62 グリッドウォーク
第4戦モビリティリゾートもてぎです。予選Q2の後にあったピットウォークがかなりの大盛況でした。でも、ちょっと疲れたかな……
ピットウォークが終わり、取り敢えず人が関係者以外いなくなったのでホッとしました。
杏香は柚月さんにサポートされながらファンサービス出来たようでした。
「斎藤さん、もし良ければお昼ご一緒にどうですか!」
ピットウォークで意気投合したのか本多君は斎藤さんを誘っています。まったく男ってどうしてこうなの、すぐ下心を見せるんだから……
「小山内さんはお昼はどうするんですか?」
柚月さんも杏香に訊いてますけど……
「あっ、私はお弁当があると思いますけど……」
もう、レースアンバサダーもドライバーも私を含めてチームのお弁当があるっていうの!
「ねえ、みんなで一緒に食べようか!」
私はイライラした気持ちを抑えながらそう言いました。
「美姫、私はピットビルのブースにいるから」
「はい」
そう言って斎藤さんは行ってしまいました。
「斎藤さんも一緒に食べれば良いのに」
杏香はボソッとそう言ってますけど……
「あっ、私達はお昼も交代でteam KAEDEのグッズを販売しないといけないから」
ハハそれは、なんだかすみません……
「レースアンバサダーって色々と大変なんですね」
「ええ、コスチュームは可愛かったり格好良かったりなんだけど、やってる事は雑用みたいな事って多いから」
確かに、今日のコスチュームもワイン系の襟付きの服だけど丈が短くてヘソ出しコーデです。下はミニスカートで厚底のブーツを履いています。
私もこんな感じだったかな…… ピットウォークでは、ニコニコしながらドライバーのサポートをして、グリッドウォークではパラソルを持ってドライバーさんに日陰を作ってあげたりと大変だったかな…… それに変な虫は寄ってくるしね!
柚月さん、杏香、本多君と私は、色々と話をしながらお弁当を食べます。
「柚月さんは小山内担当なんですか?」
本多君がそう訊いています。でも、ピットウォークでは斎藤さんと良い感じだったと思うけど……
「はい、私は小山内さんのファンなので、斎藤さんにお願いしました」
「えっ、私のファンですか!?」
杏香はそう聞いて、かなり嬉しそうですけど……
「はい、だからブースでも小山内さんのグッズを先行して買いました」
いや、それって良いのかな…… そんな話をしていると柚月さんは……
「あっ、それじゃ私、交代に行きますね!」
そう言って彼女はピットビルの方へ行ってしまいました。
「小山内のファンなんだってさ!」
本多君はそう言って、杏香の事を揶揄っています。
「斎藤さんは本多さんのファンとかじゃないんですか?」
杏香もそんな事、訊かなきゃ良いのに……
「さあ、訊いて無いから解らんな」
そんな話をしていたら、交代で斎藤さんが食事に戻って来ました。
「あっ、本多さんもう食べちゃったんですか?
彼女はちょっと寂しそうに言います。あーあっ、斎藤さんは本多君と一緒に食べたかったんじゃないのかな……
「あっ、いや、ごめん……」
本多君は申し訳なさそうに言います。
「ふふ、冗談ですよ♪」
彼女はそう言って本多君の横でお弁当を食べ始めました。彼女も本多君の事、意識してるのかな……
この後、斎藤さんはブースの方へ戻り、私達はグリッドウォークまでは休憩です。
「美郷さん、翔吾さんが来てましたよね!」
「えっ、そうなの?」
「よく解らないけど、イベント会場でトークショーに出てたみたいですよ」
えっ、トークショー? なんだろう……
「GM、何か聞いてますか?」
「いや、トークショーに出てたのなら新チームの事とか話してたんじゃないかな。俺もオーナーと一緒に呼ばれたりしたからな、まあちょっと昔の話だけどな」
あっ、トークショーか…… 私も声を掛けられたけど、忙しいからと理由をつけて断り続けてるけど……
「トークショーって何をするんですか?」
杏香からそう訊かれましたけど、あれって何を訊かれるかちょっと怖いんですよね……
「杏香、トークショーには出ない方が良いわよ! 何を訊かれるか解らないわよ」
「いえ、呼ばれてはいないですけど……」
まあ、ドライバーが呼ばれる事はないのかな……
「そろそろマシーンをグリッドに着けて!」
山口君の指示で、まずは本多君のマシーンのエンジンを掛けます。その後、杏香のマシーンです。本多君が予選2位で、杏香が3位だからね。
その時、カーナンバー7番が、ピットロードを走り出しました。
「カーナンバー67番、68番スタートしてください」
本多君と、杏香はスタッフさんの指示でピットロードを走りコースへ出ますけど…… ピットの出口に止まってます。スタッフさんがグリッドの順位を確認してコースへ出してるみたいです。
今、本多君、その後に杏香がコースへ出て行きましたけどゆっくりコースを回っているようです。この後、本多君は斎藤さんがいる2番グリッド、杏香は柚月さんがいる3番グリッドにマシーンを着けます。
「北島さん、私と小山内さんのマシーンと一緒に写真をお願いしても良いですか?」
またもや柚月さんの職権濫用です。
「ええ、良いわよ! でも、今だけよ」
というのもグリッドウォークはファンの人達がマシーンやドライバーの写真を間近に撮る事は出来るけど、サインや握手とか一緒に写真とかは出来ませんからね!
本多君はマシーンに寄り掛かりながら斎藤さんと何やら話をしています。
あんな笑顔の本多君は初めて見たかも……
杏香は、マシーンのシートに乗ったままなので柚月さんがパラソルで日陰を作っています。何か話をしているのかな……
マシーンの側では山口君と青木君が本多君のマシーンの最終チェックをしています。
杏香のマシーンは、源さんと水上君が最終チェックをしています。
その側をファンの人達がマシーンを囲みます。本命はマシーンだったりドライバーだったりレースアンバサダーだったりでカメラが向けられます。でも、この中にはカメラ小僧もいるんだろうな……
グリッドウォークのあと、いよいよ決勝レースが始まります。
決勝レース前のグリッドウォークは、サインや握手などは出来ないけど、沢山の人に囲まれます。前回のオートポリスまではそんなに注目されてなかったんだけどな……




