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第36話 落ち込んではいられない


―聖人視点―


「あれ?」


 気付けばほぼ毎日会社帰りに寄っていた模型店の前に来ていた。

 会社でスパイ容疑を掛けられた後、上司たちに罵倒されて今日は一旦帰れと言われて帰ってきた――気がする。真っ直ぐ家に帰るはずだったのだろうが、気が動転していた俺はいつもの癖でここに来てしまったらしい。


「ははっ。こんな時に何してんだろうな俺……」


 生憎今日は戦力補充をしている余裕はない。

 一刻も早く家に帰って俺が仕事を首になるかもしれないと我が家の住民たちに伝えなくてはいけない。

 仕事が無ければ家賃も払えない。戦力も増強できない。そもそもあのアパートの部屋自体会社が用意したものだ。もし首になったら出ていけと言われるかもしれない。

 皆にどう伝えればいいのだろうか。


「あぁ、くそっ!」


 俺は店に背を向け、本来の帰路へとつこうとする――――が、



「あら? 今日は寄って行かないのかしら?」


 背後から声が聞こえた。

 あの店長代理の声だ。

 振り向くと店長代理が店から出てきていた。


「……申し訳ない。生憎だが今日はそんな気分じゃなくてね」


 そう言った後頭を下げ、俺は歩き出そうとしたのだが、



「そう……。なら、少しお茶でもしていかない?

 少しだけなら愚痴くらい聞くわよ」


 と、言ってきたではないか。


「どうして俺が悩んでいると?」


 俺の心を読めるのだろうか?

 相変わらず不思議な人だと思いながら、俺は店長代理に聞いた。


「客商売だもの。人の顔色をたくさん見ていれば分かってくるものよ。

 さ、最近いい茶葉が手に入ったの。寄ってらっしゃい」


「ふっ。いつからここはそんな店に?」


 呑み屋か何かか? と心の中で思いながら振り向くと、店長代理はいつもの通り妖艶な笑みを浮かべながらこちらを真っ直ぐ見ていた。


「常連さんにだけは特別。なのよ?

 みんなには内緒にね?」


「ははっ、そいつはいいな」


 帰る足取りも重い為、なんとなく少しだけ愚痴を吐き出してしまおうと考えた俺は店長代理の好意に甘え、店に寄っていくことにしたのであった。











「そう……それは災難だったわね」


 会社であった冤罪事件の出来事を話し終えた俺は、出された時には温かかったが既に冷えてしまった紅茶を飲み、


「あぁ、まったくだ。ここ最近で一番最悪な出来事だったよ」


 いや、一番最悪なのは可部和見 亜矢子の件か? 人形の件もあるが和解したからいいだろう。

 幽霊アパートの件は時間が立てば解決できた話かもしれない。

 だが、仕事に関してはこれから俺の人生にしっかりと関わってくる問題だ。

 もしこの件で俺の有罪が確定すれば同業種で働くことは難しくなるかもしれないし、何よりも懲戒解雇となれば次の職探しも大変になるだろう。つまり食うに困る状況になるかもしれないのだ。

 最悪しばらく実家に戻って仕事探しをしなくてはいけない。その場合は実家に帰ることが難しい萌愛さんはどうすればいいのだろうか。もし他の可部和見とかいう連中以外の術者達が狙ってくるような状況でも今後対応可能なのか。など様々な問題がある。


「気を落とさないで――――なんて軽々しく言える感じではないわね」


「いや、気遣ってもらえるだけありがたいよ」


 こうして愚痴を言えるだけの間柄になるとは通いだした当初は思いもしなかったな。

 というか、模型店の人間に何話してんだって思うが、心配してもらえるだけありがたい。


「でもそういう悪い連中は長続きしないっていうのが世の常じゃないかしら?」


「そうかな? 比べる対象になるか分からないが、よくニュースになるような政治家の悪行が暴かれるのも一部に過ぎないんじゃないかと思うけど」


「でも、総理大臣だとか外国の大統領だって問題や悪事が暴かれるのよ? 国のトップだって悪事を隠し切れないじゃない」


「まぁ、有耶無耶になる事が多いと思うが……」


「じゃぁ、このまま諦めるの?」


「……」


 そう言われてしまえば、何とも言えない。

 だが、俺に何ができるのだろうか。


「正直言えば悔しいさ。何かできる事があるなら全力で抵抗だってしたい。連中がついている嘘の証拠集めの方法とかまったく思いつかないんだ。こういうのって弁護士とかに相談するべきなんだろうなぁ」


 日常生活の中で常にボイスレコーダーを起動させていろとでも言いたいのか? そうしなければ自分の身も守れない世の中なのかよ。


「貴方は強いわ。こんな状況で礼を言える位なんだもの。きっと修羅場を幾つも経験してきたのね」


「……伊達に命の危機を何度も体験していないって事かな」


 自分でも呆れる程ここ最近命の危機を感じていた。

 店長代理の言う通りきっと俺の心臓は鋼化が進行しているらしい。

 それにしては家で待つ彼女達に何と言えばいいのか迷っているけどな。


「命の危機――ね。ふふっ。見た目とは違ってずいぶんとワイルドな生き方をしているのかしら? 私にも何か力が貸すことが出来ればいいんだけど」


 と、店長代理は言ってくれるが、そいつは無理というものだろう。

 業種も違えば俺が勤める会社と関係性も無い。


「気持ちだけ貰っておくよ。それとこの紅茶もね」


 残りの紅茶を一気に飲み干し俺は立ち上がる。

 店の一角で出された紅茶の香りと心が躍るほどのプラモデルの山による視覚効果は、俺にとって鎮静効果があったようで少し落ち着くことができた。

 こんな貴重な体験もう二度とないかもしれない。


「じゃぁ行くよ。ありがとう」


「いいのよ。……もしすべて解決したら――いえ、いつでもまたいらっしゃい。待ってるから」


「また来るよ」


 そうして俺は店を出た。







 まだ道は夕日の太陽に照らされはっきりと見えていた。


「よしっ!」


 ゆっくりと歩いていた俺は、覚悟を決めてしっかりとした足取りで自宅へと向かい始める。

 彼女達を不安にさせてしまうかもしれないが、それでもしっかりと教えておかなくてはいけない話である。


「皆で話し合って今後の事をちゃんと決めなきゃな」


 つまりはそういう事である。

 一人で悩んで隠す事でもない。


「……あれ?」


 決心を固め、しばらく歩くとふとあまり見たくない車が道の端に止まっている事に気付く。


「(おいおい! あれって)」


 ボロボロのワンボックスカー。

 見間違うわけがないし、あんな車がそう多くあってたまるか。


「グイム。えっとグイム隠密型いるか?」


 周囲に人が歩いていない事を確認しつつ、俺の護衛をしているであろうプラモデルに声を掛けた。

 すると、民家の塀の上にチラッと姿を見せた後、手を振ったグイムはオンボロワンボックスカーまで走って行き、その途中ステルス機能を再び展開させて姿を消していた。

 先に行って様子を見てくれるという事だろう。


 しばらくワンボックスカーを眺めていると、後部ドアがガラッと開き、中から以前見た術者集団のリーダーである可部和見 亜矢子が両手を上げて出てきたではないか。抵抗しないと言う意味か?

 そして、俺にゆっくりと近付いてきて、


「相変わらず優秀なボディーガードをつけているね」


 と、こちらを睨みながら俺にそう吐き捨てるように言った。


「あ、うん」


 後ろではビームライフルを構えたグイム2体が亜矢子に銃口を向けている。


「なんだ? また俺を誘拐しに来たのか?」


 あの眼帯男は全力で俺達の引っ越しを邪魔をしないし、今後俺達に関わらないようにすると言っていた。しかしこいつとは約束していない。そのような約束は無効だと言われてしまう可能性も考えていた。だから俺は護衛用のグイムを増やしていたり地味に外での身を守る戦力を増やしていた。


「そうじゃない。むしろ逆よあんたに助言……いや、けじめを付けに来た」


「は?」


 しかし、亜矢子は俺に危害を与えるつもりは無いと言い切る。

 だが、こいつの助言って当てになる物なのか?

 いや、聞いてみない事にはわからんな。


「これは私のミスだから、恨むなら私を恨んでもらっても構わない」


「どういう事だ? 何があった」


 穏やかではない発言の数々に不安を覚えた俺は、亜矢子にどういう事だと尋ねる。


「以前、私達と同盟関係にあった術者の話は私の仲間から聞いたのよね?」


「ん? たしか、パトロンが居るとかどうとか。そんな話を眼帯付けた男から聞いたな」


 俺は以前襲撃を受けた際に聞いた事を思い出し、敵となるのは可部和見の連中以外にもいる事を再度認識する。

 可部和見家をいくら撃退したところで、他の連中が諦めるわけではない。つまり、この先ずっと俺達は狙われる可能性があるのだ。


「連中の名前は黒地子。黒地子と呼ばれる一族の目的はあのアパートが建つ土地よ。そこに住む人なんてどうでもいいと思っている」


 そう説明を受け、「あれ?」と、引っ掛かりを感じ、


「なら、さっさとアパートを出て行けば除霊とかの目的であそこに住む俺達は狙われる事は無いという事か?」


 一筋の希望というやつだ。可部和見の連中ははた迷惑な善意で俺達を除霊しようとするだろう。だけど、その黒地子とかいう連中は人の事は無視するような考えらしい。


「そうじゃない。どうでもいいっていうのは人の命という意味。

 目撃者や多くを知ってしまった一般人は始末するつもりなの。

 つまり、今貴方は私達と同様黒地子の連中に命を狙われていることになる」


「え"」


 一筋の希望かと思えば、とんだ事実を突きつけられたぞ。

 なんじゃそりゃ。え、殺されるの俺達アパートの住民?


「はぁ? どうしてしてそんな事になる。ふざけるな!」


 人を殺すだぁ? なんでそんな事簡単に言えるんだよ!


「秘密を守るため。らしいけど、私にも人を殺してまで守ろうというその考えは理解できない。もっとも、私達は記憶操作の術が使えるからなんだけどね。

 で、どうしてこんなことになったかって言えば、私達が失敗したからよ」


「失敗って……。俺達を誘拐する事に失敗したからか?」


「そうよ。まぁ、土地の確保に失敗したからっていうのが向こうの言い分だけど」


「そんな勝手な……。というか、前々から思ってたけど、金があるなら土地の所有者を説得してアパートの住民に立ち退きをしてもらえばよかっただろう? 順番が違うんだよ順番が!」


 そうすれば、俺達だってお前達の存在を知ることは無かったし、安全にアパートから出ていくことができたんじゃないか?


「それはそうだけど、最初に貴方達に接触しちゃったからね。だから除霊を優先した私達のミスなの」


「そんな……」


 どうすればいいんだ? 相手は人殺しを厭わない連中だそうだから、どんな手段を使ってくるか分からない。


「くそっ、相手の人数は? 相手の武器は? あぁ、畜生。どうしたらいいってんだ」


 俺は頭を抱えてこれからどうすればいいのか考える。

 仕事を首になりそうだという話を我が家に住む彼女達に話すのを躊躇っていた自分が馬鹿みたいに思えてくる。今度は命の危機かよ。ふざけんな。


「相手は100人以上の勢力を誇る集団よ。だけど、全国に散っていて私達の仲間が必死になって戦ってくれているから、襲撃予定日に全員集まれるか分からない。

 だけど、連中の話を信じるならばあのアパートへ襲撃をする予定らしいから、私達は貴方たちを全力で守りつつ、黒地子家の連中と戦う予定だから。貴方達にとって私達に守られたくはないでしょうけど」


「はぁ? 俺達を……守る?」


「そう。勝手に守って勝手に散るわ。

 私達は既に3人だけだけどね」


「さ、3人……」


 数が絶望的に少ないじゃないか……。


「もちろん、全国に散っている仲間達が駆けつけてくれるかもしれないけど、それは望みが薄い」


「いや、もっと居たじゃないか? あの日、この家に襲撃に来た時は10人はいたし、萌愛さんの実家を襲った連中も居たんじゃないか?」


 以前、アパートに襲撃に来たメンバーに萌愛さんの実家を襲った連中は居なかった事を映像解析で知っていた俺は、そんな質問をしてみる。


「萌恵とか言う人の家に行った二人の内一人は入院中。もう一人はその家を黒地子の連中から守るために近くのアパートから張り込みをしている。

 で、この前の貴方の家を襲ったみんなは貴方のロボットの攻撃で半数が入院しているから、私の部下の残りは5人だった。だけどその内3人は黒地子家に殺された」


「なっ……」


 言葉に詰まった。

 まさかもう死人が出ているとは思わなかったのだ。

 黒地子って連中、こいつらよりもヤバい存在じゃねぇか!


「連中は人を殺すことを躊躇が無い! 日野辺も……日野辺も私を守るために殺されてしまった。陸代海ことう熊御園くまみそも殺された」


「日野辺って言うと……あの眼帯の?」


「そうよ。幼い頃から私の世話をしてくれた大切な人よ。私は絶対に黒地子を許さない」


 亜矢子の目には復讐の炎が宿っていた。


「俺は……いや、俺を含めたアパートの住民は危険は避けられないと?」


「えぇ。だから私達が全力で守る。逃げるならば手助けをする。だけど、どこまでできるか分からない」


 あぁぁ。まずい事になった。

 どうしたものか……。


「なら……。猶予は?」


「3日後に戦力を集結し制圧すると言っていた。どこまで信用できるかわからない発言だったけど。

 もしかしたら連中はわざと私たちに猶予を与えて、痛めつけるのを楽しもうとしているのかもしれない」


「3日後か……」


 なら……。やるしかないか。


「分かった。なら、協力してもらいたい。俺達の事を恨んでいるだろうが、提案し来た以上はやってもらいたいことがあるんだ」


 亜矢子達にとっては俺やグイムは仲間を傷つけた怨敵だろう。

 今日ここでこのような提案をしてきたこと自体かなり考え抜いた結果なのかもしれない。


「できる事なら。それに今となってはそれほど恨みは無いよ。本当に悪い連中ってのを目の当たりにしたから」


 覚悟を決め、俺は亜矢子達に協力をしてもらうように提案すると、すんなり了承を得た。


「手始めにそのワンボックスカーを使ってもいいか?」


「構わない。何か運ぶの?」


「その通りだ。沢山の荷物を運んでもらおう」


 こうして俺はつい先日まで敵だった連中と手を組み、車をとある場所まで案内したのであった。

 こりゃぁ、仕事の事で落ち込んでいる場合ではないな。










「さっきぶりね。どういう心境の変化かしら?」


 俺が可部和見の連中を案内したのは先ほどまでお茶を飲んでいた模型店であった。


「ちょっと急用でね。ガゾプラが必要になった」


「自宅謹慎中で暇だから――というわけでもなさそうね?」


 困惑した表情で俺を見てくる店長代理。

 だが、驚くのはまだ早い。


「職場の事も大変だが、日常生活で生き残りをかけた戦いをしなくてはいけなくなってね」


「あら怖い。私の店の商品が役に立つのかしら?」


「ククッ。むしろこの店の商品が役立たなかったら人生お手上げ状態になるだろうな」


「へぇ……それは興味深いわねぇ」


 目を鋭く尖らせた後、店長代理は舌なめずりをしていた。


「貴方の目を見てそれが本気で言っていると分かるわぁ。

 そして強力な奴が欲しいって事も。

 丁度、『グイム戦略兵器搭載型』『グイムエリート』等とっても熱くなる機種を揃えていたの」


 俺に売る為に用意していたのだろう。カウンターの下に隠していたガゾプラの箱を取り出し、これ見よがしに見せつけてきた。


「いいねぇ。全部頂こう」


「ふふっ。気前がいい男って好きよ? じゃぁ、今日はこの二つで――」


「いいや違う」


 俺は早速会計をしようとしていた店長代理の手を止める。

 他にも買うのだろうか? という顔をしながら、ガゾプラが置いてある棚を見る店長代理。


「そう。じゃぁ、他の商品をもってきてもらったらまとめて会計を――――」


「ここからここまで。全部貰おうか」


「えっ!?」


 おぉ。店長代理のその顔。そんな顔もできるとは珍しい物を見た気がするぞ。

 いつもの鋭い目はまん丸に見開かれており、正気を疑うような顔を俺に向けてくる。


「ま、まって。全部って……60箱以上あるじゃない。

 い、いいえ。それだけじゃないわ。指定した棚にはゾームもある。さすがにゾームも入れたら80箱以上……まさか!」


「そのまさかさ。ゾームも購入させてもらおう」


 俺の発言から驚いたのだろう。店長代理はしばらく黙った後、


「ふふっ。自棄になったってわけでもなさそうね……」


「当然だ。俺は正気さ」


 いや、命を狙われているのだから動揺しているかもしれない。

 だけど自棄になっているつもりはない。これから俺は家に居るみんなの命を守らなくてはいけないのだからな。


「はは、あはははは。すごい男ね貴方。

 本当ならこんな事を言われた正気を疑うけど、貴方の目は人を守ろうとしている男の目よ!

 どうしたらガゾギアのプラモデルが人助けに必要になるのかわからないけど、人を助けるなら私も売らないわけにもいかないわ」


 そう言って店長代理は笑っていた。


「確かに俺は人の命を守ろうとしている。家に居るもはや家族と言ってもいい連中、俺達と敵対していたがその後俺達を助けようとしくれている人達。その人たちの家族。彼等を助けるつもりだ。

 だが、その先には傷つける人達も居るかと思う」


「それは正義の為? 悪の為?」


「人を傷つけるかもしれないんだ。いくら正当な理由があろうと……悪になるかもしれない」


 俺が作ったグイムによってはじめて人を殺すかもしれない。

 その覚悟は俺にはあるのか?

 わからない。分からないが……。いざとなったら守るために殺す気はする。


「そう……。なら私は共犯になってあげる」


「!?」


 店長代理からとんでもない事を言われた。

 共犯? 知っていて売ってくれると?


「お客さんは、私の事を思ってその事を話してくれたんでしょ? 私が売った商品が犯罪になるかもしれない事に使われる事に対して申し訳ないと思ったからそんな話をしてくれたのなら、私なりの誠意の返し方よ。

 だから私はこう答えるは。気にしなくていい。思いっきりやりなさいってね」


「いいのか?」


「えぇ、これでも人を見る目はあると思っているの。お客さんのやろうとしていることは危険なことかもしれないけど、それは決して単純に悪として裁けないことだってね。それでお客さんの罪の意識がほんの少しでも和らいでくれたら、私としてもうれしいわ。なんならまだ倉庫に眠っているガゾプラも必要? それも売ってあげる」


「ありがたい……本当にありがとう」


「いいのよ。これも商売の為ですもの」



 こうして俺は100体を超えるガゾプラと大量の追加パーツを購入することになり、それらを決戦に向けて作ることとなった。


「支払いは……」


「カードで」


 当然、金額もかなりのものとなり、俺はこの恩人に対してとてつもない裏切り行為をする。


「これ、使えるかな?」


 そう言って俺は以前店長代理から貰った10%割引券を財布から出した。


「あら……そんな魅力的なチケット、どこで入手したのかしら?」


 そう言った店長代理の頬に汗が一筋伝わる。

 おいおい、渡したのはあんたじゃないか。ついこの間の事なのにもう忘れたのか? とは言わない。きっとわかっていて言っているはずだからだ。


「知りたいか? これはとある魅力あふれる女性から貰った大切なお守りさ」


 そんなバカみたいに格好つけたセリフを吐いた俺は、カウンターに割引券を置き清算を待ったのであった。



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次話は2日後を予定しております。

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