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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
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42 結菜、復活の兆し

合同練習のフリー走行で、杏香に煽られた結菜は、何か吹っ切れたのか杏香のスピードに合わせて走れるようになりました。

 フリー走行の後、私と杏香(きょうか)結菜(ゆいな)さんと鈴木(すずき)さんに食事に誘われました。


「ねえ叔父さん、何故レーシングスーツを脱いだ方が良いの?」


 はあ…… この娘も杏香と同じ思考なのかな……


「結菜は別に構わないんだけど、小山内(おさない)さんは大変な事になるかも知れないからね」


「えっ、どう言う事?」


「小山内さんは結構人気があるドライバーだからね!」


 鈴木さんがそう言うと……


「えっ、私だって少しは人気が…… あるもん……」


 あーあっ、最後の方は尻窄みになっちゃったね…… でも、気を取り直して今度は杏香に訊いています。


「小山内さんは何故、フリーで私の後ろにぺったりくっついていたの?」


 あっ、そうか! 彼女は知らないよね……


「えっ、それは……」


 杏香はちょっと不安気に、私や鈴木さんの顔を見て……


「それは、もっと一緒に走りたいと思ったから……」


 杏香にも、今のこの空気を読む事が出来たみたいね! えらい、えらい。


「あっ、そうなんだ…… でも、今日は凄く楽しく走れたよ! こんなのヨーロッパにいた時以来かも、最初は嫌だなと思っていたけど、なんだか悔しくなって、そしたら自然にスピードが出て、楽しくなって来たの」


 やっぱり、彼女の気持ちが楽になって本来の走りが出来た感じかな……


「午後からも楽しく走ろうね!」


「うん、そうだね!」


 結菜さんにそう言われ、杏香は普通に返事をしていたけど…… 結菜さんのこの言葉に私はホッとした反面、ちょっとした恐ろしさを感じます。彼女を目覚めさせたようで……


 この後、一時半からのタイムアタックがあります。その前に各チーム毎のミーティングをしますけど、流石にミーティングには鈴木さんは参加してないですよね……


「それじゃミーティングを始めます。タイムアタックは前回の鈴鹿同様、本多君、杏香と交互にアタックします」


 私が、いつものようにそう説明をした時でした。


美郷(みさと)さん、タイムをその都度無線で教えて欲しいんだけど」


 本多(ほんだ)君から、そう要望がありました。


「本多、タイムはボード表示で良いだろう!」


 GMはそう言うけど……


「それじゃ、次のタイムアタックをする時にタイムをボードで確認する事になるから……」


「それで良いんじゃないのか?」


 GMは、もっともらしい事を言いますがドライバーとしては、その都度タイムを知りたいのは心理的に解るかな。


「OK、私が無線で連絡します」


 まあ、どうせ記録を付けて次の行動を考えるだけだしね。


「あっ、それなら私が連絡しますので、レシーバーを貸してください」


 小林(こばやし)さんがやってくれるようです。まあ、タイムキーパーだからそうなんだけど…… 四台まとめてのLAPタイムはタイミングによってはどうなんだろう……


「小林さん、四台分のタイムだけど…… 大丈夫?」


 私はちょっと心配です。


「あっ、大丈夫ですよ! 私のストップウォッチは十台分のLAPタイムが取れますから余裕です」


「あっ、じゃあお願いね! 私の予備のレシーバーを使ってもらって大丈夫だから」


 通常はサーキットの方で全車輌のタイムがリアルタイムでモニターに出るんだけど、今日はうちの貸切だからね……


 まあ、そんなところでミーティングも終わりました。


 まあ合同練習なのである程度の相手の行動が判れば、勝敗はどうでも良いんだけど……


 まあ、こんな事を言ったら本多君と杏香から怒られるかな……


 その後もちょっとした確認をした後、ミーティングは終わりました。


 そろそろ時間です。二人ともマシーンに乗って、いつでもスタート出来る体制です。


「OK、出て良いよ!」


 私が合図を出すと、二台はゆっくりスタートして、ピットロードを通りコースへ出て行きました。


 Team Aoiは、先頭にパンドラーが出て行き、続いて結菜さんがコースへ出て行きました。次の周回からアタック開始です。


「今のところ結菜さんはパンドラーに着いて行ってるかな」


 私がそう言っている時、小林さんはレシーバーをいじくっています。


「美郷さん、普通にここを押して話せば良いですよね」


「小林さんヘッドホンをした方が良いよ! 向こうの声もハッキリ聞こえるし、レシーバーのボタンも押さなくて良いから」


 私は小林さんに便利な使い方を教えました。


 その時、パンドラーと、結菜さんのアタックが始まりました。


 杏香と本多君は、今さよりんブリッジを潜ったところですけど、Team Aoiは二台一緒にアタックするみたいです。


『小林さんアタックを開始します』


「了解」


 そういう事で本多君がアタックします。


 第1コーナーを回ってEKチェーンコーナーに差し掛かった時、結菜さんに追いつきました。


 本多君は第3、第4コーナーで交わそうと思っていたみたいだけど、結局30Rの第6コーナーで結菜さんを捉え追い越しました。結構なタイムロスです。


 その時、パンドラーがメインストレートを通過して行きました。


「美郷さん、よそのチームのタイムも無線で言うんですか?」


 小林がそう訊いたのですが……


『小林さんうちのチームだけで良いよ! 必要な時はこっちから訊くから』


 本多君からそう無線が入りました。無線のスイッチが入っていたようです。


 私は可笑しくって仕方ありませんけど、笑いを堪えました。


『小林さん、今からアタックします』


 今度は杏香です。


「了解」


 その時、本多君がメインストレートに戻って来ました。


「本多君、1分27秒876です」


 まあ、一回目としてはそんなもんかな……

フリーで杏香に煽られた結菜は、ある程度スピードを出せるようになったようだったけど、タイムアタックでは今ひとつのようです。

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