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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
23/132

23 開幕戦が終わって……

レース終了後、小島に待伏せされた美郷はちょっとだけ話をしたけど、川嶋がクレームの電話をしてくれてたみたいで、納得してもらったようだけど……

 私は、小島(こじま)君の相手をしなければいけなかったので、遅れてふく福に到着です。


「あの、KAEDEの山口で何人か来てると思うんですけど……」


 私はお店のスタッフさんに訊きました。


「ああ、ご予約の方ですね! 正面のお部屋です」


 ご予約? そう言われたので、私は言われるままに奥へ行くと……


「ご予約のお客様です!」


 いや、そんなに大きな声で言わなくても…… ちょっと恥ずかしいです。


 私はもう一人のスタッフさんに案内されてみんなのもとに到着です。


美郷(みさと)さん遅かったですね!」


「うん、ちょっとね……」


「美郷さん、ビールで良いですよね!」


 いやいや、私が酔っ払ったら駄目でしょう! 最後は誰が面倒見るのよ。


「あっ、烏龍茶をお願いします」


 私は、山口(やまぐち)君を無視してスタッフさんに注文しました。


「また飲まないんですか?」


 山口君はどうして私に飲ませたいのか…… ひょっとして、私の事が…… いや、無いな!


「はい、それじゃ、美郷さんが来ましたのでもう一度乾杯します。乾杯!」


 なんだ、私を待たずにもう始まっていたのね!


「美郷さん、ここのおでん美味しいですよ!」


 あっ、静岡おでんね! 関東風や関西風とも違うけど、美味しいよね。なんと言ってもあの黒いスープ、鯖や鰯を使った黒はんぺん、あと大根は欠かせない。静岡おでんは全ての具材に串が刺してあるから食べやすいです。


杏香(きょうか)、お酒は飲んでないでしょうね!」


「もちろんですよ、もうあんなに苦しい思いはしたくないもん! でも、ちょっと苦味があるけどあの喉越しは良いかな」


 また、変な事を言っているけど、あなたはまだ未成年だからね!


「ねえ山口君、ここの店は予約していたの?」


「はい、レースが終わったらみんな行くと思っていたから」


 赤い顔をした山口君がそう言います。いや、それはあなた達数人だけじゃ……


「でも、うちのチームが優勝するとか解らなかったわよね」


「優勝しなくても反省会はするでしょう」


 反省会……? と言うよりそういう名目の飲み会だね、それに誰も反省してないし……


「それにしても小山内(おさない)さんは速かったね!」


「いや、そんな事はないですよ」


 彼女も少しは謙遜しているようだけど…… GM、あまり褒めないで!


「私、F4の時からもう少しマシーンのスピードが出ないかなって思っていたんです。だからSF23の加速やパワーは、私が一番欲しかったものなんです」


 この娘は、根っからのスピード狂かもね! 私も高速では結構飛ばすからそうかも知れないとは思っていたけど、彼女は時速240km/hでも満足出来ないなんて異常だわ! まあ、それに比べたら私のスピード狂なんて可愛いものよね!


「小山内さんの今後の活躍が楽しみですよね! GM」


 出た、山口君の褒め上戸! もう結構お酒が入っているみたいね…… でもまあ、杏香の第2戦鈴鹿(すずか)は、F4の頃から何度も走っているコースだから楽しみです。でも、第3戦のオートポリスはちょっと心配かも知れない……




 彼女は今日も、ジムに…… じゃなくて、2階のシミュレーションマシーンを楽しんでいます。


「杏香、飽きないね!」


 私はちょっと呆れています。


「これ、面白いですよ!」


 平然と彼女は言いますけど……


「また、オートポリスをやってるの?」


「はい、だって第2戦はオートポリスでしょう!」


「えっ、違うわよ! 第2戦は鈴鹿だけど」


「あっ、そうか…… オートポリスの前に鈴鹿があったんだ」


「でも、偶には茂木(もてぎ)とかSUGOとかもやれば! そのうち行かないといけないんだし……」


「そうだけど……」


 なんだか神妙な顔をして杏香らしく無いな……


「なんだ、またやってるのか!」


深田(ふかだ)さん」


 あれ、GMが来るなんて珍しいわね……


「なんだ、また雨のレースをやってるのか?」


「だって、オートポリスで雨が降ったら、かなりスリッピーかなって……」


 えっ、それでずっとオートポリスの雨のレースをやってるの?


「深田さん、杏香はずっとやってるの?」


「うん、ここのところずっとだな! まあ、オートポリスはこの時期、雨が多いからな…… 予習をしておくのも良いかも知れない」


「でも、その前に鈴鹿があるでしょう」


「まあ、まあ、彼女なりに心配なんだよ」


 確かに、オートポリスでは、あまり良い思い出は無い。


 去年だって初日のフリー走行から雨で、おまけにQ1B組が始まったくらいから霧が出て来て、Q1B組までは何とか終わったけど、Q2は翌日に延期…… 決勝レースも大雨、セーフティカーが入って何周か先導したけど、霧の所為で結局レッドフラッグで中断、その後も回復の見込み無しと言う事で、途中で終わっちゃったんだよね……


「杏香、あなたって凄いのね」


「えっ、そんな事無いよ!」


 この娘は、レースの事になったら私よりも万全を尽くすタイプなのかも知れない。本人は自覚が無いのかも知れないけど……


「なんだ、小山内はまたシミュレーションしてたのか?」


 本多君が首にタオルを掛けて入って来ました。多分、ジムでトレーニングをしていたんだと思うけど……


「はい、面白いですよ! 本多(ほんだ)さんはしなくて良いんですか?」


「俺は体力増強してるから大丈夫だ!」


 この二人は対照的だね、どっちも大切だと思うんだけど……


第2戦鈴鹿に向けて、本多も杏香もそれぞれドライバーとして準備をしているようだけど……

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