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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
46/133

46 靄ってる……

合同練習の模擬決勝残り7LAPくらいから降り出した雨は、一晩中降り続き三日目の練習走行でも、降っています。

 オートポリスでの練習走行三日目ですけど…… 雨です。


 昨日の模擬決勝、残り7LAPくらいから降り出した雨は、レース終了時には大雨になっていましたけど、白水館(はくすいかん)に戻って来た夕方には小雨程度でした。しかし、夜は結構酷かったようで、サーキット場でもなにかしら異常があったようです。


美郷(みさと)さん、今日の練習走行だけど……」


 深田(ふかだ)GMが私のところへ来ました。多分、雨で中止なのかな。


「GM、オーナーから雨でも練習するようにと言われましたけど……」


「うん、その事なら昨日僕も側に居たから聞いてたけど……」


「どうか、したんですか?」


「うん、コース全体に霧が発生していて走行不能らしい」


 GMからそう聞いて私は、今日の練習走行はやっぱり中止! などど浮かれてしまった。


「それじゃ、練習は中止ですね!」


 私が、一応残念そうにそう言った時……


「いや走行不能だけど、もう暫くすると霧も晴れるだろうからって」


 はあ…… わざわざそれを言うために……


「取り敢えず、パドックで待機しようってオーナーが」


 GMもオーナーもそれって面白がっているよね……


「なんだ、やっぱり練習するんですね!」


 杏香(きょうか)がそうぼやきながら本多(ほんだ)君と一緒に私の側に来ました。


「やるに決まってるでしょう! サーキット場借りてるんだから。それに杏香は走るの好きでしょう」


 心にも無い事を言ってしまった……


「まあ、そうなんだけどね…… でも、この雨の中を走るのはちょっと……」


 まあ、そうなるよね…… 私だって本当は、今日くらい休んでもって思っているけど…… でも、次コースを走る時は本番だからね!


 そういう事で、バスでサーキット場へ来ましたけど……


「雨、ひどくない!」


 杏香の感想です。


「いや、ひどいとか通り過ぎて土砂降りだろう!」


 本多君は顔を顰めています。白水館にいたときはそんなにひどくなかったのに、やっぱり山だからかな……


「まずは霧が晴れないと無理だよね」


 やっぱり杏香でもこの霧の中を走るのは無理か…… そういう事で、取り敢えずパドックへ移動して準備です。


 準備は終わりましたけど、まだ靄ってます。まあ、取り敢えず待機ですけど、本多君も杏香もスタッフまでもがベンチに座って寛いでいます。


「美郷さん、ババ抜きしない!」


 杏香は、トランプを手際良くシャッフルして、手札を配りながら言います。いつの間に持って来たの?


小山内(おさない)、美郷さんは駄目だろう」


「えっ、何故?」


 山口(やまぐち)君が謎めいた事を青木(あおき)君と二人ニヤニヤ笑いながら話してます。


 なんだかいやらしい……


「それってどういう事?」


 私がそう訊い時!


「ババ抜きだから北島(きたじま)君は抜きという事か?」


 オーナーが感心したようにそう言いました。


「ちょっと、失礼じゃなくて!」


 まったく、小林(こばやし)さんより私の方が若いのに……


「私もやるんだし、混ぜてあげて良いでしょう。それに美郷さんと私を抜くならオバ抜きになるでしょう!」


 小林さんも言うね、私はまだ叔母さんでも無いと思うけど…… それに大体男子どもが面白半分で言ってるだけなのに…… でも杏香が最初に誘ってくれたんだからね!


「あのさ、こんな事してて良いのか?」


 本多君がそう言うけど……


「良いんじゃない、準備は終わっているし、後は天候待ちだから」


 山口君がGMの手札を引きながら言います。


「あっ、ババだ!」


 いや、それ口に出したら駄目なやつ! でも私の事をババ扱いした報いだわ、ふん!


「あれ、今日はトランプで遊んでいるんですか!」


 月刊フォーミュラの神田(かんだ)さんです。練習走行皆勤賞ですね……


「神田さん、この霧じゃ走行は無理です! もう……」


 杏香は雨で走れない事を理由に神田さんに八つ当たりしてるような言い振りです。


「えっ、霧…… 靄ってないですよ! 雨も小雨程度だし」


 えっ、トランプに夢中で霧が晴れた事に気付いていませんでした。


「杏香……」


 私が指示を、出そうと思ったけど……


水上(みなかみ)君、エンジン回して!」


 私の出番は必要無いみたい杏香は水上君にお願いしていました。


「はあ、仕方ない…… 青木(あおき)、俺のマシーンも回してくれ!」


 そう言いながらジョーカーの混ざった手札をテーブルの上に置いています。本多君がババだったんだ…… あれ、ジョーカー何枚あるの? そういう事で最終日の練習走行開始です。


「路面に水が溜まっているから気をつけてね! まず3LAPくらいはゆっくりね」


「はい」


 そう返事をして二人はコースへ出て行きました。小雨になったとは言え、こんな練習走行でスピンやクラッシュなんて事になったら洒落にならないからね……


「良いか、雨だろうがなんだろうが、勝たなければならない、しっかり走れよ!」


『了解』


 オーナーから直接、無線で激が飛びました。何かあったのかな…… この人は、やっぱり解らないです。

靄っていた霧も晴れて雨も小雨になりました。練習走行最終日開始です。

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