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動き出す運命
とある一室。二人の男がソファで会話をしていた。
「…遠路はるばるご苦労様。笠原君」
そう言いながら上座に座る男、柊 祐馬は笑みを浮かべる。
「いいぇぇ。これも仕事ですから」
笠原は愛想笑いを浮かべながら切り返す。
…笠原 一紀。関西でそれなりの成果を上げた男だ。エージェントとしては十分な能力を持っていると聞いている。まぁ一人で任せても良いだろう…。
「疲れている所申し訳ないが…早速最初の任務に就いてもらう」
柊は一つ、咳払いをすると、内容を話し始めた。幾つかの質問が笠原から上がる。
「…はい。了解しました。では最終手段は問わない方向で?」
「ああ。君のやりやすい方法で構わないよ。出来れば目立たない方が無難だけどね」
柊は苦笑いで締める。
「了解です。それでは早速任務に就きます」
笠原は立ち上がると、部屋を後にした。残された柊はソファに沈み込み、大きく息を吐き、
「クセ、ありそうだな…」
一人ごちたのだった。
ばたん。
「…は~。めんどくさ」
ドアが閉まると笠原は呟き、煙草を咥えながらその場を後にした。