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女神様はスピード狂  作者: 赤坂秀一
第一章 teamKAEDE
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1 チームの内情

今回から『女神様はスピード狂』の連載を始めます。


ストーリーは女性初のF1ドライバーを目指す女の子のお話です。でも、主人公はteam KAEDEのディレクター北島美郷です。舞台は全日本スーパーフォーミュラです。しかし、チーム名やドライバーは全て架空の物にしました。だから期待はずれだと思う人もいるかも知れないけど、面白いものにしようと努力しますのでよろしくお願いします。

この物語はフィクションです。

 ここは静岡県、富士スピードウェイ! 今、スーパーフォーミュラの第7戦が行われている。私はteam KAEDE(チームカエデ)でチームディレクターをしている北島美郷(きたじまみさと)です。ここのファーストドライバー川嶋秀樹(かわしまひでき)はポイントランキングトップで今日勝てば年間チャンピオンにかなり近づく事が出来る実力者なんだけど……


「ねえ、本多(ほんだ)君は?」


 本多君というのはセカンドドライバーの本多浩孝(ほんだひろたか)君です。私は彼の事がちょっと気になったので訊いてみました。


「あっ、あいつなら今4位を走っているけど2位と3位にプレッシャーを掛けるのに必死だな、もう少しくらいスピードを出せば追いつくんだろうけど」


 まあ彼が、川嶋君の後続にプレッシャーを掛けているから川嶋君の走りが生きて来るんだけど……


「おい、ブルーフラッグが振られたぞ! あいつが5位の車をブロックしているから」


「ちょっと、周回遅れでもないのに、何故振られるのよ」


 私はつい、叫んでしまった…… ブルーフラッグとは、トップグループの車が周回遅れの車を難なく抜いて行く為に周回遅れの車に振られるのだけれど、たまにこういう理不尽な事があるんだよね、後ろがつかえているからブルーフラッグを振るなんて、訳が解らないバイトの旗振り君なのかな……


「まあ、あと二周だ」


 その後、本多君の頑張りもあって、川嶋君は優勝する事が出来ました。これであと二戦を残すのみ、年間チャンピオンにまた一歩近づいた。


「本多、おまえ何位だった?」


 表彰を終えた川嶋君がパドックに戻って来ました。


「5位だ!」


 川嶋君は少し顔を顰めながら言った。


「おまえさ、もう少し順位を上げろよ! これじゃチームランキングで上位にいけないだろう。


 川嶋君はそう言うけど、彼はセカンドドライバーとしての仕事はきちんとしていると思う。だから、私も言いたくなる。


「川嶋君、それは無いんじゃない! 本多君が後方支援してたからあなたは勝てたのよ」


 私はそう言ったけど、彼の意見はちょっと違ったようです。


「俺は美郷に言ってるんじゃない。それに、後方支援を頼んだ覚えもない」


 そう言って川嶋君はパドックを出て行ってしまった。


 ちょっと成績が良いとこれだ! レースをやっているのはドライバーだけじゃないんだけどね。誰のお陰で勝ててるのよ。


「本多、気にするなよ! おまえはよくやっている」


 GMの深田秀雄(ふかだひでお)はそう言っているけど、本多君はやっぱり気にしてるよね……


「あの美郷さん」


 本多君が俯きながら私に話しかけて来た。


「どうしたの?」


「川嶋は、来シーズンF2に行くって本当ですか」


 私は彼の話を訊いてびっくりしました。


「えっ、誰から訊いたの?」


「やっぱり誰も知らなかったんですね」


「本人から訊いたの?」


「いや、他のチームで噂されてたから……」


 深田さんも私も、その話を聞いて驚きました。


「深田さんは知っていたんですか?」


「いや、それは知らなかったけど、オーナーが新しいドライバーを探しているという噂はあった」


 でも、それって川嶋君はF2からオファーされているのかな……


「深田さん、オーナーと逢えませんか?」


 私はこの事を詳しく聞きたいと思いました。


「まあ待て、まずは俺が話す。それに新しいドライバーの事もあるからな」


 深田さんも何か知ってるのかな……



 私は鈴鹿の8戦と最終戦がある二週間前にオーナーに呼ばれました。多分深田さんが話してくれたんだと思います。


「失礼します」


 そう言って私はオーナーがいる部屋に入りました。


「美郷君、F4にMAX SPEED(マックススピード)小山内(おさない)というドライバーがいるから逢って話をして来てもらいたいんだが……」


「川嶋君はF2へ行くんですか?」


「うん、君も知っていたのか、ダムスからオファーがあったらしい」


「そうですか…… 解りました」


 その瞬間、川嶋君は来シーズンからもうチームにいないんだと思いました。


 一週間後、私はモビリティリゾートもてぎに来ています。小山内君と逢って話をするためです。


「あの、小山内君はいますか?」


 私はMAX SPEEDのパドックに来ましたけど……


「あっお嬢さん、ここは関係者以外立入禁止だから」


 私は迷惑でミーハーなファンだと思われたようです。


「あのteam KAEDEの北島と申します」


 私がそう言うと、彼は驚いたように……


「そうですか、まさか女性のディレクターさんとは…… ちょっと待ってください」


 そう言うと彼は、他のスタッフに話しています。


「あっ、SFの北島さんですよね、もうすぐテスト走行が終わりますので、もう少しお待ちください」


 えっ、ひょっとしてレース本番なの? 私は思いました。


 二十分くらい経って、私の元に白いレーシングスーツに身を包んだ身長150センチ位の小柄な女の子が来ました。


「あの…… 小山内杏香(おさないきょうか)ですけど……」


 えっ、最近は女性ドライバーがいるとは聞いていたけど、まさか、うちがオファーしているドライバーが女の子だったとは……

チームでオファーをするドライバーがまさか女性だった! 実際にスーパーFJやF4には女性ドライバーはいるそうです。彼女はteamKAEDEに来てくれるんでしょうか……

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