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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
2章 キュラスの過去
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SS メリークリスマス

 ま、間に合わなかった~!




 今日は、おまちかねの、クリスマス!

 イエーイ!雪もたくさん降ってるしホワイトクリスマスだね。

 パーティーもしようって言ってたから忙しいかも。まあ、いっか。楽しいパーティーにするためだ、労力は惜しまん!



 一人で盛り上がっていると扉がノックされてシャルがやって来た。


「おはよ、恭珠。クリスマスだね」


「うん、ほんっとに楽しみすぎてヤバい!もうこんなにテンション上がってるもん」


 一方のシャルはまだまだ眠そうだ。遅く寝るから...

 そんなシャルがひとつあくびをした。


「はぁ~...今日なんだけどね。とりあえず飾りつけとかをするんだけ...私たちはちょっと入れ代わりがあるんだ。

 特にキュラスはでっかいツリーの飾りつけをしないといけないらしくてさ。飛べるから」


 うわ~。楽しそうだけど大変だね、飛ぶのって...

 なんかちょっとポメラニアンでもいいかなって思っちゃったよ。狼がいいけど...


「まあ、とりあえず屋敷に来てね。あの~、いつものとこ。私たちもいるはずだからさ。」


「りょうか~い。もうちょっとしたら行くよ」


「うん、待ってるからね。....走ったらダメだよ。凍ってるみたいだったから。」


「大丈夫だよ。もう転ばないってば...たぶん」


 小さな声で付け足したけどシャルには聞こえてしまったみたいだ。笑ってるもん。



「それじゃ~、気をつけて。」


「うん、シャルもね~」



 シャルが出ていってからすぐに私は準備に取りかかる。寒いの嫌だから、コートとマフラーに手袋もだね。



 うきうき鼻唄を歌いながら身だしなみを整える。鏡の前で確認したとき小瓶が目のはしに写った。


「あ、これってまだ使ってなかったんだっけか?...面白そうだから持っていこ!」


 ブーツもはいて準備万端。扉を開けていざ出発!


 ガチャ


 ヒュー




 バタン


「寒くない?こんなだっけかな~。凍ってるのも当然だね。にしても、これで寒いとは.....魔法使うか」



 すぐに温風で体を包む。寒さからは解放されたけど...眠い


 今度こそ外に出る。雪が積もってるから歩くときにサクサク音がして楽しい。

 それにしても、人が一杯いるなあ。こんなに寒いけど、クリスマスだもんね。



「寒いね~」


「ほら」


「わあ、温かい。ふふ、ありがとう」




 まあ、カップルもいるよね~。楽しそうで何よりですよ。


 いや、別に、羨ましいなんて思ってないから!私だってこれからパーティーだもんね~!


「うわ!」


「おっとと、ごめんよ。お嬢ちゃん」


「ああ、いえ。大丈夫です。」



 よそ見してたからかな?ぶつかっちゃった。


 にしてもあの人すっごいたくさん飾り持ってるね~。

 ....あ、キュラス!そう言えば飾り付けしてるんだっけか。それ関係かな~。気になるし、行ってみよ!


 私は広場に向かって走る。人が一杯でちょっと怖かったけどね。まあ、ぶつからなかったし大丈夫っ!


 と思った瞬間に足が滑ってバランスを崩す。

 


 マズ!このままだと転ぶ!氷だから絶対いたいし!

 痛みを覚悟して目をつむっていたけど衝撃はいつまでたっても来なかった。


「大丈夫か?」


 知らない人の声に私は急いで目をあける。そこにはグレーの髪の男性が私をつかんでいた。どうやらこの人が助けてくれたらしい。


「わ、ありがとうございます。すみません、重かったでしょう?下ろしてもらっていいですよ」


「面白いやつだな...ほら」


 そういって立たせてくれた。なんか、この人見たことある気がするんだよね?誰だっけ?

 私が急に黙って見つめていたせいかその男性は首をかしげる。


「どうした?俺の顔になんかついてるか?」


「いや、なんか....」


「探したよ」



 私が言いかけたときふわりと風が吹いて聞き覚えのある声が降ってきた。


「げ、キュラス」


「ゲッとはなに...全く。早くしないと終わらないんだから。あれ、恭珠?何してるの?」


「あ、い、いや。キュラスが飾り付けしてるって聞いたから見に来たんだけど転んじゃって、この人に助けてもらったの」



 キュラスは怪訝そうな顔をしてその人を見る。あ、でも、面白がってるね。目が笑ってる。


「へえ、ノールドが?...なに、風邪でもひいたの?」


「いや、元気だよ!っていうか何でそうなるんだよ!お前は昔から、そうやって...」


「いいじゃん楽しいし。大方事実じゃん」


「いや、その、だからってなあ!」


「あっ」


 反射的に声を出してしまった。思い出した。

 学園で一緒だった騎士志望の面白いやつだ。実力はあるんだけど、性格がこれだからね。


「うん?なんだ、急に声だして」


「い、いえ、何でも~」


「きっと、あのときの模擬戦の失敗を笑ってるんだよ」



 ぶふぉー、キュラス!マジでやめて!笑うから~思い出しちゃう~!


「いや~、あれは伝説だよ。あそこまで派手にこける人、見たことないもん」



 ま、マジでキュラスやめて!今必死に我慢してるんだから~!


「な、おまっ、今さら!それに、何でお前もそんなに笑ってるんだよ!知らねーだろ!」



 ノールドは思い出したのか顔を赤らめる。もう、とばっちりがこっちにも来ちゃったよ。


「変なやつだな、お前。それに、色がローゼと一緒か?それに、なんか似てる気がするしな...」



 ノールド言葉で一瞬空気が凍る。


「なんかな~?ま、気のせいだろ。こんな似てる人がいるなんて不思議なもんだな、世界は」


 うん?もしかして自己完結してくれた?

 だったら助かる。


「ほら、行くよ。あんたがいないと大変なんだから」


「わーったよ。ほら、いきゃいいんだろ」


 ノールドは背中に鳥の翼を生やして飛びたつ。そう言えば、鷹だったね。


「久しぶりに面白かったでしょ。」

「いや、面白かったけどさ~」

「シャルとリザイナが待ってるだろうから早く行った方がいいよ。今度は転んでも助けられないから気を付けてね」


 私の返答を聞く前にキュラスは竜の翼を生やすとノールドと同じ方に飛んでいった。

 っていうか、私のんびりしてる暇ないんだよね。マズイ、リザイナとか怒ってないといいな。




 私はそんなことを願いながら屋敷に向かう。

 走りはしないけど小走りでね。


 でも途中から、めんどくさくなってポメラニアンになって走る。踏まれそうだけど、こっちの方が早いしね。

 いっそいで屋敷に向かうとなかはしっちゃかめっちゃかだった。

 どうしたらこうなる?


「ああ~、恭珠。やっと来た。ちょっと今すごいことになってるんだよね。...とりあえず、木を起こすの手伝ってくれない?」


 シャルについていくともう、すごかった。とてつもない大きさの木が倒れている。そのなかに飾りにまみれたリザイナ、ナイラ、フィナがいた。


「ああ、もう。これとれないんだけど!」


「わ~!フィナそれ引っ張ったらダメ!首しまる!」


「じゃあ、こっち?」


 フィナはナイラを殺しそうだし、ナイラはフィナに殺されそうだし、リザイナはイライラしてるし....ほんと、どうしてこうなった。


 シャルに事情を聴くとツリーの飾りつけをしていたらフィナが自分まで巻き込んでしまったらしい。それで、救出しようとしたら全然とれなくて、そのままバランスを崩してツリーごと倒れたそうだ。


 ...ちなみにシャルは離れたところにいたので被害には遭わなかったらしい。




「じゃあ、急いででかそう。キュラスも忙しそうだったしね」


「うん、了解。でも、三人はどうする?」


「頑張って助ける」














____________________









 いや、パーティーの準備ってこんなに大変なんだね。

 結局キュラスも帰ってきてみんなで終わらせたけど夕方になっちゃったね。まあ、別にいいけど....


 ってなわけで




「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」



 乾杯をする。いや~、楽しい!


 ちなみに今はみんな獣人スタイルでサンタの帽子を被っている。いや、なんか新鮮だね。

 料理とケーキはキュラスが頼んでおいてくれた。さすがにそんな時間なかったから素直に感謝。


 すべて大皿に盛ってあるからみんな自由にとっている。

 なんか、性格出るよねこういうの。そんなこんなで大盛り上がり。

 よし、じゃあこのタイミングでこれを使おうと思う。



「ねえ、みんな。これ使おうよ」


「なにそれ?なんかの薬?」


「変なやつはダメだからね~」


 キュラスとシャルがそう言い、ナイラとフィナは首をかしげている。リザイナは顔を背けていた。


「まあ、まあ、せーので飲むよ!」


 私は急いでグラスについで回る。


「いくよ、せーの!」



 私の言葉でみんな怪しんでいたけど一緒に飲んでくれた。あとで知ったけど賢者のペンダントって毒を無効化するらしい。万能だね。



 飲むとすぐに変化があった。みんなぽんっと煙に包まれる。煙が晴れるとみんな違った獣人になっていた。ふふ、面白いね。


「あ、恭珠。狼じゃん!」


「ほんと?やったね!」


 みんなお互いに顔を見合わせて笑っていた。


 ちなみにシャルは兎、キュラスは狐、リザイナは鷹、ナイラは獅子、フィナは猫だった。

 リザイナによると強く願うとその姿になるけどそうじゃないと性格とかでランダムになるらしい。面白いね。



 特にシャルが兎って...かわいいな。



「ランダムね~。キュラスは狐?なんかわかる気がするわ~」

「いや、なに、どういうこと?シャルこそウサギじゃん。かわいいね~」

「いや、かわいくないし。フィナは猫か。うん、まったりしてるからかもね~」


 フィナはというとまったり笑っていた。


「ナイラとリザイナ先輩は獅子と鷹ですか~?

 う~ん。あんまりイメージが~」

「確かにね~」

「ランダムだからわからないんだよ」

「いや、でも。キュラス先輩は狐ですし、シャル先輩はウサギですよ~」



 その言葉に二人は耳をピクっと反応させる。


「ナイラ、どういう意味かな?」

「私も知りたいな~」



 少し?圧力がかけられていた。


「にしても恭珠は狼か。好きだもんね」

「納得だわ~」

「あれ、別に意外性とか意見とかなし?」

「「「「「うん」」」」」



 その後もみんな歌って踊ってのどんちゃん騒ぎになった。こんなに楽しいのいつぶりだろう?今日はオールナイトで楽しむぞ!











 大騒ぎしていたのもあっという間、疲れてみんな眠ってしまっていた。


 そんななか、動くものが二人。紺と紫のサンタがプレゼントを置いていたことはそのサンタ以外知らなかった。







 ちなみに紫の髪のサンタさんは闇竜の国にも行ってプレゼントを届けていました。


 朝起きてみんな大喜びだったのは言わずもがなです。



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