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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
2章 キュラスの過去
30/62

25、騎士団見学

今回はキュラス(イレーネ)視点です。




 私は今、シュバルツと日程の確認をしている。


「それで今日は、私が出るべき会議などはありますか?」


「そうですね、今日は主な会議などはありませんから大丈夫そうです。後でこの国の現状を簡単にまとめた資料を届けさせますね。」


「わかりました。では、今日は現状把握のためにも回ってみることとします。

 特に鍛え直してほしいところなどはありますか? あれば優先的に行くようにしますが?」


「私も、あまりよくわからないのですが....『影』の方ですね。ですが軍も騎士団も何とも言えません。」


「...そうですか。では夜に何も知らせずに侵入してみます。王を守る者たちの実力を見ましょう。

 その後に、諜報や暗殺を行う部隊の実力を見す。

 それと相談なのですが....『影』の訓練にシャルロッテを手伝わせてもいいですか?私と共にテンバールの『黒梟』を率いているのです。」


「もちろんですが....氷の賢者が『黒梟』の一員だと知られてしまいますよ。」


「別に大丈夫ですよ。たとえ知られたとしても、どうにもできませんよ。その前に、処理されるのが落ちでしょう。私でも五分五分ですね。

 まあ、負けるつもりは毛頭ありませんが....」


「そ、そうなのですか。お願いします。」


 シュバルツが引いているようですね。まあ、影の者たちの手には負えないでしょう…..


「もし余裕があればリザイナには研究所を、シャルロッテには魔法陣や古代語の資料庫などを見学させてあげてください。

 テンバール王国では、自分の実力でそれなりの地位を得ましたからね。ですが、できる範囲でいいですよ。」


「ち、ちなみにどのくらいの地位か教えていただけますか?」

 

「リザイナは薬学研究局局長、シャルロッテは文化魔術局局長ですよ。」


 それを聞いたシュバルツは頭を抱えた。まあ、確かに大臣クラスの権力がありますからね。賢者ですし…


「…..わかりました。助言を乞いながら見てもらうこととしましょう。

 それと、姉上。今日同行させてもらいたい者がいまして....一応すべてにつながりはあるので何かしら聞いてもらって結構ですが....どうですか?」


「ちなみにどんな人物ですか?」


「私の護衛...まあ、側近のイギルです。姉上の技術を学びたいと、そう言っておりました。」


「ふうむ、イギル・ローグ・オーディアですね。あの者はだいぶ強いのでは?」


「はい、師団長たちと比べても引けを取らないような実力です。ですが姉上が来た日

『あのお方は何者なのですか?

 私は一瞬も攻撃を入れられると思いませんでした....。』

と言って頼み込まれたのですよ。

 いつでも任務を優先しているイギルの願いです。かなえてやりたいのですよ。」


 ほう、実力差を見極められるほどですか。王族相手でも警戒を怠らないところや向上心には好感が持てますね。


「もちろんです。では騎士団から先に見に行きますから、訓練の開始時間に行けるように待ち合わせをして行きましょう」


「はい、それでお願いします。」







 予定確認が終わった後、朝食を皆と共にした。

 まったく朝からなんでそんなに元気がいいんだか....。

 その場で全員今日することが決まったのでそれぞれ向かうことにした。


「イレーネ殿下、今日同行させてもらうイギル・ローグ・オーディアです。」


「今日は午前は騎士団を、午後は軍を見るつもりです。あなたも名字を持っているのでしょう。私はオ―ディア卿と呼ばせてもらいます。」


「はっ、承知しました。では、騎士団の現状について少し説明させていただきます。現在の騎士団長はディラ・オルワイズ様です。

 イレーネ殿下がいらっしゃったときの騎士団長ジーエラ様のご子息です。ジーエラ様は引退しており今は領地で過ごしております。」


 ジーエラ・ブル・オルワイズはとても厳しくも優しいお方でしたし、カリスマがありました。

 その息子とはいったいどのような人ですかね。

 ジーエラも引退して領地に行っているだけですから情報は入ってきているのではないですかね?


「わかりました。そろそろ、始まっている頃でしょう様子を見に行きましょう。」


「はっ」








 私たちはまっすぐに騎士団の訓練所へと向かった。貴族たちもいる騎士団の様子を想像しながら向かうと、剣同士がぶつかり合う音が聞こえてくる。


 だが、そこで違和感を感じた。



 音が違いますね、力が入りすぎている。これではすぐに疲れてしまいます。それにしっかりと剣同士が当たっていません…。新しく入った者でしょうか?




 そんな疑問を抱きながら私は訓練所の中に入った。するとそこには打ち合いをしている者たちがいた。

 入口にいた者に身分を伝えたので入るとすぐに指示が飛んだ。


「一時中断!イレーネ殿下がいらっしゃった。敬礼!」


 指示通りに動けていますね。ですが少しバラつきと無駄があります。立ち居振る舞いも今一つですね。

 私はそんな感想を抱きながら声をかける。


「今日は騎士団の見学をしに来ました。私に構わずいつも通り訓練をしてくれて構いません。中断させてしまいましたがどうぞ続けてください。」



 私の言葉に反応してすぐに訓練が再開した。







 すると、一人の男が近づいてきた。


「イレーネ殿下よく来てくださいました。私が現騎士団長のディラ・オルワイズです。今日は何卒よろしくお願いします。」


 言葉と態度は丁寧だった、表面上は…。

 


 うーん、キレがないですね、そして声に覇気がない。ジーエラはもっとキレや覇気がありましたね。

 そして、何よりこちらを見下している。まずここがダメですね。


 私は心の中でこの男、ディラ・オルワイズを酷評していた。もちろん顔や態度には出さないが…

 どうやら、オーディア卿もそれを感じているようでやや顔をしかめている。



「....これより摸擬戦を行います。どうぞ見て行ってください。」


 そうなって摸擬戦が行われた。内容はというと...はっきり言ってひどい。

 技術がある者とそうでない者の差が大きすぎる。そして動きに無駄が多い。これで良く王を守る象徴と言えるな、と思うほどのものだった。



 


 この男は私が何もわからないとなめ腐っていますね。今の摸擬戦もいいところが探さなければ見つかりません。さて、どうしてやりますかね。



 私はふっと笑みを浮かべた。












 名字持ちに関しては貴族と同じようなものです。そんなに多くはありません。



 ちなみにこの作品での騎士団は基本的に王を守る者たちの事です。前線で戦うこともありますが基本的にはやりません。


 一応イギルも騎士団の一員です。王のそばで常に安全を守る護衛騎士というか、側近ですね。


 そんな騎士団が弱いと....笑うしかありませんね。

 ちなみにイレーネ(キュラス)の評価はだいぶと言うか本当に厳しいです。


 ですが、今回は普通の人が見ても「えっこれが騎士?」と思っちゃうくらいの人が結構いると思ってもらっていいです。 

 いや、強い人もいるんですよ....何人か...。



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