二章幕間:残していったもの
「動かないでってば」
「下手糞なんだお前は!イタッ痛いだろうが!もっと優しくしろ!」
僕は今ベッドの上のアルフレイドに手当てを施している。
とは言っても縫合などではなく、包帯を巻いたりなどの非常に軽度なもので、アルフレイドが言うほど痛くなるわけがない。大方恥ずかしいだけなのだろう。
「いいからほら、服上げるか脱ぐかして」
「なっ!?お前さすがにそれは・・・」
「何言ってんの母親の体に興味なんかない、無いわ!」
そもそもこの人は僕が幼いころは平気で僕の目の前で水浴びとかしていた。全裸で。
そんな状態で育ったのに、今更興味なんて沸くはずなんて全くないのだが。
自分から脱ぐのと脱がされるのは~とか何とか言っているアルフレイドは完全に無視して、服を剥ぎ取り手早く包帯を巻きつけると服を上から被せて着せる。
いつもの複雑な服ではなく上下普通の麻の服なので楽だった。
ちなみに僕たちはまだ、ドリオールの街にいる。何せ雪が降ってきてしまったので、街道が使えなくなってしまったのだ。
アルフレイドもいるし、僕もそれほど弱くないのだが迷宮攻略直後ということで、万が一もないように雪がある程度落ち着くまでこの村に滞在しようということになった。
村長さんの気遣いのおかげで村にいる間はある程度の補助が受けられるということで、今は二人そろって療養中ということだ。
「ん?おいペンダントどうした?」
ベッドの縁から立ち上がろうとしてた時後ろで包帯の確認をしていたアルフレイドがそういいながらベッドの上をまさぐり始めた。
ペンダント?と思ったのもつかの間、右手に何かが引っ掛かっているのを見つけた。
簡素な銀のネックレスに、これまた簡素な小さな指輪のようなものがかかっているだけで見た目は完全に安物だ。
屋敷で隠居生活をしていた時も何度も見かけた。アルフレイドが常に首にかけている印象のある品だ。
「これ?」
「ああ、これだこれだ。よかった」
そのネックレスを大事そうに首にかけなおすアルフレイドに疑問をぶつける。
「それ随分前からずっと着けてるけど何?」
「これか?これは・・・昔に仲間からもらったんだ。大事な、あー…形見だよ」
ネックレスに着いている指輪を見ながらそう言う。
確かに形見だというなら、見た目の問題ではないのかもしれないな。と納得したが、それならそれで疑問は残る。
「何で、指につけないの?指輪なんでしょ?それ」
「ちょっと付けられないわけがあってな。ちょっとその・・・細いんだ。指がな」
そういうアルフレイドの指と指輪を交互に見比べると確かにちょっと指輪の穴が大きすぎるかもしれない。
「それで、指輪ねぇ」
「ああ、恥ずかしい話指が細すぎるのは前から変わらなくてな」
確かに、前から思っていたがアルフレイドの指は華奢すぎる。カタナを持って大立ち回りするには不十分なほどに。
「ふぅーん。なるほどねぇ」
なんとなく窓の外の雪を見ながら、納得の息を吐いた。
ハイどうも、KH3DのOSTで限界化した#FF9900です。
眠気で正気に戻っています。
ってことでいつもの幕間です。次回から三章ですね。ちょっと長くなる予定なので、書ききれるか心配です。