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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
56/133

56 75分後の幸運

雨の決勝、次々とマシーンがリタイアするサバイバルレースになっています。

 トップの本多(ほんだ)君がマシーントラブルでスローダウン気味です。本多君から無線で指示された杏香(きょうか)は本多君を抜きトップになりました。


 しかし、本多君が中森(なかもり)をブロックする事でトップになった杏香とのタイム差は広がります。


「くそ、あんなにセッティングしたのに何故だ!」


 山口(やまぐち)君はやるせないよね…… レース前にメカニック総出で整備してるのに……


(げん)さん、小山内(おさない)のマシーンもヤバくないか?」


 GMも不安で頭を抱えてます。


「ああ、可能性はゼロではない。同じセッティングだからな」


 本多君の計らいもあって、杏香と中森のタイム差は20秒くらいになりましたけど…… 本多君も杏香にトップを譲ってから3周後、Astemoコーナーで力尽きて止まってしまった。


「まあ、これでレッドフラッグが出なければ良いんだが……」


 源さんも、やっぱり不安そうです。


「第8コーナーでイエローです」


「もう、今度は何!」


 私はこの状態で叫んでしまった……


「第8コーナーで、カーナンバー3番、谷山(たにやま)が止まっています」


 第8コーナーって、本多君が止まったすぐ先じゃ……


「はあ…… サバイバルレースだね……」


 レースは、30LAPを超えたところですが、雨脚は強いまま少し靄って来ました。


「不味いな……」


 GMも心配しています。


「このままだと、セーフティカーが入るかも知れませんね……」


 そうなると、レース前半に源さんが言ってたようにマージンが無くなる。本多君が折角作ってくれたのに……


「杏香、現状維持で安全に走って!」


美郷(みさと)さん、どっちにしてもこれじゃスピードを出せません! 中森も追って来てないから』


 もう、最悪のコンディションです。


「お疲れ!」


 本多君が、ずぶ濡れでパドックに戻って来ました。


「本多君、早く着替えなさい」


「小山内は?」


「トップで走ってるわ」


「そうか…… 着替えてくる」


 本多君がそう言った時…… GMが溜息を吐きました。


 まあ、溜息も吐きたくなるわよね……


 その時でした…… レッドフラッグが振られている……? レースは一時中断のようです。


「杏香、レッドフラッグが出たからボックス!」


『えっ、これってどうなるんですか?』


 不安そうな声で杏香が訊きます。


「レースが中断しただけ、早く戻って来なさい! そうしないと失格になるわよ」


 そう私が無線を入れた後、杏香もピットに戻って来ました。


「マシーンに異常はないかな」


 真っ先に山口君が訊いています。


「はい、問題はないですけど…… これって、どうなるんですか?」


 杏香もこう言うのは初めてなんだろうな……


「杏香、この後霧が晴れればレースは再スタートされる」


 源さんがそう説明しています。


「霧が晴れなければ……」


「その時は……」


 うーん、そうなるとレースは終わってしまう訳だけど……


「あれ、今何周目だっけ!」


 私は、小林さんに訊きました。


「えっと、32周目です」


 だったら、このまま終った方が良いのかも……


「もう、そんなに走っていたんだな」


「GM、このまま終われば杏香の優勝ですよね!」


 私がそう言った時、本多君が戻って来ました。


「優勝だけど、ポイントは半分だろう」


 本多君はちょっと残念そうに言います。


「いや、周回が32周なら75パーセント以上レースは成立しているからポイントも当たり前にもらえる」


 私がそう言った時……


「えっ、そうなの? だったらこのまま終われば……」


 そう言った杏香でしたけど、なんとも複雑そうな顔をしています。


「でも、なんだか味気ないですね……」


 杏香としては、きちっとチェッカーフラッグを受けたかったのかも知れないけどこの霧じゃね……


「まあ、そうかも知れんが勝ちは勝ちだ!」


 GMも残念そうに言っているけど、顔は笑顔です。


 しかし、主催者の方からは何も連絡はありません。天候が回復するのを待っているのかな……


「結果、出ませんね」


 小林さんが一言……


「まあ、こうなる事を予想して、主催者側も決勝レースを早めにスタートさせたんだろうけどな」


「えっ、どう言う事ですか?」


 私はGMに訊きました。


「いつもなら決勝は二時半とか三時スタートなんだが、天候不良だと、時間的に遅くまで待てないからな」


「そうか、最大で75分ですよね!」


 本多君がそう言った時、私も思い出しました。決勝レースは決められた周回を消化するか、75分経過した時点でレースは終わります。


 その時でした…… レース終了が主催者側から報じられました。


 今回のレースは波乱含みではありましたけど、結果としては、杏香の初優勝で幕を閉じる事になりました。


 今日のレースは本当のサバイバルレースになりました。出走22台中完走したのは11台、半分のマシーンがリタイアする事になりました。


 優勝は杏香、2位に中森、3位は中森のチームメイトの山田孝則が入りました。


 それと完走11台の最後尾に木村結菜の名前もありました。10位以内だったらポイントゲットだったんだけどね……


 今、表彰台に杏香の姿が見えました。味気ない勝利とか言ってた割に笑顔でシャンパンファイトを楽しんでいます。やっぱり嬉しいんじゃん!


 これで第3戦九州大会inオートポリスは終了しました。

レッドフラッグが出て、75分経過した時点でレースは終わりました。杏香の初優勝だけど……

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