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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
28/133

28 決勝前、ドライバーの気持ち

予選Q2前、杏香はかなり心配していたみたいだけど、いざ予選Q2が始まると嘘みたいに良いタイムを出し、予選2位に、本多君が予選3位に着けました。この分で行くとワンツーも望めるかもです。

 今日は、第2戦鈴鹿(すずか)での決勝が行われます。10時10分からフリー走行、決勝は午後3時からの予定です。今日の天気は晴れ、コースもドライなのでタイヤ交換の時期を考えないとですね。


「今日もウェットタイヤは準備するんですか?」


 杏香(きょうか)は何を言っているのか……


「何言ってるの、今日は晴れてるでしょう!」


 私は何気にそう言いました。


「うん、そうだけど……」


 昨日、雨で予選をしてるから心配なのかな……


「まあ、必要無いとは思うけど、ウェットタイヤも1セットずつ準備はしてるよ」


 そう言うのはチーフメカニックの山口(やまぐち)君です。まあ、今日は必要無いとは思いますけどね。


小山内(おさない)、そろそろコースへ行くぞ!」


 本多(ほんだ)君がそう言って、彼女の手を握って引っ張って行きます。


「えっ、痛い! ちょっと、痛いから離して!」


「力は入れてないだろう」


「馬鹿力!」


 そう言いながら杏香は握られていた手を振り払い撫でています。


「ふっ、とにかく準備するぞ」


 そう言って本多君はカーナンバー67番のマシーンに乗ってさっさとピットロードへ出て行きました。


「もう、いつもはのんびりしてるのに何なのよ!」


 愚痴っている杏香の側でエンジンを掛けている水上(みなかみ)君が一言……


「予選で負けたのがよっぽど悔しかったんじゃないか」


「えっ、負けたって誰に……」


 水上君は、頭を振りながら苦笑しています。


「誰っておまえだよ!」


「えっ、私?」


 そうか、杏香は予選2位で本多君は3位だもんね! それであんな態度を…… 本多君も意外と可愛いわね!


「えっ、でも昨日は雨だったし……」


「雨は関係ないだろう! ほら、エンジン掛かったぞ!」


 何だか水上君も不機嫌というか、ツンケンしているような感じです。


「うん、ありがとう」


 この二人結構良い感じなんじゃないかな、まあこの会話を聞きながら一人ニコニコしている小林(こばやし)さんはちょっと気持ち悪いかも……


 そして、杏香もコースへ出て行きフリー走行が始まりました。


 二人とも水を得た魚みたいにスピードをセーブする事なく走っています。あっ、ドライだから水はないのか……


「二人とも1分36秒台で走っているから問題なさそうね」


「ねえ小林さん、今日は雨は降らないよね」


 私がそう訊いたら、彼女は不思議そうな顔で……


「ええ、天気予報では晴れって言ってましたけど……? えっ、降るんですか?」


「いや、杏香が気にしていたから……」


 いや、まさか反対に訊かれるとは……


 決勝前のフリー走行は三十分で終了です。マシーンの仕上がりも万全のようなので、あとは決勝に備えましょう。


 お昼を済ませた後、ミーティングをするつもりだったんだけど…… いつぞやの記者さんが来ています。


「あっ、取材はレースのあとでお願いします」


 私ががそう言いましたけど……


「そんな事言わなくても良いじゃないですか」


 あの人は、月刊フォーミュラの……


「あの、今からミーティングなので遠慮してもらえますか」


「あっ、俺は気にしないからやってもらっても構わないよ!」


 何言ってんだか…… 部外者、しかも記者のいるところで出来る訳ないでしょう。こんな時にGMがいてくれればな…… こんな時に限ってオーナーに呼ばれているんだよね……


 私も小林さんもちょっと困ってしまいました。


「オイあんた、いい加減にしてくれないか!」


 山口君が不機嫌そうに言いました。


「あっ、こっちも仕事なんだよ! 邪魔しないでくれないか」


 いや、記者さんも機嫌悪そうに答えてます。負けてませんね……


「あんただけが仕事をしてるんじゃないんだよ! 邪魔だって言ってるのが解らないのか」


 いや、山口君が怒ったとこは初めて見たような……


「あの、ミーティングが終わったら取材してもらっても良いので出て行ってもらえませんか? 言う事を聞いてもらえないならそれなりの措置を取りますけど」


 私がそう言った時、スタッフの皆んなが記者さんを睨みつけていました。流石にこの圧には耐えられないでしょうと思うくらい視線が注がれています。記者さんもこれには耐えられないようだけど……


「解ったら出て行ってもらえませんか!」


 部屋の端っこにいた本多君も凄く睨みつけています。


「わ、解ったよ! ピットビルにいるから必ず来てくれよ」


 そう言って記者さんは出て行きました。


 はあ…… メディアというのは困ったものです。


 この後、無事ミーティングも終わりいよいよ決勝がスタートします。


「本多君、杏香、ミーティング通りによろしくね!」


 私はそう言って定位置に着きます。二人ともコースへ出て行き、コースを一周回った後、それぞれのグリットに着きます。


 PP(ポールポジション)はカーナンバー51番ロバート・パンドラーです。2番手に杏香、3番手に本多君、4番手にカーナンバー7番中森(なかもり)、5番手にカーナンバー5番の松島(まつしま)がいます。


 今、最後尾のマシーンがグリットに着きました。いよいよスタートです。レッドシグナルがひとつずつ点灯していきます。この瞬間は、グリットに着いていない私も緊張して胸がドキドキしています。


 レッドシグナルが五つ点灯して、今ブラックアウト! レーススタートです。


 二列に並んでいたマシーンが一斉にスタートして、次々に第一コーナーに吸い込まれて行きます。その後、S字コーナーから逆バンクを難なく通過して行きます。その後、デグナーカーブからヘアピンを過ぎスプーンカーブへ、そこから西側ストレート、130R、最後にシケインを通って最終コーナーからメインストレートに戻って来ました。


 オープニングLAPはロバートパンドラーで1分37秒286です。2番手に杏香、3番手に本多君が続きます。立ち上がりは上場ですね!


決勝レース前は色々とありましたけど、問題なくスタートをする事が出来ました。今日のレースはワンツー、まあ悪くても2位と3位で表彰台を狙えそうです。

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