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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
55/133

55 サバイバル

オートポリスの予選Q2が終わり、本多君が2位、杏香が4位でした。悪天候でスケジュールが変更され、この後午後一時半から決勝がスタートします。


 第3戦オートポリスの決勝がまもなくスタートします。天気は相変わらずの雨模様です。コースも勿論ウエット、路面温度も五月の中旬にしては低めです


本多(ほんだ)さん、そろそろ行きますよ!」


 珍しく杏香(きょうか)がそう言ってます。予選の時とは逆ですね。


「おおう、先に行ってくれ」


 本多君、どうかしたのかな?


耕太(こうた)回して!」


 杏香がそう言って、水上君がエンジンを掛けてくれました。杏香はエンジンの掛かったマシーンに乗り込んだ後……


「耕太、ありがとう」


 ちょっと頬を赤くして杏香が言います。


「うん、おまえも頑張れよ!」


 そう、水上君から聞いた杏香は……


「うん、頑張る!」


 そう答えて嬉しそうに杏香はコースへ出て行きました。


 そこへまた小林さんが水上君の側に近づいているので、私は彼女の手を引いてモニター前に連れ戻しました。


「ちょっと美郷さん!」


「邪魔しちゃ駄目よ!」


 私がそう言うと…… 彼女は面白く無さそうな顔をしていました。まったくおばさんは駄目だね……


 コースの方は、各マシーンがスターティンググリッドに着いています。まもなくフォーメーションラップが始まります。


「本多君、杏香準備OK?」


『うん、OKです』


『こっちもOKだ!』


 うん、無線も問題無いようね。


 今、グリーンフラッグ振られ、フォーメーションラップがスタートしました。この一周でマシーンコンディションを見たり、マシーンを蛇行させタイヤを温めたりします。


 でも、今日はウエットなので主にコースコンディションのチェックかな、今日はタイヤ交換もないからね!


 マシーンがスターティンググリッドに戻って来ました。今からスタートです。


 マシーンがすべてグリッドに着いた後、レッドシグナルがひとつずつ点灯を始めました。この瞬間は、ドライバーじゃない私も緊張します。


 ドライバーはエンジンをふかしながらスタートの瞬間を待ちます。今、五つ目のレッドシグナルが点灯し、ブラックアウト! 各マシーンが一斉にスタートして、我先にと第一コーナー目指して飛び込んで行きます。


 トップは松島(まつしま)、2番手に本多君、3番手中森(なかもり)、4番手に杏香、5番手に谷山(たにやま)、そしてパンドラーです。順位に変動はないみたい。あっ、結菜(ゆいな)さんが8番手に順位を上げたみたいです。


 今日は雨のレースなので、序盤は各ドライバーとも様子見のようです。


 しかし、この雨の中1周4674メートルを41周します。ドライの時より過酷だろうな……


 一周目、トップは松島1分27秒759、2番手に本多君1分27秒807です。3番手中森が1分27秒928で杏香が……


 えっ、杏香が中森にスリップストリームの状態でメインストレートから第一コーナーへ向かって行きました。


 そして、杏香はオーバーテイクを使って中森を抜き第一コーナーに飛び込みました。


「これで、杏香が3位だね!」


 私は口走ってしまいました。


「なにも序盤に無理しなくて良いのにな」


 (げん)さんです。


「えっ、でも、少しでも上位にいた方が良いんじゃないですか? それに天候の事もありますから」


「まあそうだけど、霧が出て中断したらセーフティかーを入れ再スタートした場合、各車のマージンはほとんど無くなるからな……」


 まあ、源さんの言う事も解るけど…… このレースどうなるのかは天候次第ですからね……


 杏香が3位になったけど、抜かれた中森は杏香の背後で、チャンスを狙っているように見えます。


 まあ、元F1ドライバーが抜かれて黙っている訳がないですけどね!


 レースは10LAP目です。順位は松島トップで変わりません。しかし、雨が強くなって来た為、水飛沫が酷く上がります。視界が悪いだろうな……


「第12コーナーでイエロー!」


 イエローフラッグ! 誰かがスピンしたのかな……


「カーナンバー12番がスローです」


 えっ、11番じゃないの?


「カーナンバー12番はTOYOMURA GRAND PRIXだな」


 深田GMです。


「TOYOMURA GRAND PRIXは予選Q1でもスローダウンしてなかったかな」


 山口君もGMと二人でそう話しています。


 電気系統のトラブル…… 私の脳裏にその心配が……


 カーナンバー12は、さよりんブリッジ手前で止まってしまったようです。


 その後、14LAPを走った時トップの松島がピットインです!


「えっ、松島はどうしたのかしら……」


 しかし、これで本多君がトップ、杏香が2位になりました。


「このまま行けばワンツーだな!」


 GMはそう言うけど、まだまだ判らないですよ! ようやく中盤ですからね。


 その後も雨脚が強く順位に変動も無く、レースも後半戦です。ピットインした松島もそのままリタイアしたようです。


「この雨じゃ、レッドフラッグが出るかもな……」


 そうなると、レース再スタートした後に勝負という事か……


『小山内、聞こえるか』


 本多君から無線です。


『本多さん、どうかしたんですか?』


『俺もあと2〜3周で止まるかも知れないから俺を抜いていけ』


 えっ、トラブル?


『えっ、でも……』


 杏香も不安そうな声です。


『心配するな、おまえに抜かれた後、俺が中森をブロックするから……』


「本多君、もう無理なの?」


 私も心配のあまり無線で話します。


『うん、アクセルベタ踏みしてるけど、思うようにスピードが出ない』


 そう話している時、杏香が本多君をパスして行きました。その後から中森も抜こうとしますが、本多君が上手くブロックしています。


 はたしてこれが、どこまで通用するかな……

雨の決勝、マシーンが次々とリタイアしていきます。この過酷なレースはどうなるのか……

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