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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第一章 teamKAEDE
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2 スカウト

オーナーの指示で逢いに行ったドライバーが、まさかの女性だった…… F4やスーパーFJには女性ドライバーがいるとは聞いていたけど……

 パドックから現れたのは白いレーシングスーツに身を包んだ身長150センチ位の小柄な女の子でした。


「あの…… 小山内杏香(おさないきょうか)ですけど……」


「えっ、あなたが……」


 私は、驚きのあまり彼女を見る目が挙動不審です。不審者に見えるかも…… 彼女も私の事をジッと見て言いました。


「あなたも私が女だからそんな目で見るんでしょう」


「えっ、違う違う! 私は何も訊いてなかったから、ちょっと驚いただけよ」


 私はそう言ったけど、彼女は不服そうに……


「これでも私、ドライバーズポイント二位なんだからね!」


 やっぱりちょっとお冠のようです。


「そうなんだ、速いのね!」


「うん!」


 私がそう言うと、彼女はあどけない笑顔で頷き誇らし気です。少しは機嫌も治ったかな…… それにしてもまだ年齢的には十九から二十歳位のはずなんだろうけど……


「ねえ、来シーズンからうちのチームに来ない?」


 私がそう言うと……


「ひょっとして、ハイパーグランプリの方ですか?」


 えっと、ハイパーグランプリ? 何処のチーム? いや、これってもう決まっているんじゃ……


「あっ、いや、私はスーパーフォーミュラteam KAEDEの北島美郷(きたじまみさと)です」


「えっ、スーパーフォーミュラって全日本ですよね……」


 まあ、確かに全日本選手権で海外を転戦とはしてません。でも、一応はFIAの認定だって受けてるし、スーパーライセンスだって取得出来るんだからと私は言いたいけど……


「まあ、そうだけど……」


 ここは我慢して何も言わないでおこう。


「私、ヨーロッパの方でF3に乗りたいんです。一応、女性初のF1パイロットになりたくて!」


 ああ、ハイパーグランプリってF3のチームなんだ…… という事は、彼女はF1に行くためにヨーロッパの方で活躍して知名度を上げようと思っているんだよね。


「ねえ、スーパーフォーミュラのスピードってどれくらいか知ってる?」


「えっ」


 彼女は難しそうな表情を浮かべてます。


「乗った事無いから判らないけど、二百五十キロくらいですか?」


 彼女の返事に、私は笑みを浮かべた。


「時速三百キロ以上は出るんだけど、F1に次いで二番目の速さなの! だから日本の慣れたコースで三百キロのスピードに慣れてからヨーロッパへ行っても良いんじゃない」


 私はそう話すけど、彼女は否定的に私を見てます。


「へえー、そうなの…… でも、スーパーフォーミュラからF1には行けないでしょう」


 この娘は可愛い顔してなんて事を言うの! でも、私は笑顔を作って……


「そんな事無いよ、スーパーライセンスを取得出来れば…… でも、どっちにしてもF2を経験しないとF1のチームからは声が掛からないかもね」


「ふーん、F3のチームからもステップアップするにはF4で年間チャンピオンになったらという事になってるんだよね」


 なるほど、条件付きでのステップアップか…… それなら無理に勧誘して彼女に嫌われない方が良いかな。レース結果次第では、まだ望みはあるかもだし……


「そうか、それじゃもし気が向いたら連絡して! 年間チャンピオンになれるように頑張ってね!」


 私は彼女に名刺を渡して話を終わりにしました。


「えっ、もう良いの?」


 彼女は私の名刺を見ながらそう言います。


「うん、ハイパーグランプリとある程度話が出来ているのなら私の出番はないわ! でも、相談には乗るわよ、折角将来のF1パイロットとお知り合いになれたんだから、じゃあね!」


 私がニコッと笑顔でそう言うと……


「うん、じゃあね…… ありがとう」


 そう言って、彼女はパドックへ戻って行きました。これで彼女は、ほぼ無理かな…… でも、年間チャンピオンになれなかったら、その時は、うちに来てくれないかな……


 はあ、考えても仕方がない、折角ここまで来たんだからポイントランキング年間一位の人にも話をしようかな! 確か、TEAM Zacの兼子聡(かねこさとし)君だったかな。


 私はZacのパドックへ来ました。


「あれ、北島さんじゃないかな?」


 男性が一人私のそばへ来ました。最初は誰なのか解らなかったけど……


「えっと…… 小島さん?」


「うん、今もレースクイーンやってるの?」


 いやいや、二十代半ばのおばさんがやる事じゃ無いでしょう。それに、この歳じゃ結構痛いと思うんだよね。


「もう、とっくの昔に引退しました!」


「えっ、そうなんだ…… もったいない!」


 まあ、その言葉は褒め言葉と受け取って良いですよね……


「今は何やってるの?」


「今は、team KAEDEでチームディレクターをしてます」


 私はそう言って名刺を渡しました。


「へえー、 清史郎(きよしろう)のところにいるのか」


 彼はそう言って何かを考えている様子ですけど……


「あっ、(さとし)! ちょっと」


 彼は若い男の子に声を掛け、こっちに呼びました。


「何だよ小島さん」


「この人、スーパーフォーミュラのチームの人なんだ、おまえ来シーズンから使ってもらえば」


「えっ、スーパーフォーミュラ?」


 彼はそう言って、私の事を見ています。えっと、私が会いたいのは兼子聡君なんだけど……


「おい聡、なに見惚れてるんだよ!」


 彼はそう言われ、我に戻ったようで、ちょっと顔が赤いです。


「お姉さん、スーパーフォーミュラの何をしてるの?」


 こいつはドライバーなのか……


「私はteam KAEDEのディレクターよ!」


 何だか馴れ馴れしいガキね……


「ねえ、僕が年間チャンピオンになったら使ってくれる?」


 えっ!


「君、名前は?」


「僕は兼子聡! 今一番年間チャンピオンに近い男だよ」


 えっ、この馴れ馴れしいガキが兼子聡君だったとは……


期待していた小山内さんは女性ドライバーだった。しかも、F3へステップアップの話もあるようだ。もう、こうなったらポイント一位の兼子君! ちょっと馴れ馴れしいガキだけど、こいつでも良いのかな……

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