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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
22/132

22 ポイント獲得

開幕戦が終了、トップ争いをしていた杏香は7位に終わった……

 開幕戦が終了しました。


 優勝はうちのエース本多(ほんだ)君、2位にYAMAGUCHI Racingの中森(なかもり)、3位にteam pantherの松島(まつしま)…… そして7位に杏香(きょうか)が入りました。


 本当なら2位表彰台だったのに無理するから……


 表彰台では本多君が一番高い所で優勝のトロフィーを受け取ったあと、上位三人でシャンパンファイトを楽しんでいます。


 本当は、杏香もあそこに立っていたかも、そしたらスーパーフォーミュラ女性初の表彰台として、話題になっていたかも知れないのに……


「まあ、何はともあれ1位と7位になれたんだ。良かったよ!」


  GMはそう言うけど、楽観的だな…… その時、杏香がパドックに戻って来ました。


「杏香、何故無理をしたの?」


 私はつい、言ってしまった……


「えっ、だって……」


美郷(みさと)さん、もう良いじゃないか! それにポイントだって4ポイント獲得したんだから……」


 GMは甘いな……


「そうですけど、本当なら2位と3位になっていたのに……」


 すると彼女は、ちょっと項垂れているようです。


 しまった! ちょっと言い過ぎたかな…… でも彼女は、神妙な面持ちで言いました。


「私…… ポイントを獲得したんですか?」


 その表情は、ちょっと嬉しそうです。


「はあ…… もう良いわ!」


「でも、良かったよ」


 チーフメカニックの山口(やまぐち)君です。


「何が良かったのよ?」


 私はちょっと不機嫌に訊きました。


「だってマシーンが、接触したからちょっと心配したんだけど、リアタイヤが損傷してるだけだから」


「山口、ホイールやサスペンションとかは大丈夫なのか?」


「はい、タイヤを組み替えるだけで問題ありません」


「うん、それは良かった!」


 そう話をしている時、パドックの外が騒がしいです。何かあったのかな……


「失礼します! 月刊フォーミュラです」


 月刊誌やスポーツ新聞の記者さん達がいます。


「あの、どうかしたんですか?」


 あまりに唐突なので私が訊きました。


「どうかしたって…… スーパーフォーミュラ女性初のポイント獲得ですよ! インタビューをお願いします」


 えっ、これって初めての取材ですよね、でも杏香は……


「えーっ、もう疲れたから明日じゃ駄目ですか!」


 いや、流石に駄目でしょう。


「多分そうやって、また逃げられると思ってパドックまで来たんだから、お願いしますよ」


 逃げるだなんて…… でもまあそうだね、公式テストの時も取材を受けにピットビルまで行かなかったもんね!


「女性初のポイント獲得ですけど、今の感想を訊かせて下さい」


 月刊誌のライターさんが、代表してインタビューです。


「えっ、感想ですか…… まあ、嬉しいです」


 そう言った杏香はニヤけているようです。


「あそこで無理しなければ、2位だったと思うんですけど」


 今度は、スポーツ新聞の記者さんです。


 それを聞いた杏香は、ちょっとムスッとしている様子。


「えっ、あそこで2位を受け入れたらレーサーじゃ無くなるでしょう」


「それって、常に優勝を狙っていると言う事ですか?」


「狙えるものなら少しでも上を、チャンスがあれば優勝を目指すんじゃないですか?」


 杏香がそう言った時、カメラのフラッシュがパシャパシャと、もう眩しそうです。


「あの、レース直後で疲れていますのでこれくらいにしてください」


 私がそう言うとスポーツ新聞の記者さんは納得したのか、それとも呆れられたのか、帰って行きましたけど……


「あの小山内(おさない)さん、一度あなたの特集を組みたいんですけど……」


 月刊誌のライターさんは、まだいたんだ……


「あっ、そう言うのはドライバーじゃなくて、チームを通してください」


 すかさず、GMが間に入ってくれたので、月刊誌の記者は今回は帰って行きました。


「ありゃ、また来るかもな……」


「でもこれで、杏香も一人前かな!」


 私がそう言った時、彼女は満更でもない顔をしていました。


「でも、俺にそんな話は無いんだな……」


 本多君は、なんだか寂しそうです。優勝したのにね……


「女性初っていう事で話題になってるんだよ」


 本多君も特集を組んで欲しいのかな……


「それじゃ、優勝のお祝いをするから行きましょうか!」


 チーフメカニックの山口君が宴会部長に変わる瞬間を見たような気がしました。


「えっ、何処でするの?」


「小山町のふく福だけど」


 ふく福って言うのは、富士スピードウェイと同じ町内の居酒屋さんです。


 仕方ない、付き合ってやるか…… そう思って私がパドックの外へ出た時でした。


「北島さん」


 えっ…… 小島君。


「どうしてあなたがここにいるの?」


「今回は優勝出来なかったのでこれで帰ります」


 はぁ、何言ってるのこの人……


「どういう事?」


「優勝したら食事でもって」


 ああ、あの話、本気だったんだ……


「私は、受け入れていないから! それに、私は今付き合っている人がいるから」


 まあこれは、彼に私を諦めてもらうための嘘ですけど……


川嶋秀樹(かわしまひでき)ですか……」


 こ、こいつ……


「そうよ、解ったら私に近づかないで!」


「そうか、あの人が言ってた事は本当だったんだ」


 そう言って彼は私から離れて行きました。それって、あいつ…… 本当に忠告の電話をしたんだ。


 彼の後ろ姿はなんだか寂しそうです。レーサーの後ろ姿は駄目ですね…… 哀愁感が漂っています。

開幕戦が終わった後も色々ありました。杏香はSF女性初のポイント獲得で取材も受けてちょっとお疲れのようです。次は第2戦鈴鹿サーキットです。

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