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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
31/133

31 人とマシーンの傾向と対策

鈴鹿のレースは残念でした。本多君と山口君はいつもは仲が良いんだけど、あんな言い争いをした後だから…… でも、杏香のお父さんがチームに来るなんて……

 レース終了後、いつもの反省会という名目の宴会です。


 私が予約された部屋へ入って行くと……


「あっ、美郷(みさと)さんお疲れ様です!」


 山口君はもう来てたんだ。


「お疲れ様」


 そう言って私が下座の方に座った時でした。


「あれ、小山内(おさない)さんは一緒じゃなかったんですか?」


 あっ、そういえば…… 小林(こばやし)さんに訊かれました。


「そう言えば、パドックを出てピットビルのとこで誰か女の人に声を掛けられてたみたいだけど……」


「取材か何かですかね?」


「多分そうじゃないかしら、今じゃあの娘もSFで結構人気が出たみたいだから」


 私は気にも掛けていなかったけど……


「良いんですかそんな悠長な事を言ってて、今頃メディアに囲まれてたら大変ですよ」


 た、確かに…… でもまあ、最近は月刊フォーミュラの記者さんもあまり強引な取材はして来ないから、でも……


「私、ちょっと見てこようかな」


 そう言った時でした!


「あれ美郷さん、何処かに行くんですか?」


 私より少し遅れて杏香(きょうか)も蛍亭に到着です。


「杏香、何処に行ってたの?」


「えっと…… お母さんが来ていて、ちょっとだけ話をして来たの……」


 それに気付いた杏香のお父さんも……


「杏香、何か言われたのか?」


「うん…… リタイアして残念だったねって」


「それだけか?」


「うん、オートポリスは行けないけど、茂木(もてぎ)には応援に来てくれるって」


「そ、そうか……」


 杏香のお父さんは、それを聞いて、オーナー達の元へ戻りました。


 杏香も大変だね!


「よし、全員揃ったかな、それじゃ新しいメカニックを紹介する」


 オーナーがそう言った時、杏香のお父さんがオーナーの横に立ちました。


小山内源三(おさないげんぞう)さんだ! もう知ってると思うが小山内杏香さんのお父さんだ。メカニックとしての腕は申し分ないから即戦力になると思う」


「小山内源三です。娘共々よろしくお願いします」


 杏香のお父さんは、そう一言挨拶されました。


「何だか紛らわしいですよね」


 杏香はそう言うけど……


「小山内さん、それじゃお父さんの事は(げん)さんと呼ぶようにするよ! 僕もGMも昔からそう言ってたから」


 源三さんはちょっと顔を顰めていますけど……


(せい)ちゃんそう言うのは……」


「おまえだって呼び方が昔に戻っているだろ」


「じゃあ、俺は(ひで)ちゃんなのか……?」


 この三人は、既に昔に戻っているんだろうな…… 何だか羨ましいわ。


「それじゃ、源さんの新加入を祝ってカンパーイ!」


 皆んなビールの入ったグラスを掲げて歓迎してくれました。あっ、私は烏龍茶で、杏香はオレンジジュースで乾杯しました。ここはお魚の美味しい居酒屋さんです。今日も刺身の盛り合わせや天麩羅があります。


「杏香は、何食べてるの?」


「あっ、私は鱚の天麩羅と鳥の唐揚げです」


 凄くおいしそうです。その時!


「美郷さん、いつものありますよ!」


 店の大将がそう言いながら料理を運びます。そう言われたら頼まない訳には…… 私はいつもの煮付けを頼みました。これって日本酒に合うのよね。


「美郷さん何ですか、これ」


「アカムツの煮付けよ! 美味しいのよ、食べてみる?」


 そう言って私達はお互い頼んだ料理をシェアしながら食べます。


「しかし、今日のレースは残念だったよな」


 また本多(ほんだ)君は愚痴をこぼしながらビールを飲んでいます。こんなにしつこい奴だったかな…… 美味しい料理が不味くなるじゃない! 


 それを聞いてる山口(やまぐち)君は、嫌な顔をしてる? こんな事でチームの輪が乱れないと良いんだけど……


「でも私は、タイヤの内圧を調整してくれた山口さんのお陰でいつも通りの走りが出来たと思います」


 いや、結局リタイアしたけどね! でも杏香は大人だよ。どこかの誰かさんとは大違い。本多君にも杏香の爪の垢でも飲ませてやりたいわ!


 それに、いつまでもあんな事を言われたら鬱陶しいです。


「まあ気にするな、原因はそのうち判るだろう! なあ、山口チーフ」


 源さんのその呼び方もちょっとどうだろう?


 反省会、いや、飲み会も終わり私達はそれぞれ店を後にしました。言い争っていたあの二人はお酒の力も借りて、仲良く二件目に行くみたいです。オーナー達三人もタクシーでどこかへ行ったみたい。


「美郷さん、ホテルに戻る?」


 小林さんです。


「私は、もう戻ろうかな……」


「岩盤浴に行きませんか?」


 私と杏香を誘って来ました。岩盤浴か……


 そういう事で、私達三人は岩盤浴へ行った後ホテルへ戻る事にしました。




 鈴鹿のレースから二日後、マシーントラブルの原因が判りました。パワーユニットに雨水が入ったと思われていたけど……


「パワーユニットは問題ないようだね」


 ホンダのエンジニア経験がある源さんと山口君で原因究明をしたところ、電気系統のトラブルだった事が判明しました。アクセルを踏む事で燃料が電子制御によりエンジンに噴射されるはずなのですが、上手く機能してなかったようで、結果的にスローダウンしたようです。


「雨のレースでは、電気系統のトラブルは付きものだからね」


 とは言っても、何故そうなったのかは判らないままです。まあ、雨水で電気系統が故障したんだろうけど…… 源さんも山口君と二人で今後の対策を考えないといけないのですが、これと言った原因が……


 とにかく第3戦オートポリスは雨のレースになる事が多いので、何かしらの対策は必要でしょう。


 この問題は、今後のレースに影響を及ぼす事になるかもしれません。

リタイアの件で揉めてた二人も宴会後、二軒目に一緒に行くくらい仲直り出来てたので良かった! しかし、ウエットになる可能性が高いオートポリス…… 原因究明は急務です。

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