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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第三章 チームとドライバー
35/133

35 セナとプロスト?

杏香のタイムを聞いて、血相を変えて飛び出した本多君、でも杏香はタイムアタックをいかに有利にするかを考えている…… この辺の違いかな……

 血相を変えて出て行った本多(ほんだ)君が2セット目1回目のアタックで意地の1分26秒426を出しました。やれば出来るじゃない!


 まあ、7周目となると32km走った訳だから燃料タンクも少しは軽くなったのかな……


 しかし、杏香(きょうか)の存在は恐ろしいです。本多君より良いタイムを出し続けているし、車輌重量や燃費の事も考えてマシーンに乗っている。ファーストドライバーの風格さえさあるように見えるのは私だけでしょうか?


 ただ、好きで乗ってるだけじゃないんだね……


 その後、本多君も二回目のアタックを終えました。


「本多さん、一回目が1分26秒426。二回目が1分26秒094。三回目が1分25秒981です」


 うん、やっと25秒台が出たね。


 そう思って一安心した時でした。


小山内(おさない)さん、1分25秒846です」


 それを聞いた本多君は、また顔を顰めていますけど…… 何だか様子が変です。


「はあ……」


 本多君はパドックの天井を見上げてボーッとしています。


「本多君、どうしたの? 大丈夫?」


 私はちょっと心配になりましたけど……


美郷(みさと)さん、俺なんかよりあいつの方がファーストドライバーの素質がありますよ……」


 ちょっと、敗北宣言みたいな事言わないでよ! 一週間後に本番があるって言うのに……


「ちょっと本多君、こっちに来て!」


 私は本多君の手を握ってパドックの裏に連れて行きました。


「なっ、なんですか!?」


 彼はちょっと驚いたように顔を赤くして言いました。


「あのね本多君、杏香の方がちょっと速いくらいで何言ってるのよ!」


「そ、それは、事実だろう……」


「でも、あなたは決勝レースの組み立てが上手いの! だから開幕戦は優勝したでしょう」


 私はそう言ったけど彼は顔を顰めて……


「それは、あいつが他のマシーンと接触して自滅したから……」


「それはそうだけど、他にも敵は沢山いるのよ! 例えば、中森(なかもり)とか谷山(たにやま)とか……」


「それは…… そうだけど……」


「いくらタイムが速くても、優勝出来るとは言えないわ!」


「そうとは限らないだろう、早い奴が前を行くんだよ!」


「アイルトンセナを知ってる!」


「はあ?」


 彼はちょっと困惑してるかな……?


「えっ、いきなりなんですか?」


「知ってるの?」


「知ってますよ! 音速の貴公子ですよね」


「そう、彼はマクラーレンにいた時、チームメイトのアランプロストより速かったの」


「だから、ワールドチャンピオンになりましたよね!」


「ええ、でもプロストは、優勝出来なかった時でも必ず、2位か3位に着けていた」


「それがなにか?」


「セナは優勝出来なかった時はリタイアが多かったの! だからポイントは常にプロストが上だったし、ワールドチャンピオンだってセナより先になっているの!」


「えっ、それって……」


「あなたはプロストのようにレースを見極める事が出来る。だから、あなたは決勝レースで実力を出しなさい」


「そ、それって、俺にプロストになれってこと!」


 はあ…… そういう事じゃないんだけどね、でも……


「ハハ、何言ってるの? なれる訳ないでしょう!」


 私はちょっと、笑ってしまった。


「なんだよ! それ」


 でも、ちゃんと通じたかな…… 予選で実力を出せる人もいれば、決勝で実力を出せる人もいるんだから、まああいつは予選でも決勝でも良い走りをしてたけどね!


 私がパドックへ戻った時、杏香は2セット目を終えていました。


「美郷さん、1分25秒628ですよ!」


 杏香は自身満々に小さい胸を張って言いますけど……


「えっ、何が……」


 私がそう言った事で、杏香の目が点になってるような……


「もう、今日一のタイムなのに…… 絶対喜んでくれると思ったのに!」


 杏香は頬を膨らませて怒っていますけど、なんだか可愛い…… 私は、笑ってしまった。


「ちょっと、何が可笑しいんですか!」


 また、頬を膨らませています。


「ハハ、ごめん! でも、杏香が頬を膨らませて怒っている姿が可愛くて!」


 私がそう言ったら杏香は、急に恥ずかしそうにタオルで顔を隠しました。はあ、若いって良いな、どんな仕草でも可愛く見えるから……


「あ、あの…… 3セットマッチでしたよね!」


 本多君はもう1セットやるつもりだけど……


「もう、2セット落としてるでしょう! 本多君の負けよ」


 私がそう言ったら、彼はちょっと項垂れてしまいました。もう、なんでそういう態度を取るかな……


「それよりも、今度は決勝レースを模擬的にやって勝負してみたら?」


 私がそう言った時、本多君はハッとしたようでした。


 そうだよ本多君、決勝レースはそういう事だよ! あなたがあなたらしくレースを出来るでしょう。


「私は構いませんよ! マシーンに乗れるのなら大歓迎です」


 杏香はやっぱり、レースが好きだね! でも、なんだか上から目線のように見えたのは私だけでしょうか……

 

タイムアタック勝負では、杏香が勝ちました。でも、今度は実践的な決勝レースを模擬的にやります。そう、これは本多君が有利にるはずなんだけど……

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