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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
59/133

59 支障

第4戦モビリティリゾートもてぎです。杏香は最初の車検でマシーン重量のレギュレーションを満たしていませんでした。これによりバラストが追加されます。

 第4戦モビリティリゾートもてぎで、FP1フリー走行が始まりました。


 ここのコースは、メインストレートをスタートして第1コーナーを右へ第2コーナーも右に回って、杏香(きょうか)の言うところのワニの口の中のストレートへ第3コーナーと第4コーナーを左に回ってストレートを進みワニの口の中から脱出、第5コーナーを右に回り第1アンダーブリッジを潜り、130Rへ、その先にS字のワニの目があります。その後、V字コーナーからストレートの先にワニのしっぽのヘアピンカーブがあります。


 まあこれは、杏香の話に私が付け加えたんですけど…… そして、長いダンヒルストレートを通り、90度コーナーから第2アンダーブリッジを潜った後、ビクトリーコーナーを回りメインストレートへ戻ってくる一周4801.379メートルを土曜日の決勝では33周、日曜日の決勝は37周でレースが行われます。


 今、FP1がスタートしました。午前十一時から一時間ですけど、杏香は今ひとつ上手く走れていません。追加されたバラストが邪魔で上手く走れてないようです。


美郷(みさと)さん、一度戻してもらって良いかな……」


 (げん)さんにそう言われたけど……


「どうするんですか?」


「取り敢えず、邪魔な分だけでもキャビン後部のモノコックへ移します」


 まあ、不具合が無いかを確認する為のフリーだから支障は無いですので、戻しましょう。


「源さん、戻しますので準備をお願いします」


 私が源さんにそう言った時、杏香は、ワニの口の中にいました。


「杏香、ボックス!」


「了解」


 かなり走り難かったのかな、素直にピットインするようです。


 その後杏香は、最終コーナーのビクトリーコーナーを回ってピットへ戻って来ました。


「よいしょと! はあ、狭い……」


 杏香はそう言ってマシーンから降りました。


「はあ、こりゃ狭いな! いくら小山内(おさない)さんが小さいにしても無理だ」


 山口(やまぐち)君はそう言ってマシーンの右側からバラストを取り出します。


 マシーンの左側では、バラストを入れる為、座席後部のモノコックを開けています。


「今取り出した分をこっちへ」


 バラストをモノコックの中へ入れ、杏香をシートに座らせます。


「どうだ」


「うん、これなら大丈夫行って来るね!」


 そう言って杏香はマシーンを走らせようとします。


「ちょっと待った!」


「えっ、何?」


「まだ、後部モノコックを閉めてない……」


 杏香もフリーなんだから慌てなくて良いのに……


 そのあと杏香はピットアウトしました。


 ピットアウトした杏香は、邪魔なバラストがなくなったからなのか、さっきとは走りが全然違います。しかし、誰がシートのところにバラストを入れたのか…… あれじゃ邪魔でドライブ出来ないよね。


「これでなんとか戦えそうだな」


「はい」


 源さんも心配してたんですね。という事は源さんが入れたんじゃ無いのかな……


 午前のフリー走行が終わりました。あとは午後からのフリー走行で今日は終わりです。


 源さんと水上(みなかみ)君は、杏香のマシーンのバラストの位置を検討しています。メカニックは今日も休憩は後回しのようです。


「美郷さん、食事に行きましょう♪」


 杏香は呑気だね……


「杏香、残念ながら今回は弁当だよ」


「えっ、どうして?」


「あなたの人気が上がってるのよ! 明日からのピットウォークも、うちのピットの前は凄い事になるわよ」


 それを聞いた杏香は、少しは躊躇すると思ったけど……


「美郷さん、サインとか考えてた方が良いかな」


 はあ…… この娘は大物になるかもね……


「杏香さんいる!」


 あっ、またもや結菜(ゆいな)さんがうちのパドックに来ています。


「あなた、他所のパドックに来て大丈夫なの?」


 私は忠告するつもりで言いましたけど……


「あっ、大丈夫です。Aoiのチームでも移籍がはっきりしたから、もう何か言う人もいないので」


 いや、そういう事じゃ……


「杏香さんの人気は凄いですよ! 杏香さんのグッズを持ってる男性もだけど、とくに女性が結構多いんですよ!」


 わざわざ、敵のチームの情報収集をしているのかな、というより羨ましそうな……


「私のグッズ?」


「はい、キーホルダーとか巾着とか」


「美郷さん、いつ作ったの?」


「私も知らなかったんだけど、オーナーが密かに作ってたみたいね」


「えっ! そうなの……」


「私も買いましたよ」


 そう言って結菜さんはキーホルダーを見せます。


 細長いプレートにカーナンバー、チーム名とドライバー名と似顔絵がついてます。


 それ、買ってどうするのかな……


「私も叔父さんに頼んでいるんだけど、もう少し人気が出てからだって!」


 まあ彼女の場合、違った意味で人気はあるんだろうけど、レースの成績を上げないとね……




 午後からのFP2フリーの60分が始まります。


「杏香、キャビンの中はかなりスッキリしただろう」


 水上君がそう言いますけど……


「おまえが一人でやったように言うな!」


 早速、源さんに怒られてる水上君、いやこれは、娘を呼び捨てにされて、流石の源さんもイラッとしたのかな…… 水上君も苦笑してます。


「凄い! あれだけのバラストを何処にやったの?」


「だから、後部モノコックの中だ」


 今度は源さんが苦笑しながら説明しています。


「これだけ余裕があると楽にドライブ出来るよお父さん」


「まあ、軸がブレる事は無いと思うが、支障がある時は美郷さんに言ってピットインしろよ」


「うん!」


 杏香はそう言っているけど、この娘レースになるとちょっとムキになってピットインを拒むとこがあるのよね…… 大丈夫かな。


 まあ、今からFP2フリーがスタートしますので様子を見る事にしましょう……

邪魔なバラストはキャビンシート後部からキャビン後部のモノコックの中へ移動した事で、かなりドライブしやすくなったようです。

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