67 第5戦決勝!
Q1で調子が良かった二人ですが、Q2では松島と中森に抜かれてしまいました。はたして決勝は……
ピットウォークが終わった後、本多君はマシーンに乗って瞑想しているようです。
川嶋君がいた頃は、本多君は良くマシーンに乗って瞑想してました。最近はしてなかったようだけど、また始めたのかな……
杏香は、スマホで音楽を聴いているようです。レース前の行動は人それぞれですね。
そろそろ時間です。ピットを出てスターティンググリッドへ移動して、そこでグリッドウォークです。
3番グリッドには斎藤さん、4番グリッドには柚月さんが待っています。
『ブォン!』
エンジンを唸らせ本多君と杏香はピットロードからコースへ出て行きました。二台はゆっくりとコースを回ってレースアンバサダーの二人が待つグリッドに着きました。
「ねえ本多君、勿論トップを目指すんでしょう」
斎藤さんの問い掛けに本多君は……
「ああ、任せとけ! 今夜は美味しい酒を飲もう」
何だかあの二人良い感じだね……
柚月さんは、昨日と同様パラソルで杏香に日陰を作ってあげてます。
「小山内さん、レースが終わったらパフェを食べに行きませんか? 近くに美味しいお店があるんです」
「うん良いね、行こうか!」
はあ…… レース前の会話じゃないね……
そんな中、グリッド上は沢山の人で溢れています。ファンの人達、メカニックの最終調整やメディアの人達などです。
しかし、そのグリッドウォークの時間もそろそろ終わります。人がかなり疎になって来ました。
「杏香、これで前半戦が終わりだからね!」
「うん、良い感じで終わりたいよね!」
解ってるじゃん。それを聞いて私も安心してパドックへ戻りました。
その時、マシーンが動き出しました。フォーメーションラップです。この後スタートです。
「本多君も、杏香も問題無いわね!」
『OK』
『大丈夫』
二人とも大丈夫みたいね!
コースを一周して来た22台のマシーンがグリッドに着きました。その後、グリーンフラッグが振られ、レッドシグナルが一つずつ点灯します。マシーンはエンジン音をあげスタートを待ちます。今、五つのレッドシグナルが点灯し、今、ブラックアウト! 同時にマシーンが猛スピードで、メインストレートを駆け抜け第1コーナーを目指します。
先頭グループは、松島、中森、本多君、杏香と順位に変動は無いようです。
杏香も今のところ大人しく4位をキープして走っています。
「美郷さん、タイヤの準備出来ました。いつでも行けますよ」
山口君がそう言って、パドックへ来ました。まあ、まだレースも始まったばかりだし、タイヤ交換も15LAPから20LAPくらいだと思うけどね、昨日は13LAPだったけど……
「本多君、速くなりましたね」
「そうだね、今シーズン最初は自信無さそうだったからね……」
『ピッ!』
オープニングラップは松島が1分35秒279です。2位に中森、3位に本多君、4位に杏香が続きます。
「今日はやけに大人しいな」
源さんもパドックに来ました。
「まあ、フロントローに松島と中森だったから様子見なんだろうけどな」
源さんはそう言ってますけど、本音は杏香にトップを走ってもらいたいんじゃ無いのかな……
レースが動いたのは10LAP目でした。本多君が2位の中森をヘアピンカーブで抜いて2位になって、松島を追います。
しかし、杏香は中森の後を走っています。
『美郷さん、タイヤ交換はどうしますか?』
珍しく杏香が訊いて来ました。
「えっ、15LAP目を予定してるけど」
『13LAPくらいにしませんか?』
えっ、どういう事?
「杏香、何かあったの?」
恐る恐る私は訊きました。何処か問題でもあるのかな……
『うーん、他のチームより早めに交換した方が有利なのかなって……』
確かに、杏香の言う通りなんだけど……
「山口君、13LAP目に杏香のタイヤ交換をします」
「はい、今日は小山内さんが先なんですね」
山口君はそう言ってタイヤ交換に備えます。まあ、杏香からのリクエストだし、他のチームより早めにするのは、有利なのは確かかも知れないから……
「本多君の交換を15LAP目にします」
すると、青木君がボードで連絡をしています。うん、ナイスチームワークですね!
「小山内ピットイン!」
杏香は7秒でタイヤ交換を終わらせコースへ戻りました。今現在結菜の後方8位です。
その後、うちのタイヤ交換を皮切りに他のチームも続々とタイヤ交換をします。
15LAP目、本多君もタイヤ交換を済ませ杏香の後方、今現在7位になりました。
この後、松島や中森もピットインするはずですけどね……
30LAP目に入りました。前の二人はまだピットインしません。完全にタイミングを逃したようです。
先頭の松島とは16秒差、2位の中森とも10秒の差がありますけど、あの二人がピットインすれば本多君がトップで杏香が2位です。昨日同様ワンツーが見えて来ました。
「松島も中森も入りませんね……」
小林さんはちょっとイライラしてるかな。
今、二台が同時にピットインです。これで、本多君と杏香が1位と2位です。
「これで、また独占出来ますね!」
小林さんがそう言ったとき、本多君がスローダウンです。
「えっ、何?」
『美郷さん、エンジンのパワーが出ない止まります……』
本多君がそう言ったときマシーンから白い煙! いや、オイルを吹き出し止まってしまいました。
杏香も本多君が止まった事でちょっと不安そうな走りです。その隙を、山田にやられて2位です。
「杏香、あなたもパワーがでないの?」
『ごめん、本多さんが止まってオイルを吹いたのを見て、気が抜けちゃって……』
ここで決勝が終わりました。優勝は、YAMAGUCHI Racingの山田孝則です。2位杏香、3位にパンドラー4位に松島、5位に中森、6位に谷山、それと7位に結菜さんが入りました。
彼女はとうと、ベストテン内に入って来ました。
第5戦が終わって、前半戦が終了です。ドライバーズランキングもトップに中森、2位に杏香、3位に本多君です。
さて、後半戦はどうなりますか……




