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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
52/132

52 ハプニング

Q1A組の予選が三十分遅れでスタートしました。雨だけでなく霧が発生して視界不良です。

 第3戦オートポリスでの予選、Q1A組が14時30分ウエットで遅れてスタートしました。


 しかし、コースの裏側Astemoコーナー付近は少し靄って来ていますけど……


本多(ほんだ)君、コースの裏側は大丈夫なの? モニターではちょっと靄ってるみたいだけど」


『そうだな、靄っているのは第4コーナーから第8コーナーくらいだな、でも見えない訳じゃない』


「了解! 気をつけてね」


 そうは言ったものの、視界不良で事故とかは、やめてよね……


 ここまで練習走行だってしたし、マシーンだって最高に整備されているんだから……


「本多君の一回目、1分28秒167です」


 小林(こばやし)さんからタイムの報告です。


「うーん、微妙ね……」


「でも、雨で靄ってるなら」


 杏香(きょうか)も、パドックにいます。


「杏香、準備しなくて良いの?」


「あっ、大丈夫です」


『ピッ!』


 今、カーナンバー3番の谷山(たにやま)が、1分27秒961でトップです。本多君も4位には入っているけど、27秒台にまで上げないとQ2へは行けないかも……


『ピッ!』


 今度はカーナンバー7番の中森(なかもり)! 1分27秒869でトップです。


「本多君の二回目出ました。1分27秒986で3位です」


 うん、これで行けるかな…… でも、合同練習で一緒だったパンドラーは1分27秒998で5位です。練習の時はあんなに速かったのに……


美郷(みさと)さん、本多はどうだ!」


「今、3位ですけど」


「だったら戻した方が良いぞ!」


 GMはちょっと心配そうです。


「少しは靄ってますけど、問題なさそうですよ」


 私はそう言いましたけど……


「本多や上位のドライバーは良いが、中堅や下位のドライバーのミスに巻き込まれたらたまらんからな」


 なるほど……


「本多君の三回目、1分27秒889で3位です」


「本多君、ボックス!」


 私は無線で指示を出しました。


『美郷さん、まだ三分あるからあと一回くらいアタック出来る』


 本多君からそう反論されたけど……


「本多君、無理しないで! 天候不良なんだから」


『了解……』


 本多君は不本意とは思いますけど納得してくれました。


「美郷さん、第12コーナーでイエローです」


「本多君、12番でイエローよ、気をつけて!」


『了解』


 12番コーナーでカーナンバー11番が止まっています。これが原因でイエローフラッグが振られています。これだと思うようにアタック出来ないでしょう。


「お疲れ!」


 本多君が戻って来ました。


「本多君、事故だったの?」


「いや、一台止まっていたから故障だろう」


 やっぱり、雨が祟っているようです。


「あれって、事故だからイエローフラッグが振られているの?」


 杏香がまだパドックにいます。


「杏香、準備しなくて良いの?」


 もうすぐQ1B組のが始まるんじゃ……


「天候不良で待機だって! それよりイエローフラッグって!」


「イエローフラッグは、事故や故障でマシーンが止まっている事を教えてくれる旗だ」


「そうなんだ……」


「それと、その区間は追い越し禁止ね!」


「えっ、そうなの!」


「当たり前だ、危ないだろう」


 多分、杏香の事だからスピードが落ちてるから抜けるとか思ったんだと思う。でも、これってペナルティ案件だからね。


「しかし、B組が明日に延期になるとコンディション的に有利だよな!」


 本多君はそう言うけどA組とB組各組から6位までがQ2に行ける訳だから、それに明日まで天気も悪そうだから有利になるか不利になるかは判らないと思いますけどね……


 A組が終わって三十分くらい経ちましたけど……


「うーん、中止なのかな……」


 そんな訳ないでしょう!


「中止じゃなくて延期ね!」


 私がそう言うと……


「そうなると、明日のフリーが30分、その後、Q1B組があってQ2、そして、午後から決勝だな」


 GMが、もう決定したかのように話します。


「そうなったらドライで走れるかな……」


 杏香にとってはそっちが良いのかもだけど……


「多分、明日も雨だと思うけどね」


 私はつい、言ってしまいました。夢も希望もない言い方だったかな……


「それじゃ、今日走った方が良じゃん!」


 まあ、杏香としてはそうだろうけど……


「そこは天候次第ね」


 どう足掻いても、天候には逆らえませんからね。


 しかし、願いが叶ったのかA組が終わっておよそ一時間後、雨も小雨になり、霧が晴れて来ました。この分だとギリギリでQ1B組が行われるかも知れません。


『霧が晴れて来ましたので、只今よりQ1B組を始めます。出場する方はフリー走行してください』


 サーキット場のスタッフさんから連絡がありました。


「杏香!」


 私がそう言った時には……


耕太(こうた)、回して!」


 もう、準備万端だったようです。えっ、耕太……?


「杏香、気をつけてね! まだ、所々薄く靄ってるみたいだから」


『了解』


 杏香がコースに出て二周くらい回った時、Q1B組がスタートしました。さて、杏香の走りは……


 一回目のアタックからリアタイヤを滑らせながら走っています。もう、こっちが冷や冷やさせられます。


「あいつは、あれでよく走れるな……」


 本多君も感心してるようだけど……


小山内(おさない)さんの一回目、1分26秒768です」


 他のドライバーが27秒台なのに、杏香だけが26秒台です。


『美郷さん、タイムは?』


「1分26秒768よ!」


『了解、戻ります』


 えっ、戻るって……


 杏香はそのままコースを回ってピットに戻って来ました。


「ちょっと、まだ一回しかアタックしてないでしょう」


 私が杏香の側へ行って、そう言いましたけど……


「多分大丈夫でしょう」


 杏香は自信満々なのか笑顔でそう言います。


「美郷さん、二位以下は27秒中盤から後半です」


 小林さんもそう言っているけど……


「抜かれたらもう一回走って来ますから」


 そう言って杏香は、ステアリングを外してマシーンから降りました。


 そして数分後、杏香はB組トップでQ2通過を決めました。


 その後は、雨が強く降ってまた靄って来たのと、時間が午後四時を過ぎた事もあって、Q2は明日に延期になりました。

Q1A組が三十分遅れ、Q1B組も一時間遅れで、スタートした為、予選Q2は明日に延期になりました。

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