103 絶好調の二人
予選Q1が終わり、本多君と杏香がA組B組共にトップ通過しました。このまま行けばワンツーフィニッシュ出来るかも!
第9戦鈴鹿のダブルヘッダーです。予選Q1は本多君と杏香がトップ通過を果たしました。
「なんだ、おまえもトップなのか」
「はい、本多さんより速いタイムで!」
杏香はまた余計な事を……
「杏香、チーム内での争いはやめなさい!」
まあ、言ってもこの二人は辞めないけどね……
「Q1で速いタイムを出しても一緒なんだよ! 6位までに入れば良いんだから」
「それは本多さんも一緒でしょ」
はあ…… 二人にとって、これがスキンシップ? いや、コミュニケーションと言うべきかな……
「さあ、二人ともQ2が始まるわよ!」
私がそう言うと……
「準備OKです!」
二人揃って言うんだもんな…… もう息ぴったりです。
その後、二台はピットロードを通ってQ1A組B組の成績順にコースへ出て行きます。
Q2では、もっと速いタイムが出そうです。Q1の時よりタイヤもあったまっているだろうし、路面温度もQ1時に比べたら高くなっていると思います。
予選Q2がスタートしました。まず杏香と中森がアタックします。松島も行こうとしましたが、あの二台が先に動いたのを見て辞めたようでした。
杏香は先頭で第1コーナーから第2コーナーその後S字コーナーへ向かいます。
中森も杏香を追って行きます。この二台の差は1秒もないんじゃないかな、まだ予選なのに……
二台はどちらも譲らずダンロップコーナーからデグナーカーブを通過してヘアピンカーブ手前で中森がショートカットで杏香のインをつきますが、杏香がブレーキを遅らせて譲りません!
その後、スプーンカーブを難なく回って西側ストレートで中森が杏香をスリックストリームです。
しかし、すぐにシケインが迫って来てオーバーテイク出来ずに最終コーナーを回ってメインストレートに戻って来ました。
そこで中森が杏香の横に並びほぼ同時に通過して行きました。
中森は杏香をオーバーテイクして第1コーナーへ消えて行きました。杏香はスピードを落として、次のアタックに備えます。
『ピッ』
「タイムが出ました。小山内さんが1分36秒637です。それと、中森が1分36秒638です」
もーう、予選で何をやっているのよ……
でも、杏香が1000分の1秒中森に競り勝ったのは気分が良いです! でも、心臓に悪いから余りやらないでね……
その後は、本多君、松島とアタックをして、今3番手と4番手です。結菜もアタックしてますけど、6番手くらいです。
一方杏香は2回目のアタックを終えました。
『ピッ』
「小山内さん2回目1分36秒635です」
その後、松島が1分36秒642、本多君が1分36秒639、結菜は1分36秒928です。そろそろQ2も終了ですけど……
その時、杏香がピットに戻って来ました。
「杏香、どうしたの?」
私がそう言いながら杏香のマシーンの側へ来ました。
「美郷さん、グローブが破れたので戻りました」
えっ、こんな時に…… その時、中森がメインストレートを通過しました。
『ピッ』
中森がファステスト! 1分36秒629を出しました。やっぱり最後に決めてくるんだよね…… Q2も残り30秒を切りました。
「杏香、Q2は…… もう無理だね」
「うん……」
そうして、予選が終わりPPは中森、2番手に杏香、二列目3番手に松島、4番手に本多君です。
結菜はQ2では余り目立たなかったようで、四列目の7位です。
この後、3時から決勝が行われます。
その時、チームアンバサダーの二人が再びピットへ来ました。
「ねえ杏香、さっきの話だけど……」
そう言う柚月さんを制した杏香は……
「斎藤さん、さっき何か言い掛けたよね」
杏香が訊いていますけど……
「うん、実はね…… 今シーズンでアンバサダーを辞めるの!」
「えっ、そうなの?」
その話を訊いた私は、ちょっと驚きました。柚月さんは来シーズンも契約するみたいでしたけど……
「うん、私、本多さんに着いて行く事にしたの!」
えっ、そうなんだ! この二人はそんな事になっていたんだね。
「あーあっ、言っちゃった」
ちょっと残念そうな柚月さんです。彼女は知っていたんだね。
「斎藤さん、頑張ってね!」
杏香がそう言うと彼女は力強く頷きました。
「それで杏香、車は何を買ったの?」
柚月さんは予選前から気になっていたもんね!
「コペンだよ!」
「へえー、プライベートでもスポーツタイプの車に乗るんだ」
この娘は私と同じ思考をしてるわ! でも、そう思うよね……
「でも、納車が12月なら見れないよね……」
ちょっと残念そうな柚月さんだけど……
「どうせ12月にテスト走行をやると思うけどね、美郷さんやるでしょう!」
「多分ね、ただP&Rのテストもあるからね」
「ああ、ファンサービスのテストね!」
杏香、そんな事言わないの! ファンあっての私達なんだから……
「でもさ、流石に鈴鹿まで車では来ないでしょう」
まあ、でも、名古屋から鈴鹿だったら高速使えばすぐだしね!
そんな話をしながらピットウォークが始まりました。これが終われば、休憩してミーティングをして、決勝です。
本多君も杏香も今日は調子が良いみたいだから頑張ってワンツーフィニッシュで決めて欲しいな……
予選Q2が終わりPPは中森でした。しかし、今日の本多君と杏香は調子が良いから決勝はやってくれるでしょう!




