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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第二章 シーズン開幕
14/92

14 公式テスト

ニューマシーンのテストが終わり、来シーズンに向けての調整やらイベントが大変です。

でも公式テストも始まりますので、今シーズンもいよいよ開幕です。

 いよいよ、新しいシーズンの始まりです。F2にステップアップした川嶋(かわしま)君の代わりに、小山内杏香(おさないきょうか)さんを新メンバーに加え、一年間レースに望みます。


 早速、二月に公式テストがあるので、ニューマシーンのお披露目をします。小山内さんについては、去年十二月にP&Rで新メンバーとして紹介し、ルーキーテストも受けてもらいました。すでにファンらしき人もいるようで、心を引くような感じがあるのかな…… メディアからも取材があったようです。女性ドライバーはまだ二人しかいないから目立っているんでしょうね!


 まあ、出足としては順調です。


 あとは、開幕戦で優勝してスタートダッシュ出来れば最高なんだけどな……


美郷(みさと)さん!」


「あれ、もうフリー走行は終わったの?」


「はい、休憩の後session3だそうです」


「そう、それじゃしっかり休んでいなさい」


「でも、休むと言っても……」


 彼女の視線の先には一般の人や彼女目当てのファンもいるようです。


 まあ、この時間はピットビューイングと言って、ピットレーンに一般の人が入場出来るため各チームのピットの様子を見学する事が出来るのです。


 彼女も笑顔で手を振ってるけど、これって疲れるだろうな……


「美郷さん、これってもうテストとかじゃ無いですよね! もうお祭り騒ぎですよ!」


「まあ、そうね…… ファンサービス的なものもあると思うけど、疲れるよね……」


 まあ、でもこうする事で、スーパーフォーミュラを知ってもらったり、応援してもらえるという事なんだろうけどね!


「ところで、本多(ほんだ)さんはどこにいるんですか?」


 あっ、本多君ね、彼は多分……


「多分、パドックの裏にいると思うよ!」


 あそこは彼の指定席だから。


「いえ、裏にはいませんでしたよ」


「えっ、そうなの……」


 あれ、どこに行ったのかな? いつもテストの時は裏でスマホを触っているのに…… 可笑しいな。


「あれ、小山内さんは行かなくて良かったの?」


 そんな事を言いながら、深田(ふかだ)さんがパドックへ戻って来ました。


「あれ、どこに行ってたんですか?」


「ピットビルだけど、メディアから取材を受けていたんだよ」


 まあ、前のシーズンでは川嶋君が年間チャンピオンだったし、第八戦と最終戦は二人とも表彰台に上がったもんね! それに小山内さんもスーパーフォーミュラ二人目の女性ドライバーだから注目されてるもんね。


「本多君も取材を受けてたよ、彼も今シーズンはファーストドライバーだから! 小山内さんは行かなくて良かったの?」


「はあ、何も聞いて無かったから、多分良いですよね……」


 それはどうかと思うけど、何も聞いて無かったのなら……


「うーん、まあ、ちょっとお疲れ気味だったからという事で、大事を取った事にしておいてよ、GM!」


「はあ…… まあ、良いでしょう。訊かれたらそういう事にしておくよ」


 彼女がステップアップして初めての公式テスト、色々とF4の時とは違うから大変だと思うから…… それに開幕戦もまだなのに潰れられても困るからね!


「それじゃ、次のsessionが始まるので行って来ます」


 彼女はそう言ってマシーンの方へ行きます。


水上(みなかみ)君、回して!」


 うん、チームには大分溶け込んできたみたいね。




 公式テストも終わり、開幕戦までもう少しありますけど……


「美郷さん、マシーンに毎日でも乗りたいんですけど」


 まあ、彼女の言い分は解るけど、そんなの無理だから……


「そんなの無理に決まっているでしょう! フォーミュラカーは公道では乗れないし、タイヤに燃料代、馬鹿にならないんだから」


「えっ、それじゃ普段はどうするんですか?」


 彼女はF4の頃はどうしていたのかな……


「レースの時はかなり体力を使うから、普段から鍛えておかないと駄目よ!」


「えっ、鍛えるって……」


「KAEDEのスポーツジムがあるでしょう! ドライバーは、いつでも使えたんじゃなかった?」


「あっ、そうでした! でも、筋肉ムキムキになったらどうしよう……」


 そんな、ちょっとやそっと鍛えたからって筋肉ムキムキにはならないよ……


「大丈夫だから、安心なさい」


 まったく、考え方が子供なんだから……


「あっ、それとジムの2Fでシミュレーションをするから午後四時に来てね!」


「シミュレーション?」


「来ればわかるわ!」


「あっ、美郷さん」


 今度は本多君です。


「どうかした?」


「午前中にシミュレーションって言われてたけど、今からでも良いかな?」


 九時を回ったところか……


「良いと思うよ」


「それじゃ、シミュレーションの後ジムに行って最後にサウナだな」


「えっ、サウナがあるんですか?」


「ああ、ジムの浴室、プールの入口の手前にあるよ! その隣が水風呂になってるよ」


「本多君、それは男性用のお風呂とサウナね」


「えっ、女風呂はまた違うんですか?」


「うん、ちょっと秘密だけど」


「いや、別に覗きませんよ」


「それは当然です」


 私と小山内さんは同時にそう言いました。


「いや、だからしませんよ……」


「本多さん、一緒に行きませんか?」


 彼女はニコッと微笑んでいます。怖い怖い……


「いや、おまえは夕方だろう!」


「シミュレーションはそうですけど、ジムは行けますから」


「俺は、今からシミュレーションなんだよ」


「別に場所は一緒なんだからいいじゃないですか!」


 この二人、仲が良いのかな……

公式テストが終わり、いよいよ開幕戦です。

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