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親バカ魔王と弱勇者見習いの修行旅行譚  作者: #FF9900
第三章:ベディシェル革命戦争
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#22 ベディシェルという国

僕の抱いた違和感の正体が何かを探しに行くのはいいとしても、ひとまずジェロアとの会合を済ませる方が先決だということで、僕とアルフは地図の通りにアズダの中心にある巨大な屋敷にやってきた。

この屋敷は周囲の屋敷よりも高い位置に建設されているうえに、建物そのものの大きさも大きいため、少し離れた地点からも確認することができた。

一切のズレがない完璧なレンガ造りに、そこかしこに施された金属飾りでまさにこの街を収めるものの権力を誇示しているような造りに思わず顔をしかめる。

ふと隣を見るとアルフも似たようなことを思ったのか、少し苦い顔をしていた。

いつまでもここにいてもしょうがないので、正面の門の両脇にたたずむ門番に話しかけ受け取った招待状を見せる。

門番は何やらいやそうな顔をしていたが、それでも流石に招待状の前では客を雑に扱うことはできずに、取り次いでくれた。

屋敷から出てきたのは昨日宿屋に来たダルテだった。


「ようこそおいでくださいました。こちらへどうぞ」


昨日と同じように大仰なしぐさで中に入るように言うダルテの後をついて行くと、やがて広い部屋に通された。

ここが会場かとも思ったが部屋の中には家主の姿はない。


「申し訳ありません。少し部屋の調整を行う必要がありますので少しだけこちらでお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」

「・・・時間は伝えたはずだが?」

「直前の用事が少し伸びまして。今ジェロア様もこちらに到着しておられないのです」


流石に一国の主とあらば仕事もたくさんあるのだろうかと、思う僕の横で、アルフはあきれたように息を吐くと手をひらひらと振って椅子に座り込んだ。

僕もそれにつられるように椅子に座り込む。

その様子を見るとダルテは一礼し、そのまま早足に部屋から出て行った。

扉の向こうではスタスタと人が動く音が聞こえるので、忙しいのは本当なのだろう。

雰囲気からして少し待ちそうだと窓の外の空をぼんやりを眺めていると、キョロキョロと部屋の中を見回していたアルフがため息を吐いて、額を抑えているのが見えた。


「どうたの?調子悪い?」

「・・・いや。あまりの豪華さに少し眩暈がしてな」


そう言われ周りを見回すと良くも悪くも貴族らしい内装が目に入る。

壁には絵画がいくつもかけられ、壁のくぼみには壺やらなんやらの調度品が置かれている。下に目を向ければ高そうな絨毯が隙間なく敷き詰められている。

確かにここまでの旅ではここまでのものを見ることはなかった。

しかし、そこはとてつもなく長命なアルフなのだから見たことくらいはあるのではないだろうかと首をかしげているとドアがノックされた。

どうやら準備が終わったようだ。


「まず部屋に入る前に謝罪を。わが主ジェロア様ですが、所要によりご到着されるのがだいぶ遅くなるとのことでした。なので、今回の会合は宰相トラウディク様が担当されます」


謝っているという割には平坦な口調でそう告げると、アルフが特に何も言わないのを確認して目の前の大扉をノックした。


「どうぞ」


扉の奥から聞こえてきたのは随分としわがれた老人の声だった。


「ようこそおいでくださいました。トラウディクと申します」


扉を開けてその奥にいたのも印象違わずといった老人だった。

頭の髪の毛は抜けてはいないものの見たところすべて白く染まり、顔には深い皺がいくつも刻まれている。

腰が悪いのか前かがみの状態で右手では杖を突いている。


「ようこそおいでくださいました。ささ、どうぞお座りください」


そういってトラウディクさんは空いた左手でソファに座るように勧める。

僕たちが座ったのを確認するとトラウディクさんも反対側のソファに座った。


「さて、本日は急な召集となってしまって申し訳ない。しかも結局わが主は不在などという・・・」


もともと下がり気味だった眉をさらに下げて申し訳なさそうにそういうと静かに頭を下げた。


「重ねて無礼をお詫びします。この通り」

「・・・随分と腰が低いな。普通はもう少し高慢的だと思うのだが」


アルフが少し驚いたような顔でそういうとトラウディクさんは頭を上げて苦笑した。


「私は別に貴族の家柄ではありませんから。我が主は・・・まぁ、貴族でしょうな。ああ、この話は内密にお願いいたします」

「あ、ああ。それで本題だが」


トラウディクさんは本題を催促されると顔を引き締めなおした。


「もうお二人にはお分かりの事かと思いますが、私たちはあなた方二人に対して、内戦への戦力協力をお願いしたいと思っています」


内戦への戦力協力。つまるところ“傭兵として雇いたい”ということだ。


「いくつか聞きたいことがある。報酬の事もそうだが、私たちはこちらに来てから日が浅い。もともと山奥で隠遁生活のようなものを送っていた性分だから、この国の現状については全く知らない」

「ああ、そうでしたか。わかりました。仕事の内容についての前にこの国について話すことにいたしましょう」


そういうと、トラウディクさんは咳ばらいをして、話し始めた。


「まず、この国ベディシェル公国は、先代のシヴィア様が旗頭となって、ツィアロス王国から独立した国家でございます」

「先代?」

「ええ。現在の元首はジェロア様でございますが、独立の際にはジェロア様の母君であるシヴィア様が筆頭とされていました。しかし、道半ばで病魔に侵され、お亡くなりになってしまいました」

「それで、今はその息子のジェロアという男がこの国を取り仕切っていると?」

「そういうことになります。・・・少し話が脱線してしまいましたね。この地域ではもともとロアッサ結晶やクレスペーレ鉱などの魔導資源が豊富に採取できました」


そこまで言うと、トラウディクは細く息を吐き首を横に振った。


「しかし、この辺の地域はツィアロス王国の傘下です。王国からは『献上品』という名目で、魔導資源を納めるように命令されていました。実質無償で労働していたようなものです」

「なるほどそれでか。独立してしまえば、国として周辺国家と取引ができると?」

「その通りです。今までは王国が独占していた霊脈地域のうち一つが自由取引が可能な貿易国家になることで、王国以外からの賛同を得て、王国を牽制してもらうという策でした」

「でした・・・か。実際はどうなった?」

「おおむね予想通りでした。王国からの圧力は大きかったですが、それでも事前に進めた準備のおかげで、それほど被害は大きくならずに済みました」

「そうか。まぁ大体予想通りといったところだな・・・それでだ。もう一つ」

「なんでしょう?」


アルフは少し息を吐くと、トラウディクさんを真正面から見据えた。


「勇者が建立したとは?」

お久しぶりですぅ・・・(焦)

いやあのべつにサボっていたとかそういうわけではなくてですね。えっと確かにCODE:Veinを数日で一気にクリアしたりとかしてましたけど別に忘れてたとかそういうわけじゃないんです。リアルの生活がちょっと忙しかったりとかいろいろあってですね本当にすいませんでしたぁ!!!!(早口)

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