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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第一章 teamKAEDE
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4 決着

小山内さんが最終戦でトップを走っていたマシーンのスピンに巻き込まれリタイヤした。彼女は結果次第ではタイトルを逃してしまうかも、そうなるとどうなるんだろう……

 小山内(おさない)さんがリタイヤした! 私達が遅めの昼食を食べてるときに、その報告はGMの深田(ふかだ)さんからあった。


「怪我はなかったの?」


「そこは判らないけど、トップの車がスピンして、2位を走っていた彼女が巻き込まれてコースアウトタイヤバリアに衝突したらしい」


 私はちょっと心配です。でもこうなると、年間チャンピオンも危ういんじゃ……


美郷(みさと)、行かなくて良いのか?」


 川嶋(かわしま)君がそう言うけど、部外者の私が行ったとこで状況は変わらない……


「うん、大丈夫だよ! 何かあったら連絡があると思う。名刺だって渡しているから……」


 でも、トップを走ってスピンした奴って誰よ! 彼女、ショックだろうな……




 その後、私の元には何も連絡は無く、鈴鹿GPの日が来た。土曜日のレースでは、川嶋君がPP(ポールポジション)でその後三番手に本多(ほんだ)君が続いた。


 川嶋君は予選でも3ポイント加点して、よほどの事が無い限りチャンピオンだろうというとこまで来た。


「川嶋君、勝ったら決まりだね」


 私がそう声を掛けたが、彼は顔を顰めて私を見て言った。


「レース前に言うなよ、プレッシャーになるだろう」


 そんな性格じゃないでしょう。


「いつからそんな小心者になったの?」


「はあ、酷いな……」


 彼はそう言ってマシンのコックピットに納まりステアリングを取り付けた。

 本多君は、いつも通りコックピットの中で目を閉じて瞑想しているようだ。


 その後、ウォーミングアップをしてスターティンググリッドに着きレースが始まる。一度レッドシグナルがつぎつぎに点灯していき全て消えたその時、マシンのエンジン音が唸りを上げ、各車タイヤをアスファルトに擦り付けながら動き出す。そのコース上は焼けたタイヤとオイルの匂いが漂う…… それはレースの始まりを意味する。


 先頭は川嶋君、本多君は二番手に上がった。二人とも調子よく好スタートを切った。


「川嶋君はいつも通り逃げ切って!」


『了解』


「本多君は二番手をキープ。後続をブロックして!」


『了解』


 あとは、タイヤ交換をいつするかで勝負が決まる。大体15LAPから20LAPくらいで交換するのがベストだと思うけど、一周5.8kmを31周もしくは75分。まあ、普通なら60分以内には終わるけど、アクシデントがあったりして、セーフティカーが入ると75分を上限にファイナルラップを迎える。


「美郷さん、取り敢えず15LAPくらいを目安に交換しようか」


「はい」


 深田さんはそう言って山口君達に指示をします。タイヤウォーマーに包まれたタイヤが2セット準備されました。何もなければこれで行けるはず……




 レースは13LAPにはいった。


「川嶋君を先に17LAPでボックス、その後18LAPに本多君を!」


「了解」


 私がそう指示を出した時、川嶋君がメインストレートを通過した。


「川嶋、今日は乗ってるな、ファステストを出しているよ」


「えっ、ちょっと調子に乗って、大丈夫なの?」


 私はちょっと心配になりました。でも深田さんは笑顔で……


「問題無いよ! あいつ2位の本多と15秒余裕があるからタイヤ交換に入ってもギリトップで戻れるかもな」


 私が、ちょっと考え過ぎてるのかな……


「川嶋、ピットインです!」


 予定通り17LAPでピットインです。


「美郷、本多に俺を追って来いと言ってくれ、勝負だと」


 そう言うとタイヤ交換をして私の返事も訊かずピットアウトした。その時間およそ7秒! まったく勝手だな……


「あいつ、変わったな」


「うん、変わらないとF2じゃ通用しないんでしょう」


 私がそう言った時……


「本多ピットイン!」


 本多君が、タイヤ交換のためピットインです。


「本多君、川嶋君が勝負だってよ!」


「えっ、でも後続が……」


「そんなの私が免除するわ! 川嶋を抜きなさい」


 私がそう言うと……


「はい」


「完了、GO!」


 そう言われて、本多君も8秒くらいでピットアウトした。


「あーあっ、もし、何かあったらどうするんですか!」


 深田さんが他人事みたいに言いますけど……


「その時は、私が責任を取りますよ!」


 私も心配だけど、何故かあの二人の勝負を見たくなった。


「またまたそんな事言って、それじゃ責任免除みたいなもんでしょう! 美郷さんがいないとチームがまとまらないんだから」


 はあ…… 私は信頼されてるのね。


 そしてレースは後半、川嶋君、本田君の一騎打ちに見えたけど、カーナンバー7番が本多君を抜いて2位に……


「あいつは中森(なかもり)か…… 元F1パイロットの意地だな」


 抜かれた後も本多君は一生懸命後方から攻めますけど、ブロックされています。カーナンバー7番ってたしか予選2位だったよね! スタート直後に抜かれたのが、余程悔しかったのかな……


 そして、そのままチェッカーフラッグを受けレースは終了しました。


 優勝は川嶋君、2位にYAMAGUCHIレーシングの中森、3位に本多君が入った。


「くそ、中森が邪魔しなければワンツーで行けたのに」


「すまん! 俺が抜かれなかったら……」


 本多君はよくやったよ! 二人で表彰台に上がったんだから……


 私はそう思ったけど…… この二人の間に入る隙は無いみたいです。もう一年、このチームでやれたら、チームランキング一位も夢じゃなかったと思う。


「本多、明日が最後だ! ワンツー取るぞ!」


「ああ!」


 これで、川嶋君は最終戦を残し年間チャンピオンが確定した。はあ…… こう言うのって何だか羨ましいな。


最終戦を残し年間チャンピオンが決まった。あとは最終戦を残すのみだ。この二人は最終戦でワンツーフィニッシュを決めることが出来るだろうか……

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