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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
21/133

21 開幕戦決勝

決勝レースがスタートしました。ここまではミーティング通り上手く行きました。

 開幕戦、決勝レースがスタートしました。


 杏香(きょうか)はスタート直後のゴタゴタの中、本多(ほんだ)君を抜いて3番手に順位を上げました。予定では本多君の後ろに着くはずだったけど、でも予選6位から凄いジャンプアップです。


「彼女はSF初めてとは思えないな」


 まったくよ! 彼女の走りを見ていたら身が持たないわ! 誰かさんみたいで…… そう思いました。


「本当よね、F4の頃からあんな走りをしていたのかしら」


「でも、前の二人にしっかり着いて行っているから彼女は凄いよ!」


「いや、可愛い顔してやる事は大胆だね」


 私も山口(やまぐち)君もGMも夢でも見てるような感じです。


 しかし、4番手になった本多君も、乗り切れないとか言ってた割に前の三人にしっかり着いて行ってます。後続は、前の四台と離されつつあるので、本多君としては後続をあまり気にしなくて良いので楽なのかも……


「一周目1分25秒476です」


「うん、順調だね」


 序盤はこのままの状態で周回を重ねていましたが…… YAMAGUCHI Racing teamに動きがありました。


「7番にボックスのボードが出てますね」


「タイヤ交換にはちょっと早くない?」


 12LAP目にカーナンバー7番中森(なかもり)に動きがありました。


「次の周回に入れるみたいだな…… うちもそろそろ準備しないと」


「はい」


 GMの指示で山口君達はいつでもタイヤ交換出来るように準備します。


「あっ、前2台が入ったぞ!」


 えっ、7番と5番! と言う事は杏香が暫定トップ? すると何を思ったのか、杏香は更にスピードを上げました。


「ちょっと杏香、何ペースを上げてるの?」


美郷(みさと)さん、私、今トップなんです。だから今のうちに少しでも引き離そうと思って』


 いや、でもあなたはタイヤ交換していないんだから…… いや、本多君を上手く使えば……


「美郷さん、本多のタイヤ交換をしようか!」


 GMはそう言うけど……


「いえ、杏香を先に交換します。その間、本多君にあの二台をブロックしてもらって、杏香がトップで戻れるようにします」


「うーん、そんなに上手く行くかな……」


 GMは、私の作戦に難色を持っていますけど……


小林(こばやし)さん、杏香と7番5番のタイム差はどれくらいある?」


「あの二台は今、タイヤ交換をしてコースに戻りましたから30秒くらいの差はあると思います」


 それじゃ、いけるかな!


「杏香にボックス指示して!」


 その時でした……


「あっ、今メインストレートを通過しました」


 まあ、無線でいいや……


「タイムは?」


「1分23秒596です」


「杏香聞こえる?」


『はい!』


「次、ボックス!」


『了解』


 やけに素直に了承したわね……


「本多君、杏香のタイヤを交換するから後続をなるべくブロックして!」


『判った! あいつをトップで戻すんだな』


 本多君は察しがいいね。


小山内(おさない)ピットイン』


 ナイスタイミングでピットインです。あとは交換作業の時間だけど……


「GO!」


 早い! 6秒くらいでピットアウトしました。


「小山内さんトップで戻りました」


 うん、予定通りだね!


「本多君、作戦成功! あなたは自分のタイミングでボックスして」


『了解』


 そう私が指示を出した途端、彼はオーバーテイクで後続を引き離しました。どうやらタイヤ交換前に後続との差を広げる作戦のようです。今のところ杏香が1位で本多君が2位、でも3位と4位とは1秒も差が無い、しかもあの二台はタイヤ交換を済ましています……


「今、本多君がメインストレートを通過しました! 1分22秒385です」


 凄いですよ! 本当に乗れて無かったのかな……


「美郷さん、本多君を次に入れようか!」


「そうね、今のタイミングだよね」


『美郷さん、次入るから』


 私と山口君の話を聞いていたかのように本多君から無線が入りました。


「本多君了解」


 すると、杏香がそれに気付いたように後続を引き離すのではなくブロックしています。


 本多君のタイムロスを考えての事だろうけど、あなたは先に行かないと意味が無い!


『本多ピットイン!』


「杏香、ブロックは良いから先に行きなさい!」


『でも、本多さんが……』


「彼は大丈夫だから行きなさい!」


 私がそう言った時でした…… 杏香はカーナンバー4番に抜かれてしまった。


 カーナンバー4番、小島和樹……


 杏香は抜き返そうとしてるけどなかなか抜けないようです。レースも後半、あまりリスキーな事はやめて、このままゴールすれば杏香と本多君で、2位と3位に入れる。しかも、4位と5位には中森と松島もいる。


「杏香、現状維持しなさい」


『えっ、大丈夫抜けるよ! それにあいつには負けたくない』


 そう言って彼女はインをついてカーナンバー4番を抜こうとした時、強引にブロックされたために小島のマシーンと杏香のマシーンが接触し二台ともスリップしてコースアウトしてしまった…… 言わんこっちゃない。


「今のは小島が故意にやったように見えた! KASHIMA Racingに抗議してくる」


 GMが珍しく怒っています。さっきのは仕方がないように見えたけど…… しかし、杏香の開幕戦はリタイヤか……


 コースアウトした二台を本多君が抜いて行きトップに立ちました。


「あっ、美郷さん!」


「どうかしたの!」


 小林さんが杏香が映っているモニターを見ながら……


「小山内さんがコースに戻りました」


「えっ!」


 一緒にコースアウトした4番は、エンジンストールしたのか、マシーンから降りてリタイヤしましたけど、杏香のエンジンは生きていたみたいです。


「杏香は何位?」


「7位です」


 そして、チェッカーフラッグが振られレースは終了しました。


 その時、KASHIMA Racing teamのGMがパドックに謝罪に来ていました。

開幕戦、優勝は本多君で杏香は7位に終わった。本当なら2位で、二人とも表彰台だったのに…… でも、あいつが優勝しなかったのは良かったのかも知れない……

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