1、ドア
空を見上げる。天使の羽を広げこちらを見ている何かが居る。
神、この世界の人々が呼ぶそれはこちらに剣の先を向け、ゆっくりと、着実に心臓を貫いてきた。
「ああッ...クソッ!ふざけんなよ」
20XX年、東京都在住の26歳ニート、金なし彼女なし意気地無しの負の塊のような俺"錦 斗真"なぜ俺が嘆いているのか、それは今一部で話題のMMORPG、『アルテミス』神と人間に分かれてそれぞれが争い合うPvPを主軸にしたゲームをしているからである。そして今、俺は死んだ。
―――――もちろんゲームの中だから実際に死にはしない、デスペナルティがあるくらいだ。金が半分消える?スキルレベルが下がる?いや、このゲームのデスペナルティは『アンデット化』だ。
アンデット化、この状態は"移動速度低下""全ステータスの低下"そして何よりアンデットのままトドメをさされると生き返ることが不可能ということである。
「街まで間に合うか!?頼むぜ...」
あぁ、あと1つ能力がある。それは10分の間"無敵状態"である。
無敵状態は自分も攻撃できないので逃げるしか策はない。そのため俺は今懸命に逃げている。
街に行かないと生者に戻ることが出来ない。
「まずいまずい!このままじゃ間に合わねぇ!見つからないように動くしかねぇな...」
俺がこのゲームで選択したのは人間サイド、アルテミスは神の人口が多い、もちろん神の方がつよいが、あっちは死んだらおしまい。文字通りゲームオーバー。
俺は1回死んだらおしまいって言うのが嫌だった。
「は!?なんでこんなとこにクソ神がいんだよ!」
油断してた。ここまで来れば大丈夫だと思ってしまった。
1歩、引く判断が遅れた、バレた、おわりだ
向かってくる音が聞こえる、自分の息がうるさい、『スキル』の音、剣の先がこちらを向く。
先から光が漏れ
その瞬間
HPバーが消える。
死んだ
俺のアバターは消えてなくなった。
「ッ!...はぁ...小便行こ...」
この部屋から出るのは辛い。
母の目が痛い、さっさと戻ろう。
トイレを済ませ、部屋に戻ろうとドアノブを捻りドアを開ける
「――――――は?」
空。
ドアを開けると外の世界が広がっていた。
「疲れてるな、俺」
もう一度ドアノブを捻る所からやり直してみる。
が、変わらない外の世界。
埒が明かないので入ってみることにした。
ここは...街?だいぶ盛んなようだ。
馬車や通行人、獣人...ん?あれ?リアルにこんなケモ耳ケモしっぽのアニマルっ子いたっけ?
いや居ない。
いたら天国だな。
まるでアルテミスだ...アルテミス...この街アルテミスっぽくねぇか?
「おいおい、まさかゲームの中に来ちまったってか...?一旦帰って考えをまとめ...れねぇよな...」
通ってきたドアは地面に埋まって行った。帰ってくる気配はない
とりあえず酒場に行って情報とか色々集めるか。
「いらっしゃいませ!アルドル酒場へようこそ!新しいお客様ですね!こちらが受付になります!」
酒場に入ると茶色い狐耳が特徴的な可愛い娘に案内され「ど、どうも」と多少どもる俺。
「ギルド加入ですか?お仕事をお探しですか?」
情報収集のつもりで来ただけなんだが...
「ここだけの話...ギルド加入すると可愛い子沢山いますよ?」
「入ります。」
やられた、こういうのずるいと思う。入るしかないじゃん。
「ありがとうございます!それではギルドカードを作成致しますのでこちらに名前とランクをご記入ください!」
と、1枚のカードを渡された。
――――ランク?アルテミスにランクなんかあったか?レベルのことか...?
name
ニシキ トウマ
rank
164
「あの...お客様、申し訳ございませんがランク164という虚偽のランクを書くことは禁じられていますので...」
あれ?レベルじゃないのか?
「えっと...じゃあランクというのは何なんですか?」
「分からないのであればお教え致します。」
「お願いします。」
助かった。アルテミスとは多少なりとも仕様が違うみたいだから他にも違うところがあったら質問してみよう。
「ランクというのは冒険者ランクの事です。1〜100までのランクがありランク10までが"ルーキー"ランク80からが"ベテラン"になります。」
なるほどな、アルテミスとはだいぶ仕様が違うな。
「あの...じゃあ俺のランク分からないので測ることとか出来ますか?」
「あ、はい!出来ますよ!こちらへどうぞ。」
さらに奥へ案内された。
長い通路を抜けると少し暗いせいか真ん中に置いてある水晶がとても印象に残る。そんな部屋だった。
「では、こちらの水晶に両手を乗せて目を瞑ってください。」
言われた通りに手を乗せ目を瞑った。
「今から測りますので手に力を集中されるイメージをしてください」
グッと手に力が入る。
―――――まだか?手汗がやべぇ。
一瞬だったのかもしれないが俺にとってはこの時間が長く感じた。
「...はい!もういいですよ!」
その一言にほっとした。
「え〜...ふむふむ...」
「あの...どうでした?」
「う〜〜〜〜〜む...」
「あの〜?」
「はっ!す、すみません!ええとですね!ニシキ様の属性は水です。ランクは3ですね。」
「マジ?」
「マジです。」
嘘だろ...俺の異世界ライフが...チートも持たずにランクもルーキーとか終わった...
「で、でもランクが低いのでスキル取得は自分の好きなものばかり選択できますよ!」
「そ、そうですよねぇ!...でも、ありきたりなスキルしか覚えられないんじゃ?」
「...」
目を逸らされた。やっぱりだ。
固有スキルで無双!とかやりたかったなぁ...
「それではニシキ様、良い冒険者ライフを!」
その後なんやかんやあって追いやられる形で酒場を後にした。
なんか隠してるような素振りは気になったが...
もちろん情報収集なんか全く出来なかった。
「こっからどうすっかな」
酒場は気まずい、かと言ってどこか行ける場所もない。
考えながら歩いているとベッドのマークが見えた。
「宿か、1回入ってみるとするか」
ふとそう言い放ち、ドアを開ける。
中は静か...でもないがうるさくも無い。色々な人がクエストについて会議をしているようだった。
入って真っ直ぐ行くと受付のようなものがあったので
「すみません、宿のマークが見えたのですが1晩いくらでしょうか」
「あぁ、宿はこっちじゃないぞ、そこを右に曲がって真っ直ぐ行ったところだ、あと1晩3Gだな。」
「そうなんですね、ご親切にありがとうございます。」
「おう、金が出来たらまたこいよ。ここは食事処ダラオンだ。」
「ぜひ」
なるほど、宿の近くに食事処か、いいなここは。
―――――さて、あっちだったな、と店主に聞いた道を進む。
日が傾き始める頃、ようやく宿に着いた。
「やっと...着いた...」
かれこれ1時間くらいは歩いたんじゃないだろうか
「何が近くだ!右に曲がったらくそ長い道歩かされたぞ!」
今はとにかく疲れた体を休めたい。さっさとチェックインしよう
「それでは103ルームです。」
「ごゆっくり」と一言かけられたのも聞かず、部屋を探しにいく
「103...103...あった」
ドアを開ける
「―――――は?」
見間違いだろうか、もう一度ドアを開けてみる。
やはり"いる"
どうすればいいのだろう。
だって..."いる"のだ。
そこにはベッドですやすやと眠る
綺麗な白髪アニマルっ子の少女がいた。
―プロローグ ドアの先―
おはようございます。またはこんにちはこんばんは。
牧下 修也です。
今回初めて小説を書くのでだいぶ拙く見にくい文になるとは思いますがこれからも見てくださると大変励みになります。
学業やバイトなどと両立しながらやる為更新はかなり遅いとは思いますがよろしくお願い致します。
今回、なぜ小説を書こうと思ったかと言いますと、ずばり、思いつきです。周りが書いてるから自分もやってみよう。そう思いこう書いております。
実際に小説を書くと楽しくなりどんどんと話が頭の中に浮かんできます。それを実際に文字に起こすとなると少し難しいですがこれも楽しい要素のひとつかなと思います。
あんまり長々と書いてもあれなのでこの辺で失礼します!
これからよろしくお願いします!