113 富士へ移動
teamSHOWGOの初テストの為、富士スピードウェイへ移動します。ほとんどのスタッフはバス移動、杏香は買った車に乗りたくて結菜と二人で、私はteamSHOWGOのタイムキーパー岡田菜穂子さんと一緒です。
私はteamSHOWGOのテスト走行をするため、名古屋にあるteam KAEDEのガレージからタイムキーパーの岡田菜穂子さんと一緒に私のNSXで富士スピードウェイへ行く事になりました。
彼女は年齢的に私と同じくらいの女性だと思いますけど、車に対する知識が凄いです。
名古屋のガレージでは、私のNSXに釘付けだったのに、次に乗るならトヨタのスープラとか良くないなんて言って来ました。
「ねえ、岡田さんは……」
「あっ、私の事は菜穂子でいいよ!」
だって! はあ、完全に馴染んでいるね……
「それで、さっきなにか言い掛けたよね?」
あっ、菜穂子さんに訊かれてしまいましたけど、話の途中で口を挟んだのはあなたですよね……
「菜穂子さんは、車は何に乗っているの?」
まあ、これだけ車の事が好きなんだから、さぞかし良い車に乗っているんだよね!
「えっ、私は…… 軽自動車だけど……」
えっ、なんで! これだけ車が好きなのに。
「こんなに車が好きなのにどうして?」
私は訊きました。
「いくら好きでも、経済的に無理だもん。軽自動車だって二百万くらいするんだよ! 私には無理だよ」
そうだね…… 私だって二年くらい前に楓オーナーから買って貰ったものだもんね……
「美郷さんはディレクターさんだから買えて良いよね」
「あっ、私は営業とか広報も兼ねていたから、楓オーナーが買ってくれたの! ホンダチームのディレクターなんだからこれくらいの車に乗りなさいってね!」
「ふーん、それ良いね、でも私ならレクサスかな」
ハハ、やっぱりそこはトヨタ系の車なんだね。
「ねえ、NEOPASA岡崎に寄って!」
あっ、そろそろお昼か、杏香達は何処にいるかな……
「ここに何かあるの?」
「えっ、美郷さん矢場とん知らないの?」
「えっ、なにそれ?」
「味噌カツの美味しいお店ですよ!」
へえー、そんなのがあるんだ…… ひとりの時はトイレ以外あまりPAとか寄らないからね。
そう思いながら私は岡崎SAの駐車場に車を停めました。
「あれ、美郷さんここで食事ですか?」
山口君がいました。
「えっ、他のスタッフもここで食事するの?」
私がそう訊くと、彼は頭を掻きながら……
「いやそれがさ、マシーンが富士に3時に到着だったのが1時に着くからって連絡があって」
受取をしないといけない訳か……
「それなら私が先に行って受け取ろうか!」
私がそう言いましたけど……
「いや、どっちにしてもマシーンを降ろしたり、チェックも必要だから」
「チーフ行くぞ!」
あっ、源さんと青木君、それに水上君も、三人ともレジ袋を沢山持っていたけど……
「じゃあ、ごゆっくり」
そう言って山口君はバスに乗り込んで行きました。どうやらバスの中でお弁当のようです。
「美郷さん、どうかしたの?」
「うん、チームのバスが来てたみたいだから」
「あっ、そうなんだ。それより味噌カツ行こう!」
「うん」
あれ、あの赤い車は、杏香が買った車の色違いじゃないかな…… あの車、コペンって言ったっけ、結構人気があるのね。
「あっ、姫の車だ!」
「えっ、姫?」
私が見ていた赤い車のようです。すると店舗の方から杏香と結菜がこっちへ歩いて来ます。
「姫!」
そう言って菜穂子さんは結菜の側へ駆け寄ります。
「あれ、菜穂子さんどうしてここにいるの?」
杏香も私の事を見つけたようで手を振って私の方へ来ました。
「美郷さんも食事?」
「うん、美味しい味噌カツがあるって菜穂子さんがね」
「菜穂子さんはどうやってここまで来たの?」
「あっ、私は美郷さんのNSXで来たんだよ」
まあ、行き先が一緒なんだからここで出会っても不思議はないんだけど……
「ねえ、小山内さんは姫の車で来たの?」
「えっ、姫?」
「あっ、話せば長くなるんだけど、うちのチームで私は姫って呼ばれてるの」
「ふーん、そういう雰囲気はあるかな……」
「もう、杏香まで変な事言わないでよ」
「杏香、運転キツく無い?」
結構な長距離移動なので、ちょっと心配です。
「小山内さんもコペンに乗ってるの?」
杏香はロックを解除して車の扉を開けた時にそう訊かれました。
「えっ、はい……」
「菜穂子さん違うの、杏香が先に買ったのを見て、私が欲しくなってお父様にお願いしたのよ」
お、お父様? 結菜って実はお嬢様……
「だから姫なんだ!」
すかさず、杏香からのツッコミです。
「杏香、そんな事言わないでよ!」
「だってお願いして車を買って貰えるんだもん姫だよね!」
まあ、確かにそうかもね……
「杏香だって買って貰ったんでしょう!」
いや、杏香は……
「私は特別ボーナスで買ったんだよ! 結菜も貰ったでしょう」
「あっ、そうなんだ……」
結菜は苦笑してますね……
「杏香、ガソリンは大丈夫? 一度は給油しないと足りないんじゃない」
「えっと、まだ半分以上は入っているから高速降りてからでも良いでしょう」
ふーん、意外と燃費がいいのね、まあ、スポーツ車とはいっても軽だからね。
食事の為に寄った岡崎SAで、スタッフのバスや杏香達とも会いました。しかし、杏香達はすぐさまSAを出て行きました。まあ、ドライブ気分で楽しいんだろうな。




