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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第四章 移籍
58/132

58 バラスト

オートポリスレース後の祝勝会の時、鈴木翔吾から新チームの話がありました。レース後半戦から結菜さんの本気の走りが見れるのかも知れません。

 第3戦オートポリスが終わって五日後、月刊フォーミュラでスクープ記事が掲載されました。『スーパーフォーミュラ新チーム! team SHOWGOがスポット参戦! ドライバーはTeam Aoiから移籍の木村結菜(きむらゆいな)』等と書かれています。この日、午後から記者会見があるようで鈴木(すずき)さんも結菜さんも対応に忙しい事でしょう。


『いや、実は近いうちに記者会見を開いて報告する予定だったんですけど、月刊フォーミュラさんに情報が流れてたみたいでビックリしました』


 などと見え過ぎた事を翔吾(しょうご)さんは言っています。


「翔吾さんも役者だよね……」


 山口(やまぐち)君は、スマホで会見の様子を見てそう言ってます。


「山口、他所でそんな事言うなよ! うちのチームも巻き込まれて大変な事になるからな」


「判ってますよ!」


 早速、深田(ふかだ)GMから注意されてますけど、この案件は杏香(きょうか)の祝勝会の時にこっそり発表されましたからね!


「それよりも杏香、もてぎのシミュレーションをするのよ」


「うん」


 私の横でトレーニングウエア姿の杏香が返事をしましたけど……


「今日はどうしたの? トレーニングウエアなんか着て」


 私は杏香に訊きました。すると、彼女はちょっと恥ずかしそうにしています。


「少しくらいは筋トレも必要かなって、思っただけよ……」


 杏香は、そう言ってるけどオートポリスでの決勝はかなり疲れたんじゃないかな…… 予選も決勝も雨だったし、途中、待機や中断もあったからね!


 まあ、それで少しくらいスタミナをつけようと思っているんだろうけどね。


小山内(おさない)、体力をつけるなら走った方が良いぞ!」


 本多(ほんだ)君は、そうアドバイスをしています。


「はい……」


 珍しく杏香が本多君のアドバイスを受け入れてます。オートポリスで少しは彼女も成長出来たかな……




 六月の一週目、スーパーフォーミュラ第4戦と第5戦がモビリティリゾートもてぎで今日から開催されます。


 ここでは1大会2レース制で行われますので、金曜日にフリー走行が行われます。土曜日に第4戦の予選と決勝、日曜日に第5戦の予選と決勝があります。


「スーパーフォーミュラでも、2レース制があるんですね」


 まあそうね、F4は毎回2レース制だけど、SFはシーズンに三回くらいあるのかな、でも2レース制は結構バタバタなんだよね……


「もてぎのコースって前から思っていたけど、ワニの頭に似てますよね」


「ワニの頭?」


 また、突拍子な表現をする杏香です。


「ほら、ワニの下顎のとこからスタートして第1コーナーを回ってワニの口の中へ、それから上顎に出てS字コーナーがワニの目、その後東側のダンヒルストレートを通ってワニの下顎に戻って来る」


「まあ、発想が豊かなこって……」


 本多君からは、そう揶揄われてます。


「別に良いでしょう!」


「はい、はい、発想が豊かなのは良い事です」


美郷(みさと)さんも馬鹿にしてるでしょう」


「してないよ! それにそうやってコースを覚えられるなら良いんじゃない」


 まあ、杏香は私の事を疑っている様だけど…… でも、これもひとつの才能なのかな、ワニの頭ね…… でも、S字のワニの目の先はワニのしっぽのヘアピンカーブってどうかな…… いや、それじゃ胴体が無いワニになるよね、ちょっと歪すぎたかな……


 まずは初日午前のフリー走行60分があります。


「おい杏香! マシーンの準備出来てるぞ」


 水上(みなかみ)君も、ほぼ杏香の専属だね。


「うん、ありがとう」


 そう言って乗り込む杏香ですけど……


「ねえ、ちょっと狭くない?」


 えっ、狭いって今までもそんな感じじゃ……


「しょうがないだろう、車検で重量が足りなかったんだから……」


 そうです! スーパーフォーミュラではレギュレーションで重量がドライバーを含めて677kg以上という規定があります。


「誰かさんが痩せたからバラストを増やさなきゃ失格だからな!」


 水上君が嫌味たらしく言ってますけど……


「えっ、私が痩せたの?」


 杏香もすっとぼけるね……


「マシーンが痩せる訳ないからそうだろう!」


「うーん、あれってガソリン満タンで誤魔化せないかな?」


「どっちにしてもレース終了後も計量するから規定より軽いと優勝しても失格だからな!」


 まあ、これって女子は不利だよね、男性より体重は軽いんだから……


「ねえ、このバラストってシートの後ろじゃなきゃ駄目なの?」


 杏香はそう言うけど、他に積めるとことか無いよね……


「うーん、なるべく重心に影響がないところでないと、バランスが崩れるからな……」


 山口君がそう言ってます。


「それなら、ドライバーの後ろのモノコックはどうだ! あそこならシートの後ろより多く積めるし、重心に影響もないだろう俺もそこに積んでるから」


 本多君がそう言うので、やってみる事に、でも…… 本多君もバラスト積んでるんだね。


「おい、午前のフリーが終わった後にしよう。もう、始まるぞ」


 源さんがそう言うので、本多君と杏香はコースへ出て行きました。でも、何故杏香は痩せたのか……


「ねえ杏香、ダイエットでもしてるの?」


 私は無線で訊いてみましたけど……


『えっ、そんな面倒な事はしないけど……』


 と、素っ気ない返事が返って来ました。まあ、原因はともかく午前のフリーが終わった後、バラストの位置を変えて午後のフリーでどれだけマシーンコントロールが違うかですよね。

レギュレーションに触れるくらい杏香が痩せたような…… 本人は意識していないみたいですけど、そんなに簡単に痩せれるのは羨ましいです。

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