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散文の後/東風  作者: 新辺守久/小珠久武
第一章 15歳 春休み<帰らずの森グランゼ>-工事中-
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第011話 夢現3

 コンコン。


 見計らったかの様に再び扉をノックする音。

 隣の部屋に居る姉さんの様子を伺ってきたシルヴィアさんだ。


「お姉さんなのですか、彼女は横になられています。ただちょっと……」


 なにやら言いにくそうな反応。

 どうやら隣の部屋で寝ているらしく、ならば目覚めの手伝いをしてやろうと案内をお願いする。

 木造りの落ち着いた雰囲気の廊下に出て、シルヴィアさんの後に続き、姉さんが居るのであろう隣の部屋へと向かう。

 シルヴィアさんは扉の前で一度ノックをして反応がないかを確かめ、少しを置いてから扉を開ける。

 俺が寝ていた部屋と同じ様な構造で先を進むシルヴィアさんの肩越しに寝台で横になっている女性が見えた。まぎれも無く俺の姉さん。


 うん、何と言うか、ひと言で表すと酷い寝姿ねすがたである。人間工学を無視した起きた際に寝違い待った無しの非常に過酷な寝相である。

 枕の部分、頭の在るべき場所に足が、足を向ける方向であろう方向には姉さんの頭が、つまり天地逆転している。

 しかも寝台ベットからはみ出した頭は首から垂れ下がる様に90度近く曲がっている。そんな体勢て首は痛くないのだろうかと思える程である。

 更に掛け布団はり上げたのか寝台ベットから落ちていて、若干、服がはだけお腹があらわになり、手を当ててさすっているのか「もうお腹一杯でふぅ」なんて寝言が聞こえてくる。

 だらしなく開かれた口からはよだれれている。不安感もない安心しきった人間の様相。これはもう快眠、爆睡状態と言ってもいいのではないだろうか。


「……おおぅ」


 家で散々その姿は見ていたので知っていたけれど、それでも我が姉ながら女子力の欠片かけらも見えない、凄惨せいさんで酷い寝相に思わず声がれる。

 逆な意味でそれ程無防備になれる位には、この場所に悪意や害意を感じていないのであろう。なんと云っても直感で生きる女なのだから。


「彼女は、タスクさんのお姉さんで間違いないのですね」

「あの姿を見ると違うと言いたいのですが、まごうことなきウチの姉です、どうも有り難う御座いました。なんか済みません」


 何故か謝ってしまった。シルヴィアさんも「いえいえ」と寝台ベットの惨状は無かったモノとして気遣って貰い色んな意味で感謝。


「では、惰眠をむさぼる姉を起こしますか」

「そうですね」


 さて、姉さんの無残で無事な姿を確認したので、改めて、腕まくりをする仕草をしながら寝台ベットへ近づく。

 シルヴィアさんは苦笑いを浮かべ一緒に付いてくる。


 我が物顔で寝台に横になっている姉さんのかたわらに立つ。

 まるで近づいてくる獲物を察知したかの様なタイミング。見計らって居たかの様にその両目をパカッと見開いたかと思うと


「……知らない天井」


 なんてつぶやいてくる。貴女、天井も見ずに俺達に目線を向けながらその言葉を吐きますか。

 そして今まで寝た振りをしていたんですか、ってぐらいの反応速度に、シルヴィアさんは驚きの余り固まっていて姉さんを凝視ぎょうししている。

 その視線に気が付いたのか


「……ボクが寝ている間に、輔が知らない女を引っ掛けてた」


 生まれてこの方モテた事がすらないのに、続けて出てきた言葉はまるで俺がナンパ男みたいな言われ方で心外である。ちょっとイラッとしましたよ。

 抗議の為にスッと目を細め姉さんににらみつけ様と……


「ヒエッ」


 あれ? 横にいたシルヴィアさんから変な声が出た。


「えっ、どうかしましたか?」

「い、いえ、なんかピリッと精霊達に不穏な空気が流れた感じがして……」


 尻すぼみになる言葉と取り繕った様な笑顔で手の平を前に出しるしながら少し後ろに下がる様な素振りをする。

 なんか表情が硬いし、彼女の周りをよく見ると体にまとわり付く感じでカラフルな色が明滅している。彼女の言うところの精霊。多分、魔素なんだろう。


「エルフのお姉さんは輔のよこしまな考えを感じ取ったのです」

読んで頂き有難うございます。

投稿に慣れていないので試行錯誤しています。

自己満足しながら楽しんで書いているので他の人が面白く読めるかは判りません。

なので多々読み辛い部分も有ると思いますが、そこは平にご容赦を。

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