107 余裕なのか?
鈴鹿の最終戦、今日のQ1A組は杏香なのでコースに出るまでは怠そうです。でも、予選が始まると、レースのスイッチが入ったように良い走りをしています。
スーパーフォーミュラ最終戦鈴鹿のダブルヘッダー後半戦です。泣いても笑ってもこれが最後です。
昨日、土曜日のレースでは、本多君と杏香がワンツーフィニッシュを決めてくれたので、年間チャンピオンも、まだ首の皮一枚繋がっています。
ただ、条件は厳しく本多君、杏香の順にワンツーフィニッシュを決めなければうちの年間チャンピオンにはとどきません。
「おい、準備が出来たら早くコースへ行けよ!」
水上君が杏香にそう言っています。今日は抽選で杏香がA組を引きましたので先発です。
「解ってるから、そう急かさないでよ」
水上君にそう言われ、気怠い杏香でしたけど、急がないといけない事は解っていたようで慌ててマシーンに乗り込み、今ピットを出て行きます。そんな杏香に手を振る本多君です。
余裕だな……
「本多君、例の発表はどうするの?」
昨日から私はちょっと気になっていたので本人に訊きました。
「あっ、その事なら昨日神田さんに連絡して、レース後にスクープにしてもらう事にしました」
「そんな事して大丈夫?」
「はい、ただその後、記者会見は必要になるかもですけど……」
まあ、そうだね……
杏香のQ1A組が始まりました。さっきまで気怠い気分の杏香でしたが、レースのスイッチが入ったようで昨日同様いきなりアタックしています。しかし中森は様子見のようです。余裕だな……
松島も最初は様子見ですね、まあ、彼はタイトル争いから脱落ですからね……
それにしても、今日のA組は杏香の他に中森、松島、谷山と上位のメンバーが揃っています。たまにこういう事があるんだよね……
今杏香が、メインストレートを通過しました。
『ピッ』
小山内さんの1回目1分36秒689です。
「小山内は調子良さそうだな」
GMはそう言ってるけど、大丈夫かな…… あとで疲れたなんて言わないと良いけど……
「小山内はもう終わっても良くないか? あのタイムで6位以内に入らない事はないだろう」
本多君もそう言うけど……
「まあそうね、あのタイムは昨日のQ2で3番手位のタイムだからね」
杏香は飛ばし過ぎです。私はそう思いました……
『ピッ』
中森の1回目のタイムが出ました。1分36秒758です。
「あんにゃろう、余裕ぶっこいてるな!」
『ピッ』
松島のタイムも出ました。1分36秒721です。まあ、上位6位までに入れば良い訳だからね……
杏香だけが1人本気モードのようです。
「小山内さん2回目が出ました。1分36秒685です」
「杏香、ボックス!」
「了解」
「まあ、このタイムで予選落ちは無いよな」
本多君はそう言ってピットへ行ってしまいました。
その後、Q1A組も終わり、杏香がトップで通過しました。
Q1B組が今始まりました。流石に本多君も含めて最初は様子見のようですが……
一台だけアタックです。カーナンバー8番山田です。
「あれって中森のチームメイトだよね」
「今回、B組で上位のドライバーは本多くらいだから飛び出したんだろう」
深田GMも安心してレースを見てます。
そんな感じで、様子見のグループがスプーンカーブに差し掛かった時、山田の1回目のタイムが出ました。1分36秒789です。
その後、本多君が西側ストレートからスピードを上げて来ました。次の周回はアタックのようです。
今、本多君がメインストレートを通過して行きました。
第1、第2コーナーを回ってS字から逆バンク、ダンロップコーナーへ向かいます。
本多君も気持ち良さそうに走っています。
「本多さんは邪魔者がいないから良いですよね……」
杏香がパドックに戻って来ました。
「今回のA組は偏っていたもんね」
「はい! それでもトップになりました」
杏香は自慢したかったのね…… でもまあ決勝でトップにならないと意味が無いんだけどね……
その後、本多君も2回くらいタイムアタックをしましたけど1分36秒689を出した事でピットに戻って来ました。
今のメンバーで、彼のタイムを上回る人はいないと思うので大丈夫でしょう。
Q1B組も終わりました。今日も本多君と杏香がトップです。このまま行ってくれると良いんだけど……
その後10分間のインターバルの後、Q2が始まります。
二人とも昨日同様調子が良さそうなので、ワンツーフィニッシュを決めてくれるでしょうか?
「そろそろ、Q2が始まるぞ!」
山口君からそう声を掛けられ、今ピットから本多君と杏香のマシーンが出て行きました。Q2予選の始まりです。
最初、本多君も杏香もちょっと様子を伺っているみたいだけど……
そんな中、中森と松島がスピードを上げました。アタックを仕掛けるようです。
杏香も中森から遅れる事10秒くらいかな、シケインを越え最終コーナーからスピードを上げて行きます。
それを後方から見ていた本多君も最終コーナーからスピードを上げていきます。
「美郷さん、3台揃ってタイムアタックですけど……」
ちょっと心配そうな小林さんですけど……
「まあ、大丈夫よ! 数秒ずつくらいタイム差があるから」
そうは言ったもののコーナーやカーブではタイム差が縮んだり伸びたりで、ちょっとハラハラしてます。少しでも操作を誤れば事故って終わってしまうかも知れません。
なんで余裕をもってアタックしないかな……
でも、私の心配も必要なく1回目のアタックを終えました。
中森、1分36秒698、小山内さん1分36秒685、本多君、1分36秒689です。
杏香が一歩リードというところでしょうか。
Q2予選が始まり、中森、本多君、杏香と3台密集した状態でアタックが始まりましたが、杏香、本多君、中森の順で1回目のアタックが終わりました。




