


「うん、トレーニング」


「そうか!」


 それにしても本多君は来ないわね……


「杏香、本多君は来てないの?」


「見てないよ!」


「ねえ山口さん、オイル吹き出しの原因はなんだったんですか?」


 杏香もやっぱり気になるようです。


「えっとね……」


 山口君の説明では、ターボチャージャー軸受部分からオイルが漏れていて、それが排気ガスと一緒に吹き出していたようです。


「えっ、何故オイルが漏れたの?」


「それはオイルシールが劣化してそうなったみたいだね、いつも交換してるんだけどね」


「杏香、ドライバーの乗り方でも症状は違ってくる」


 (げん)さんはそう言ってます。まあ丁寧に乗ってって事かな。


「本多君の運転は、ちょっと荒いからね!」


 まあ、今回の件はさほど大した事では無かったけど、これが原因で本多君はリタイアした訳だからね。その時……


「こんにちは」


 そう言ってうちのガレージに現れたのは木村結菜(きむらゆいな)


「結菜、どうしてここにいるの!」


 杏香が疑問に思うのは当然です。ここはteam KAEDEのガレージですから……


「あの、トレーニングジムがあるって訊いたんですけど……」


 それってジムの利用客として来たってこと!


「トレーニングジムならここの裏だけど……」


「えっと、誰から訊いたの?」


「はい、私の叔父…… じゃなかった鈴木(すずき)オーナーです」


「えっ、翔吾さん?」


「あっ、正確には鈴木オーナーが楓オーナーから聞いて、使っていいよ! って許可をもらったらしいんですけど……」


 まあ、トレーニングジムは一般の人達も使っているから良いんだけど…… よそのチームのドライバーが来るのって、どうなの……


「やあ木村さん、ジムの方になかなか来ないからどうしたのかと思ったよ」


 楓オーナーが現れました。相変わらず神出鬼没だな……

結菜は、スーパーフォーミュラ前半戦が終わってTeam Aoiから teamSHOWGOへ移籍した訳だけど、最近うちのチームとやけに親しい…… オーナーはまた何か隠し事をしているのではないだろうか……

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