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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
38/132

38 1000分の2秒差

本多VS杏香に決着が…… 最終コーナーからメインストレートへ二台のマシーンは横一列のままゴールしました。先にゴールしたのは……

 練習走行一日目のオートポリスです。今、模擬決勝レースが終わろうとしています。


 最終コーナーを回ってメインストレートを横一列にゴール目指して二台は爆走して、チェッカーフラッグを受けましたが、私の見立てではほぼ同着に見えましたけど……


 でもモニターでは、ちゃんと勝敗を捉えていました。


「はあ、あと少しだったのに……」


 杏香(きょうか)はそう言って俯いています。


「はあ、何言ってんだよ! まだ解んねえだろう」


 本多(ほんだ)君がそう言いながら二人一緒にパドックへ戻って来ました。


「解りますよ! 走っていたのは私達なんだから」


 何やら揉めてるようだけど……


「何揉めてるの!」


 私は笑顔で訊きましたけど……


「えっ、私は本多さんが勝ったと思うんだけど……」


「あのな、あれだけ僅差だったんだからな、どっちが勝ったかなんて判らないだろう」


 流石レーサー、あんなに僅差だったのに勝ち負けはきちんとつけたいようです。


小林(こばやし)さんがタイムを測っているから訊いてみたら」


 私がそう言った時でした。


「勝ったのは本多君よ!」


 小林さんは楽しそうだけど、冷静さを装ってそう言いました。


「やっぱり……」


 結果を聞く前から杏香は解っていたんだね……


「でも、何故解っていたの?」


 私は杏香にその根拠を訊きました。


「だって、ゴールラインを通過した時、本多さんのマシーンがちょっとだけ私の前だったんだよね……」


 それが、あの一瞬で解ったの? レーサーの動体視力は凄いわね!


「でも、タイム的には0.002秒差なんですけどね!」


 えっ、なにそれ!


「小林さん、どういうこと?」


「本多さんが、1時間6分48秒546で、小山内さんが1時間6分48秒548です」


 という事は…… 1000分の2秒差で本多君が勝ったって事か……


 本多君はSFドライバー四年目、杏香は一年目…… この娘は凄いドライバーになるかも知れない。


「杏香、何故最終コーナーで抜かなかった? おまえなら出来ただろう」


 (げん)さんが杏香に訊いています。


「なに! おまえ、最終コーナーで俺を抜くつもりだったのか?」


「うん、そのつもりだったんだけどね、タイミングがズレちゃって……」


 それを聞いた本多君も源さんも苦笑いするだけでした。やっぱりこの娘は末恐ろしいです。


「いや、凄いレースでした小山内(おさない)さん」


 月刊フォーミュラの神田(かんだ)さんが、そう言いながら近づいて来ました。


「あっ、あんた何故ここにいるんだよ!」


 本多君がそう言いましたけど……


「あっ、ちょっと待って! 今回はちゃんと許可をもらっているから」


 神田さんも、本多君に言われて、ちょっと慌てているかな。


「許可って誰にもらっているんだよ!」


(かえで)さんだよ! 楓オーナーと深田(ふかだ)GMに取材の許可はもらっているよ」


 そう言われ、本多君も少しは警戒を緩めた見たい。前回のミーティング前の事もあるからね……


「それで、何が訊きたいんですか!」


 本多君がそう言いますけど……


「あっ、いや、君じゃなくて小山内さんにインタビューを……」


 それを訊いた本多君は、ちょっと恥ずかしそうに……


「あっ、そう……」


 素っ気なく返事をした本多君はパドックの外へ出て行きました。今のは調子悪いよね……


 でも杏香としても、模擬的なレースとはいえ負けた訳だからなんとも言えない感じです。そこで、神田さんはタイムアタックの件を色々訊いてるみたいです。


「小山内さんありがとうございました。本番も頑張って下さい」


 そう言って神田さんはパドックを出て行きました。


 その後、私と杏香、それに小林さんの女子三人でパドックビルのレストランでブレイクタイムです。


「ねえ杏香、ゴールの瞬間ってはっきりと見えたの?」


「えっ、ゴールの瞬間ですか……」


「ほら、杏香より本多君が少し前にいたって!」


 杏香は、一瞬考えたような仕草をしましたけど……


「はい、ゴールの瞬間、本多さんが気になっていたから見てました。ほんの一瞬の事でしたけど」


「ふーん、動体視力が凄いのね!」


 私が言いたかった事を、小林さんがさらりと言いました。まったくもう……


「うーん、それって…… 動体視力なんでしょうか」


 まあ、杏香にもハッキリとは判らないのかも知れないわね!


 私と小林さんは、飲んでいたカフェオレが無くなったので、先にパドックへ戻ろうとしましたけど……


「美郷さん、私、もう少しここでパフェを食べていても良いですか?」


「良いわよ! 今日の練習はもう終わりだから」


 私がそう言った時、杏香はフルーツパフェを美味しそうに頬張りながら笑顔です。こうしていると、普通の可愛い女の子なんだけどね……


 私と小林さんが、そのままパドックへ戻って行ってる時でした。


「あの…… 小山内杏香さんですよね」


 そう言って私が座っていたところに一人の女性が座りました。あれは、木村結菜(きむらゆいな)……


 前にも一緒にいたと思うけど、仲が良いのかな…… 私はそう思いながら、そのまま小林さんと二人パドックへ戻りました。

練習走行一日目が終わりました。しかし、さっきまで一緒だった杏香の前には木村結菜さんがいます。あの二人は仲が良いのかな……

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