50 阿蘇の休日3
ようやく阿蘇山頂に着きましたけど、火山特有のあの臭いが気になるようです。
私達は休日という事で今、阿蘇山頂に来ています。
「美郷さん、柵の所まで行ってみようよ!」
杏香の好奇心に釣られて私と結菜さんも車を降りました。
「杏香ちょっと待って! ルーフを付けるから」
私は車のルーフを付けて施錠した後、杏香の所へ急ぎました。
「美郷さん、柵の下の方に綺麗な色の液体があるよ」
杏香が火口を指差しながらそう言いますけど…… 液体? 火口の中にそんなのあったかしら……
私が、柵の所から火口の中を覗くと、そこには、確かにエメラルドグリーンの液体がありました。
えっ、こんなの前来た時は無かったけど……
「あっ、これは湯溜まりと言うみたいです」
結菜さんがスマホを見ながらそう言ってます。
「えっ、結菜さん知ってるの?」
私がそう訊いたら……
「えっ、ググったら出て来ましたけど……」
「ググる?」
最近、偶に解らないワードが……
「Google先生で検索したんですけど……」
ああっ、ネットの受け売りなのね。
「湯溜まりって、温泉が出てるって事?」
いや杏香、こんなエメラルドグリーンの温泉なんて、しかも火口の中の温泉なんて可笑しいでしょう。
「えっと…… 雨水が流れ込んで火口に溜まったみたいですよ」
結菜さんもそこまで調べなくても良いのに……
「あれって、どれくらいの温度なんだろう?」
杏香はちょっと疑問に思ったようですけど……
「落ちちゃったら一瞬で骨になるかも!」
結菜さんも可愛い顔して恐ろしい事を言うわね……
「そんな訳無いでしょう! そんなに温度が高いならグツグツ言ってるはずでしょう」
まったく、大体見て解るでしょう。
「それじゃ、四十度くらいかな?」
「それだったら良い湯加減ですね!」
二人とも何を呑気な事を……
「温度は低いかも知れないけど、火山ガスで即死するわよ!」
それに低い温度っていっても六十度くらいはあると思うけど……
「もう…… 解ってますよ! 美郷さんはリアルに考えすぎなんだから」
杏香にそう言われてしまいました。はあ…… 私って、現実すぎる女なのかな……
「ねえ小山内さん、写真撮ろうよ」
結菜さんがそう言うので……
「それじゃ、私が撮ってあげるわよ」
二人の仲良しツーショットくらい任せなさい!
「美郷さん、湯溜まりも一緒に撮ってくださいね!」
そういう事で、杏香と結菜さんのツーショットの間に湯溜まりが写るように撮りました。
「美郷さん、そろそろ降りませんか?」
えっ、今来たばかりなのに……
「まだ山頂に来たばかりよ!」
「でも、この臭いはちょっと……」
結菜さんは硫黄の臭いが嫌みたいですね。それに杏香は空腹に耐えきれないんじゃないかな。
「私もこの異様な臭いはちょっと……」
自分で言ってなんだか恥ずかしいです……
「それじゃ、草千里ヶ浜まで戻ってお昼にしようか!」
「うん!」
そういう事で、私達三人は草千里ヶ浜まで戻って来ました。
「あっ、レジャーマット忘れた!」
私は道の駅に無かったのでコンビニで買うつもりだったけど……
「あっ、それなら私が持ってますから……」
そう言ってバッグの中からレジャーマットを取り出す結菜さんです。
「えっ、何故持ってるの?」
「あっ、それは……」
彼女はひとりピクニックでもするつもりだったのかな……
偶々、道の駅で私達と出会って、ドライブに誘われたから…… あっ、なるほどね!
「北島さん、この辺からの景色が良いですよ」
結菜さんはそう言いながらレジャーマットを敷きます。
「ここ良いね! 美郷さん早く食べよう」
私達は小高い丘の様な場所で池を眺める様な所でお弁当を食べます。
「小山内さんは赤牛丼ですか?」
「うん、このレアな感じが美味しいよ!」
「私のはステーキ風のお肉なんですけど……」
私は、結菜さんの弁当を見ましたけど……
「えっ、これって馬肉じゃないの?」
「えっ、道の駅にあったかな……」
「いえ、私は別の所で買ってたから……」
でも、熊本に来たら馬刺しとかも良いよね……
「馬肉って美味しいんですか?」
杏香は食べた事が無いのかな……
「うん、馬刺しは昨日の夜に食べたけど美味しかったよ」
結菜さんがそんな事を言うもんだから……
「美郷さん、決勝後の反省会は馬刺しの美味しいお店に行きたいですね」
近くにそんな店あるのかな……
「それじゃ山口君にお願いしないとね!」
私達は、お弁当とデザートの阿蘇チーズミルクプリンを食べました。
「美郷さん、これ濃厚で凄く美味しいです」
「うん、これは良いわね」
「これ、帰りに買いたいです」
それじゃ、そろそろ山を降りますか?
「美郷さん、帰りは……」
「うん、うん、運転するんでしょ!」
私がそう言うと……
「あの、プリンみたいな山には行かないんですか?」
結菜さんに訊かれて、ハッとしました。
そうだった……
「行く!」
杏香がそう言うので、私達はあのプリンの様な山を目指します。
とは言っても帰り道だから絶対通りますけどね!
「これでしょう」
結菜さんに言われ、車を左端に停めました。
「こめづかって読んで良いのかな」
結菜さんが一番興味があるみたい。
「ここ柵があって入れないよ」
杏香がそう言ってます。
「写真を撮る事くらいしか出来ないみたいね」
「あっ、これも火山活動で出来た火山丘だそうです」
私が杏香の写真を撮ってる時に結菜さんがそう言いました。また、ググってるようです。
「結菜さんは何処に泊まっているの?」
私がそう訊いたら……
「えっ、ああ、阿蘇赤水ホテルです」
それって、私達が泊まっている所のそばじゃん!
こうして、私達の休日は終わりました。
「送ってくれてありがとうございます。今度私にも運転させてくださいね」
そう言って結菜さんはホテルへ帰って行きました。はあ…… この車はレンタカーなんだけどね……
結菜さん飛び入りの阿蘇山ドライブも終わりました。休暇の後は第3戦オートポリスが始まります。




