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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
15/92

15 開幕戦

いよいよシーズン開幕です。今年の開幕戦は富士スピードウェイです。どんなレース展開になることやら……

 今日は開幕戦、今年の開幕戦は富士(ふじ)スピードウェイです。


杏香(きょうか)、調子はどう?」


 私が彼女の事をそう呼ぶのは、そう呼んで欲しいと彼女からのリクエストです。


美郷(みさと)さん最高ですよ! 今日は表彰台だって上がれるかも」


「まあ、言うのは簡単だけど無理してリタイヤしないようにね!」


 彼女は開幕前から、毎日のようにシミュレーションをしていました。シミュレーションとは簡単に言えばリアルゲームみたいな物です。各サーキット場のコースと全天候型の中で模擬的に走る事が出来ます。


 最初は、杏香も馬鹿にしたようにゲーム感覚でやっていたけど、雨のレースではスピンしたり、コースアウトしてタイヤバリアに突っ込んだりして、最後にはムキになって全然辞めないから無理やり辞めさせるような感じでした。


 でもオーナーは……


「ここまで熱心にやってくれるならシミュレーションマシンを導入したかいがある」


 そう喜んでいましたけど…… 杏香はただ、ゲーム感覚で楽しんでいたみたいだけど、私としては杏香の良いデータが取れたのでまあ、良いかな! でも、本多(ほんだ)君のデータは今ひとつよく判りません。良い時も、悪い時もバラバラなんですよね……


「美郷さん、始まるよ!」


 深田GMからそう声を掛けられました。開幕戦、まずはフリー走行です。ここで、マシーンを走らせて異常が無いか最終調整をする必要があります。きちんと調整が出来てるチームが良い成績を得ることが出来ると思います。


 この後、公式予選Q1が始まります。予選はノックアウト方式で、まず1位から6位までの順位をA組、B組共に決めます。その後、Q2で上位12位までのスターティンググリッドを決めて、残り13位以降は、Q1で各組で6位以内に入れなかったドライバーがタイム順にはいります。ちなみに、トップのタイム107%以内に入れなかったドライバーは予選落ちという事らしいです。


「山口君、二人とも調子良さそうね」


「はい、でも…… 本多君はサスペンションの事を、オートポリスのテストの時から言っているんですよ」


「前のシーズンでも言ってたの?」


「いや、前のシーズンではそこまでは…… たいして変更はしてないんだけどね」


「まあ、アクティブサスペンションを使えるようになれば良いかも知れないけどな」


 そう言うのはオーナーです。この人、またいつの間にかパドックに来てるよ!


「アクティブサスペンションって何ですか?」


 山口君の説明によると走行中の路面の凹凸をセンサーが捉えてショックアブソーバーの減衰力を変化させる事でマシーンの上下動を緩和する事が出来るらしいんだけど、それって全自動のサスペンションって事なのかな……?


「まあ、どっちにしても使用禁止です。F1でも1990年代に禁止されています」


 山口君はそう言って笑ってます。でも、オーナーは……


「まあ、もしあれを使うとなると金銭的に無理かな」


「そんなに高額なんですか?」


「いや、あれ単体なら良いけど、マシーンとのバランスがね…… 昔、ロータスはそれで苦労したんだよ! ストレートは早いけど、コーナーで遅くなるってね!」


 まあ、機械的な事はよく判らないけど、どっちにしても使用禁止ってことは解ったわ!


 フリー走行も終わり、次のsessionで予選Q1だけど、お昼の2時くらいからあるようです。


「杏香、お昼にしようか!」


「うん、この後は何も無いの?」


「うん、だからQ1が午後2時からだから」


「それまでは何も無いの?」


「あっ、今からは二輪の予選レースがあるみたいよ」


「へえ、バイクレースか」


 彼女はちょっと、興味がありそうだけど、そんな彼女の手を引いてレストルームへ行きます。とにかく、食べれる時に食べて、休める時に休む! これが勝利の秘訣だと思います。


 午後1時40分、Q1の準備をします。本多君がA組、杏香がB組です。


「本多君、前が開けているならアタックして!」


「はい、とにかく10分間しか無いから行ける時にアタックします」


 うん、本多君はよく判っているようだけど……


「杏香、本多君の走りをよく見ときなさいよ!」


「はい、でも、私と本多さんはタイプが違いますから……」


「だから、真似はしなくて良いから参考にしなさい!」


「はい……」


 そして、午後2時になりました。Q1 A組が始まりました。最初はタイヤが温たまっていないので、各車蛇行しながらタイヤを温めています。路面温度も低いもんね……


「タイヤウォーマーで温めているから良いと思うけどな」


 杏香はせっかちだな、でも、それが最悪の結果になりかねない……


「まあ、そこは慎重にね」


「だって、決勝でタイヤ交換した後は、最初から飛ばすでしょう」


「決勝は他のマシーンも走っているから路面温度も上がっているの! 状況が違うのよ」


「そうか……」


 少しは判ってくれたかな。


「あっ、一台抜け出して来ましたよ!」


 えっ、まだ、スタートして一周目でしょう…… カーナンバー3番って誰だっけ……




いよいよ予選Q1が始まりました。予選で上位に着けてくれると良いけど、予選落ちはないよね……

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