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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第五章 teamSHOWGO
122/140

122 屈辱

結菜は見学のつもりだったけど、F2マシーンに乗せられ、周回遅れにさせられた事で、相当悔しい思いをしたようです。

 F2の洗練を受けた結菜(ゆいな)ですけど、ヘルメットを両手で持ったまま椅子に座って動きません。


「結菜、乗りたくないなら乗らなくても良いからね」


 私は、そう言ったけど、結菜は私の事なんてスルーです。と言うのも、ジェームズが片言の日本語で言った事が効いたのかもしれません。


 杏香(きょうか)は何も知らずに川嶋(かわしま)君と走っているけど……


Let's go(そろそろ) pit-in(ピットイン) soon(しましょう)


 サラからそう言われたので、無線で言わないと…… あれ?


「box!」


 サラが一言無線でそう言いました。


 サラの指示でジェームズ、川嶋君と杏香がピットに戻って来ました。


Let's have(みさと) misato's(昼食に) lunch(しよう)


 サラはそう言うと二人を連れてパドックの裏の方へ行ってしまいました。


美郷(みさと)さん、私達もお昼にしよう!」


 杏香がそう言うので私達もサーキット場のレストランへ行きました。はあ、なんだか気不味いな……


「結菜、大丈夫? やりたくないなら私が一人で乗るからね」


 杏香もちょっとは気を使ってる?


「うん…… でも、負けたくない……」


 結菜はそう言った後、また黙り込んでしまいました。


「結菜、お昼食べれる?」


 私は彼女にそう訊きましたけど……


「うん」


 お昼ご飯はちゃんと食べれるみたい、うん、大丈夫かな……


 お昼休憩をした後、またフリー走行が始まります。


「それじゃ行ってくるね!」


 そう言って、杏香がマシーンに乗り込もうとした時でした。


「杏香、悪いけど先に乗せてもらって良いかな」


 結菜が自らそう言いました。それを聞いた杏香も心配そうに結菜を見た後、私の方を見ましたけど……


「うん、じゃあ結菜に先に走ってもらおうか、でも大丈夫?」


 私がそう言ったら……


「うん」


 結菜は頷くだけです。


「えーっ、もう、しょうがないな……」


 そう言って杏香は、結菜に仕方なくマシーンを譲りましたけど、杏香は私にアイコンタクトで合図したよね、ちょっと違ったの……


 でも、ちょっと心配ではありますが、本人が希望するので乗せてみましょう。


 結菜はメカニックさんにエンジンを掛けてもらってピットレーンをゆっくり走ってコースへ出て行きました。


「結菜、3周くらいタイヤを温めてね」


『了解』


 そう返事が返ってきました。その後、チームダムスも、まずはジェームズがコースへ出て行きましたけど……


「あれ、川嶋さんは行かないんですか?」


 杏香が訊いてますけど……


「なんだ、あのお嬢さんが走っているのか……」


「うん」


 すると川嶋君は、少し考えて……


「まあ相手はジェームズに任せよう」


 そう言って彼は、パドックの椅子に座って状況確認をしています。


 それを見た杏香は……


「ひょっとして私じゃなきゃ嫌だった?」


 杏香がニヤニヤしながらそう言ってますけど……


「そうだな、おまえじゃなきゃ意味がねえだろう」


 川嶋君はそう言ったまま結菜の走りをモニター越しに見守ってます。


「なんのかんの言いながら結菜の事が心配なんじゃん」


 杏香は小さい声でブツブツ言ってますけど……


「しょうがないだろう、俺が泣かせたからな…… おまえは俺があとで相手してやるから覚悟しておけよ」


「ふん、周回遅れにはならないから」


 杏香もやる気満々です。まあ、目標がちょっと小さい気はしますけど、まずはそんなところでしょう。


 結菜はウォーミングアップで3周走った後、メインストレートで加速して本番スタートです。


 第1コーナーからコカコーラコーナーへ向かいますが、結菜の後方にジェームズも迫って来ました。


「結菜、ジェームズが来てるよ」


 杏香が無線でそう言いますけど……


 結菜はインからアウトへと大きくラインを取ってジェームズをブロックします。


「上手い!」


 つい私も、そう言ってしまいましたけど…… 杏香も黙って結菜のコーナーリングを見ています。


 一見無謀に見える走りをしている結菜ですが、ジェームズも中々オーバーテイク出来ずにいます。


 巫山戯て後方からチャチャ入れするのではなく、本当にジェームズは抜けない感じです。


 この状態のまま5周したところで……


「box」


 サラが、ピットインを指示しました。まあ、これ以上走っても進展がないようにも見えましたからね。


「よし、それじゃ交代ね!」


 そうこうしてる間に、川嶋君はピットを出て行きました。


「あっ、ズルい!」


 杏香はそう言うけど……


「杏香、ウォーミングアップが出来てないから先にいったのよ」


 私はそう言ったけど、杏香は我慢出来ずにピットアウトして行ってしまいました。


 本当、負けず嫌いなんだから……


「杏香、川嶋君は1周したら本気を出す筈だから……」


 私がそう言うと最後まで人の話を訊かずに……


『その前に抜き返せば良いよね!』


 などと割り込んで返事をする杏香ですけど、果たしてそう上手く行くかな……


 杏香が、パナソニックコーナーで川嶋君を抜いて、メインストレートで引き離しに掛かりますけど、ストレートに入った川嶋君もスピードを上げ杏香のテールにピッタリと着けています。


 しかし、杏香も第1コーナーでオーバーテイクしてくるのは解っているから、しっかりブロックしたま第1コーナーを回りました。


 その後、コカコーラコーナーからアドバンコーナーでも杏香は川嶋君のオーバーテイクを許しません。


 痺れを切らした川嶋君がダンロップコーナーからプリウスコーナーでオーバーテイクを仕掛けますが、ことごとく杏香に阻止されます。


 しかし、パナソニックコーナーを回ってメインストレートに入った瞬間、川嶋君は杏香を一瞬で抜き去って行きました。

あれだけ上手く川嶋君をブロックしていたのに、メインストレートに入った瞬間に杏香は川嶋君にオーバーテイクされました。ちょっと可笑しいです。

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