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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第五章 teamSHOWGO
125/141

125 注目のルーキー

公式TestP&R、初日のセッションです。真冬のテストだから寒いし、タイヤコンディションも良くないです。

 今、私達は公式TestP&Rを受けに鈴鹿サーキット場に来ています。


 只今セッション1真っ只中ですが、今年は注目の新人外国人が三人ほどいるようです。三人とも三日目のルーキーテストに参加するようですけど……


山口(やまぐち)君、新人外国人って知ってる?」


 私はそう訊きましたけど……


「知ってるけど、まだ、見てないからな…… どんな奴かは知らないですよ」


 それって、知ってるんじゃなくて知らないんじゃないの……


 まあこの業界は、新人だからって他のチームに挨拶に来る訳ないしね……


美郷(みさと)さん、名前だけなら判りますよ」


 そう言うのは、鈴木(すずき)オーナーです。


「知ってるんですか?」


「はい、名前だけですけど」


 こう言うのを知ってるって言うんだよ山口君、そういう事で教えてもらいました。


 ひとりはTeam aoiのジャスティン ライブリーというイタリア系アメリカ人です。Team aoiって二人とも外国人なんですね。


「あとの二人は?」


 私はそう訊きましたけど……


「ジョージ マクレーとライアン ヨハンソンだ! ジャスティンはライツからのステップアップであとの二人はF3からのステップアップと訊いてるけど」


「まあ、新人ならルーキーテストでどんな走りをするか見ておく必要があるかな……」


「まあそうですね、今年のルーキーテストは14人くらいいるみたいだよ」


 と言うのは岩崎(いわさき)チーフです。


「うん、そのうちの5人は女性らしい」


「女性がそんなにいるんですか?」


 私がそう訊くと……


「うん、ほら、女性だけのフォーミュラのえっと、なんだっけ?」


 山口チーフも話に入って来ました。


「KYOJOじゃなかったかな……」


「あっ、それそれ」


 オーナーもそう言ってます。モータースポーツにも女性の進出が目立って来たようです。


「まあ、そうは言ってもルーキーテストで何人通過出来るかなんだけどね」


 まあそうですね、去年の杏香(きょうか)の場合、タイムもそこそこ速かったし、うちのチームに正式に所属が決まってましたから良かったんですけど……


 そんな話をしてる間に、セッション1が終わりました。


「美郷さん、小山内(おさない)さん凄いですよ!」


 そう言って来たのはタイムキーパーの岡田菜穂子(おかだなほこ)さんです。


「どうしたの?」


 もう杏香の凄いは去年からずっと訊いてるので、ちょっとの事では驚かないわよ!


「小山内さんのベストが1分36秒985でトップです」


「えっ……」


 私は絶句しました。そのタイムは、ほぼ予選のタイムアタック並みのタイムです。あの娘は何を考えているのか……


 その時、杏香と結菜(ゆいな)が戻って来ました。マシーンから降りるなり……


「杏香、凄すぎ!」


 結菜がそう言ってます。


「そんな事ないよ」


 杏香も澄まして言ってるけど……


「杏香、何故こんな走りをしたの!?」


 私がそう訊いた時、杏香が珍しく頭を下げるような仕草を……


「だ、だってみんなゆっくり走って眠くなりそうだったから……」


 いや、言い訳するんかい!


「もう、フリー走行なんだから……」


「フリーって事は自由でしょう! それに後半はみんなアタックして来るから」


 はあ…… 杏香は自由すぎる…… 私は何も言えなくなりました。


 そんな時、ピットビューイングが始まりファンの人たちがピットの方へ集まって来ました。


 杏香も結菜もファンの人達と一緒に写真を撮ったりしています。


 この光景は、去年まではなかったかな…… 本多君がそんな感じじゃなかったもんね。


 そんな時、うちのパドックにひとりの男性が来ました。


「あれ、中森(なかもり)さん?」


 私がそう言うと……


「小山内さんに…… ちょっと良いですか?」


 そういう事で、パドックの外で何やら話してますけど……


「フリー走行っていうのはあんなにスピードを出すもんじゃないよ」


 はっ、態々忠告に来たのか……


「どうしてですか?」


「フリー走行というのは設定したマシーンの調子や問題が無いかを確認する場だ! 君みたいに予選でもやってるように走ったら解らないだろう」


 全くもって、ごもっともですが……


「でも、不具合や問題はレース本番中に発生するものですよ。それに後半はアタックするでしょう」


 はあ、杏香も大先輩相手に負けてないな……


「そうか、まあ良いけど、他の連中に迷惑を掛けないようにしてくれよ。ただでさえルーキーが参加するとレッドフラッグが耐えないからな」


 そう言って彼は戻って行きました。


「まったく、何しに来たんだか……」


 そう愚痴りながら、杏香は私達の方へ戻って来ました。


「杏香、まだレース本番じゃ無いんだから…… あまり危険な事はやめてね」


「別に危ない事をやってるつもりは無いけど……」


 私はそう言ってピットビルの方へ行きました。後は彼女がどう思うかだけどね……


 ピットビルの方へ行くと、中森と松島(まつしま)が何か話をしています。たぶん杏香の事なのかな……


「すみません、杏香が危ない事をして」


 私がそう言ったら彼らはびっくりしたようでした。


「あっ、いえ…… 気にしないでください」


 そう言って彼らは行ってしまいました。


 これって、ひょっとしたら心理戦も少しはあったのかな……

セッション1で杏香がとんでもない事を…… タイムが温まった5周目くらいから速度を上げて、予選のアタック並みのタイムを出していたみたいで、中森が杏香に忠告に来ていました。

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