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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
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63 土曜日のダブルヘッダー

グリッドウォークが終わり、最初のダブルヘッダー決勝が行われます。

 モビリティリゾートもてぎのダブルヘッダー初日、フォーメーションLAPが始まりました。


 ゆっくりとマシーンを操作して、蛇行しながらタイヤを温めるようにコースを一周します。


 次々とコースを回って来たマシーンが、スターティンググリッドに全て着き、今グリーンフラッグが振られました。まもなく決勝レースがスタートします。


 レッドシグナルが次々と点灯していくなかグリッドの上のマシーンがエンジン音を唸らせスタートを待っています。


 そして、レッドシグナルが五つ点灯した直後、ブラックアウト! 各マシーンが一斉にスタートしました。


 ポールの中森(なかもり)は、二番手の本多(ほんだ)君より三番手の杏香(きょうか)を警戒してるようです。


 それもそのはず、杏香は何の躊躇いもなく本多君をパスして、オーバーテイクを使い中森の左側から抜きに掛るような奇抜な事をやってきますから……


 しかし、第一コーナーも第二コーナーも右カーブになっています。流石の杏香もアウトからだと簡単には抜けません。それに中森だって、コース取りは上手いですからね……


 しかし、杏香も中森の左後方をピッタリ着けています。


 そして、第三コーナーワニの口の中は左カーブ、杏香はそれを狙っていたようで、そのままインをついて中森を追い抜きました。第四コーナーも左カーブなのでインをついて中森を引き離そうと頑張りますが、中森は杏香の背後にピッタリと着いています。


 第五コーナーと130Rを回ってワニの口を脱出した杏香は、ワニの目があるS字コーナーを通過して行きます。


 中森は杏香の背後につけてはいますけど、今すぐに抜きに来るような感じじゃありません。


「可笑しいわね、中森は抜きに来ないのかな」


 小林(こばやし)さんはそう言いますけど、そんなはずは……


 V字コーナーを回って、杏香も快調に飛ばしていますが、その先はヘアピンです。


「そうか、ダンヒルストレートだ!」


 私がそう言った時でした……


 ヘアピンを杏香が通過した直後、中森はアウトからオーバーテイクを使って杏香をいっきに抜き去りました。


『あっ!』


 思わず無線に杏香の声が漏れています。よっぽど悔しかったのかな……


 彼女もオーバーテイクで追いかけたいとこだけど、スタート直後に使っているからもう暫くは使えないし、取り敢えずは2位だね……


『ピッ!』


「1分34秒975、オープニングラップは中森か……」


 小林さんはそう言うけど、レースはまだ始まったばかりだからね!


「小山内さん1分35秒129です」


 まだまだ、射程圏内です。


「本多君1分35秒229です」


 取り敢えず、この三台が前半戦を引っ張るようです。


「小林さん、松島のタイムは?」


 深田GMがそう訊いて来ました。


「松島はトップより1秒位おそいです」


「どうかしたんですか?」


 私も気になったので訊いてみました。


「いや、ちょっと気になっただけだ…… それよりタイヤ交換はどうする?」


「交換は15LAP位を予定してますけど」


 いつになく深田GMは何かを気にしているようです。


 レースの方は順位に変動はなく、トップに中森、2位に杏香、3位に本多君、4位に松島、5位にパンドラーが着けています。


「次の13LAPタイヤ交換するからボードを出して!」


 私の指示に水上君が……


「杏香が先ですよね!」


 まあ、普通に考えればそうなんだけど……


「本多君を先に交換!」


「了解」


 青木君は私の指示を聞いてボードを出します。


「杏香は14LAPに交換!」


 水上君がボードを出しています。この後、ピットは忙しくなります。


「本多ピットインです!」


 本多君のマシーンがピットに止まったと同時にジャッキを掛けられ、同時に4本のタイヤを交換します。


 ガガガッ! 最初のインパクトレンチの音、これで、ナットが外れてタイヤを交換、その後すぐに2回目のガガガッとインパクトレンチの音が鳴ったと同時に四人のメカニックがOKサインを出します。その後、ジャッキが外されピットアウト! ここまでの作業を6秒から8秒くらいの速さでやってのけます。


 みんな流石だね! 私は無理かな……


 本多君はタイヤ交換をしてコースへ戻ります。現在5位です。その後、杏香がタイヤ交換の為ピットインです。


 杏香の交換も7秒位でピットアウトです。パンドラーの後方7位でコースに戻りました。


 この後、他のマシーンもタイヤ交換の為ピットインして行きます。取り敢えず、順位は全てのタイヤ交換が終わるまではっきりはしないです。ただ言える事は、うちのチームが先手必勝でタイヤ交換をしたので、少しは有利になるはずですけどね……


 周回は20LAPに入りました。現在の順位はトップに本多君、2位杏香、3位に松島、4位に中森、5位にパンドラーです。


 しかし、ここに来て9位に木村結菜がいます。このままレースが終われば2ポイント獲得する事になりますけど……


 レースは後半戦です。中森と松島は必ず追って来ます。2位の杏香にブロックさせてワンツーを狙いたいとこですけど……


 先に動いたのは中森でした。3位の松島に仕掛けますが……


「杏香、後続は良いから貴方も逃げ切りなさい!」


『でも、松島さんも中森さんも来ますよ!』


 杏香と私は、無線で話しますけど……


「今は、3位争いをしてるからその隙に差を広げなさい!」


 そういう事で、本多君と杏香は3位との差を10秒ほど引き離しました。これでうちのワンツーは確定ですけど……


『小山内、勝負だ!』


 本多君がそんな事を……


「ちょっと、馬鹿な事言わないで! そのまま現状維持でフィニッシュしなさい!」


 私は、そう無線で言いました。まったく何を考えているのか……


『小山内、ついて来い!』


 本多君がそう言った時です……


『本多さん、優勝は譲りますので勝負はまた今度にしましょう』


 本多君はやる気満々でしたが、杏香は現実的な考えでした。


 そんな事もあって、team KAEDEはワンツーフィニッシュでレースを終えました。

レース後半、どうして本多君は杏香に勝負を挑んだのか…… 大体、そういうキャラじゃないはずなんだけどな……

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