第018話 杖と剣3
……ふぅ、お茶が美味い。
さて、姉さんが機転を利かせシルヴィアさん止めなければ、俺は、両目は喰われていたのだろうか?
止める際の言葉が「それ以上は18禁だからダメ!」ってのは如何なものかとは思うが。
我に返ったシルヴィアさんも赤く顔を染め小さくなって「取り乱してしまい、済みませんでした」なんて謝罪してくる。
なんとか落ち着いた感じがする。お茶のほっと一息な和み成分って素晴らしい。
なお、先ほど顛末の際。状況打破の為、魔法ライブラリから何か対応出来そうな魔法検索したのだが使えそうなモノは全くなかった。
脳内にインストールされた魔法は魔素に作用するモノしか使えない様で補助系は全くダメそうだった。
護身用として4元素主体の攻撃魔法と無属性の防御結界魔法と辛うじてが使えるぐらいのラインナップ。
……それにしても攻撃魔法の威力が出鱈目過ぎて、いったいどんな危険と戦うつもりなのだろう?と、頭を傾げてしまうぐらい過剰なモノばかりだった。
力技の、火力こそ最大の防御みたいな脳筋魔法しかない模様。……やられる前にやれって感じの思想なのだろうか。
お互い、一息付き落ち着いた様子のシルヴィアさんはおもむろに椅子から立ち上がった。
またかと思わず身構えてしまったのだけれど、彼女は後ろにある書架横のクローゼットの前に行き扉を開け、小ぶりな四角い手持ちケースを取り出してきて机にそっと置いた。
四角い手持ちケースの錠前をパチンパチンと軽い音をさせながら外し蓋を開けると、中には拳銃やライフルを彷彿させる金属で装飾された木製の何か。壊れ物を保護する様、大事に丁寧に収められていた。
その形状は何と言うか昔のフリントロック式の拳銃を想起させるモノで、とても年季の籠もっている感じがする。
先込め式のフリントロック式の拳銃と違い、持ち手の斜め上部に回転式輪胴が据え付けられ、一見リボルバー式の拳銃にも取れる形状。
本体部は木製で銀色の加工された金属が綺麗に装飾され、持ち手思われる部分に滑り止めなのか、丸い赤い石が填め込まれている。
ケースの空いたスペースに付属品として、カラフルな色を施された円筒形の金属。大きさは乾電池ぐらいの弾頭がない空薬莢っぽいのが六つ。輪胴部に挿入すると思われる。
「……鉄砲。……ううん、拳銃、なのかな?」
姉さんの思考もそこに行き着いた様だった。けれどもシルヴィアさんの返答は違っていた。
「さて、今回紹介するのは、彼の大魔導師が使用した魔法発動を円滑に行使出来る一品。魔杖<スコルピオン>です」
「魔杖……、スコル、ピョン?」
なんだよ、何処のテレビショッピングだよ。まさか、こっちの世界にテレビなんてモノはないよな?
姉さんは微妙に噛んじゃってるし。……しかも、その所為で若干可愛い感じの名前になってるし。
「俺わっ、心の中でツッコミを入れても言葉ではフォローもしない」
「むー、輔のいけずぅ」
「あらぁ、さっきのお詫びも兼ねて心和ませる為にお姉さんが小粋な小芝居をしたのに残念です」
「……むしろ警戒心がだだ上がりです」
「……ふむぅ。では改めて、これは魔杖<スコルピオン>と言います。アキラさんの言う鉄砲や拳銃。ではありません」
「では、魔杖。と言うのは?」
「魔法に必要な魔素を効率的に集め発動し易くする触媒、一般的に魔杖。と言った所ですか。オーダーメイドされた一品モノはそんなに数が無いと言われています」
「魔杖って言うとー、……魔法使いが魔法を行使する時に振り回している木の棒って考えでいいですか?」
「そうですね。魔法使用者は一般的に魔杖を触媒とし、大気中の魔素を吸収させ、或いは体内でマナ変換し詠唱の後、鍵言を発すると、あらかじめ登録しておいた魔法を発動させます」
「……ボクは箒に跨っている魔女のイメージしか湧かない」
「興味深い話、ですね。きっと魔女が跨っている箒も、ある意味魔法触媒として使えたからではないでしょうか」
なんて姉さんの言葉に真面目に返すシルヴィアさん。
本来、呪文や詠唱で魔法を発動させるのだが、一部を除き個人で持っている燃料は高が知れている。それを大気中から補填出来て、円滑に行使する触媒が魔杖で燃料イコール魔素になるらしい。
読んで頂き有難うございます。
投稿に慣れていないので試行錯誤しています。
自己満足しながら楽しんで書いているので他の人が面白く読めるかは判りません。
なので多々読み辛い部分も有ると思いますが、そこは平にご容赦を。




