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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
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45 雨……

Team Aoiとの合同練習模擬決勝がスタートしました。スタート直後、三番手だった杏香はオーバーテイクを使って本多君を交わし、パンドラーを抜いて第一コーナーに飛び込みましたけど……

 オートポリスでTeam Aoiと合同の練習走行をしています。


 たった今、模擬決勝レースがスタートして、三番手からスタートした杏香(きょうか)がPPからスタートしたロバートパンドラーをスタート直後にオーバーテイクを使って抜きました。


 勿論、抜かれたパンドラーは杏香を追って背後にピッタリと着いています。


「杏香、行けそう! 大丈夫?」


 私はたまらず杏香に無線を入れましたけど……


『うーん…… あまり、大丈夫じゃないかも……』


 杏香からそう返事がありました。


 杏香の背後には相変わらずパンドラーがピッタリ着いていて、今、最終コーナーを回ってメインストレートに、パンドラーはスリップストリームからオーバーテイクを使い、一瞬で杏香を抜き去りました。


 はあ、敵もなかなかね……


結菜(ゆいな)もなかなか見せてくれるようになった」


 鈴木(すずき)さんがそう言います。一周目の順位はトップが杏香、でもすぐにパンドラーに抜かれたので、杏香は2位になりました。3位に結菜さん? って事は…… 本多(ほんだ)君は4位!


「本多は油断したな」


 鈴木さんがそう言います


「いや、本多君には作戦があるんだろう」


 神田(かんだ)さんはそう言ってるけど、よりによって結菜さんに抜かれるとは……


「本多君、マシーンの調子が悪いの?」


 私はまたもや無線を入れます。


美郷(みさと)さん、大丈夫! ちょっと様子を見てるだけだから』


 どうやら本多君は余裕のようです。ただ、敵は木村(きむら)さんじゃなくてパンドラーなんだけどね……


 その後、杏香はパンドラーに抜かれたけれど、カーナンバー51の背後に着いています。まあ、すぐには抜けそうになさそうだけど……


「美郷さん、タイヤの準備出来ました」


 山口(やまぐち)君からそう言われました。しかし今は12LAPだからちょっと早いかな?


「美郷君、どうかな……」


 オーナーです。うちの順位を知ったら驚くかな……


「本多君は予定通り4位だね」


 えっ、どういう事?


「何故、予定通りなんですか?」


「僕が頼んだんだよ! 木村結菜の走りに問題、いや、変化がないか」


 あっ、それで4位なのか……


「でも、それなら杏香にやらせれば……」


小山内(おさない)さんは上位にいないと、彼女はチームというより本能で走っているから…… そんな彼女が4位にいたら探りを入れられてると思われるよ」


(せい)ちゃん、うちの娘をそういう風に見ていたのか」


 (げん)さんにも話が聞こえたみたいです。


「でも、事実だろう!」


「……」


 まあ、本多君より杏香の事を偵察にと思われる事もあるようで、スタンドにそれらしい怪しい人影も偶にいるみたいだし……


 16LAP目に入りました。


「先に杏香のタイヤを……」


 私がそう言った時……


「いや、本多を先に交換しよう」


 オーナーからの指示なので、ボックスサインをボードで出しますが……


「本多君、偵察は終わりだ! ニュータイヤに交換したらパンドラーを追ってくれ」


『了解』


 なんだかオーナーは好き勝手にやってるな…… まあ、いつものことだけど。


「杏香、20LAP目にボックス」


『了解』


 これで、うちのチームが先手を取った形だけど、パンドラーとは結構差が拡がるかな…… まあ、向こうもタイヤ交換はするだろうけど……




 その後の後半戦、残り7LAP依然としてパンドラーがトップです。二番手は本多君、三番手に杏香、そして、結菜さんと続きます。


 途中、パンドラーもタイヤ交換はしましたけど、タイム差が結構あった為、抜けませんでした。


 その為、トップのパンドラーが独走で本多君から後は団子状態です。


「あれ、降って来ましたよ!」


 えっ、何?


「水上、青木、ウェットタイヤを準備!」


 山口君からそう指示がありましたけど。


「いや、残りも少ないから必要無いだろう。それに小降りだし」


 うん、オーナーはそう言っているけど…… これ以上酷くならないと良いんだけど……


 やっぱり、この時期のオートポリスは判りません! 大体昨日と今日の二日晴れてたのも天候に恵まれていたと思います。はあ、この分だと明日の練習走行は雨なのかな……


「明日の練習走行は雨だな」


 私が思った事と同じような事をオーナーに言われました。


「明日の練習は軽く流す程度が良いですね」


 私がそう言ったら……


「何言ってんだ、良い機会だろう! 実際に本番だって雨になる事はあるからな」


「はあ……」


 オーナーは良いですよ…… 何もやらないから。雨のレースを仕切るのも、マシーンの整備するのも、レースをするのも、みんな大変なのに……


「美郷さん、裏の方は結構降り出したようです」


 山口がそう言いますけど…… 残り5LAP、ウェットに履き替えるのもね……


「本多君も杏香も現状維持! 安全に完走して!」


『了解!』


 私の指示で二人からそう返事がありました。


 残り5LAP、ウェットで勝負をしても良かったんだけど、練習走行で無理する事ないからね。


 そういう事で、結果としては1位にパンドラー、2位に本多君、3位に杏香、そして4位に木村結菜という結果になりました。


「まったく、さっきまで良い天気だったのに、急に大雨になりやがった!」


 そう言いながらメカニックスタッフ総出で本多君のマシーンと杏香のマシーンをピットの中に入れました。


「はあ…… ぐっしょり濡れちゃったよ」


 山口君は全身ずぶ濡れで、そうぼやいています。まあ、濡れたのは山口君だけじゃ無いんだけどね……


「それじゃ、私達はこれで」


 そう言って鈴木さんと神田さんはパドックから出て行きました。


 この雨は明日まで降るのかな…… オーナーから、ああ言われてるから明日も練習走行だよね……

合同練習が終わりました。順位はスタート時と同じ、パンドラー、本多、杏香、結菜の順です。後半ラスト5LAPは雨になって追撃はやめました。しかしながら、敵のデータもゲット出来たし、パンドラーもうちの走りを見て、本番に油断してくれると良いんだけどな……

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