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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
1章 賢者との生活
3/62

2、魔力暴走の原因は?

前半は賢者達目線で後半が火丸恭珠目線です。

読み方

火丸恭珠⇒ひまるたいじゅ






 紫の竜…アメジストのペンダントの女性の背に乗り南へ向かっていた二人は近づくにつれてより強く感じられる魔力に顔をしかめる。竜の姿なので表情は分かりにくいがアメジストの女性も同じ心境だった。

 魔力の暴走は想像を絶する大きさで、ゴウゴウと音を立てて燃えている火柱は近づくほどその大きさと熱さに圧倒される。その中心に向かって飛びながら竜の姿の女性は念話で鋭く指示を出す。



『シャルは私と一緒に魔力を抑え込むよ。ほぼ反対属性だから何とかなると思う』


「了解」


「じゃあ私は結界張ってからサポートにまわる」



 素早くお互いにやることを確認し合い、飛び降りるタイミングをはかる。まだ周りに到着している人はおらず平原なので遮る物はない。自由に動けるのでそれだけは幸運だった。



「行くよ!せーのっ!」



 カイヤナイトの女性の掛け声で二人が背中から飛び降りる。高度はそれなりにあったが怖じ気づく様子はなくそれぞれ魔力で衝撃を殺し、魔力柱から少し離れた位置に着地する。

 直ぐにアンバーの女性は結界を張るために走り出し、カイヤナイトの女性は炎を抑えるため魔力柱に向けて氷魔法を放つ。


 アメジストの女性は二人が飛び降りた後、完全な竜の姿から半獣人の姿になり光の魔力を抑えるために闇魔法を放つ。


 最初はとても大きくなかなか勢いが衰えなかった魔力柱も二人の反対属性の魔法を受け、だんだん小さくなってそしてついに消えた。カイヤナイトの女性は魔力柱が完全に消えたのを確認すると魔法をずっと使った反動か脱力感に襲われるがすぐに持ち直す。アメジストの女性は上空から被害を確認した後カイヤナイトの女性のもとに下りてくる。


 周りを動き回り結界をはっていたアンバーの女性は二人に少し目を向け問題なさそうだと確認すると魔法柱が発生していた中心に向かう。



「...魔力を使いすぎた?大丈夫?」



 アメジストの女性が声をかけるとカイヤナイトの女性は余裕だと笑顔を見せる。それを見て半分呆れながらアメジストの女性も笑顔を浮かべる。そして何かを確認しているアンバーの女性の元に向かった。女性の向こう側に何かが見えるが何かまでは分からない。



「リザイナーこの魔力暴走の原因わかった?」


 するとアンバーの女性は険しい表情をうかべながら振り返る。


「その事なんだけど....実際に見てもらったほうがいいか。こっちに来て」


 その様子に疑問を感じながら二人で顔を見合わせる。言われたとおりにアンバーの女性の元に向かうと予想外の物が見え言葉を失う。



「どうやら()()()が原因のようなんだ」



 アンバーの女性の声がやけに平原に響いた。











 そこにはオレンジ色のふわふわした髪をショートカットにした()()が倒れていた。




「魔力暴走の影響で気を失っているみたいだ」


 その言葉に二人は難しい顔をする。先ほどの魔法柱の規模を考えると保有する魔力量は相当な物だ。其れが暴走したとなると今後に影響が出てくるかもしれない。



「この幼さであの魔力を持っている、か....ひとまず城に連れて帰ろう」



 アメジストの女性の言葉にカイヤナイトの女性が頷き少女を抱き上げる。

 そしてここへ来た時と同じように竜の姿になったアメジストの女性の背に乗り城へと戻っていった。






__________________










 目が覚めると見知らぬ場所のベットに寝かされていた。一瞬何かに捕まったのかと思ったが拘束もされておらず、そんな様子ではない。部屋も布団も清潔だ。



「....ここは、どこ?」



 全く状況が分からないため、動揺していると後ろから声がした。



「おっと、目が覚めた?ここは城だから安心していいよ」



 驚いてそちらを向くと、白い修道服のようなものを着た白い髪に赤い目の兎の耳を生やした女の人がいた。首にはダイヤモンドがついたペンダントをつけている。



「あの…あなたは?」


「私はナイラ、ここの責任者っていったらいいかな。あなたの名前を聞いてもいい?」


 

 自分から名乗ることもなく名前を聞いてしまったので私も慌てて自己紹介する。



「私は火丸恭珠(ひまるたいじゅ)です」


「恭珠さん。あなたはどうやら魔力暴走を起こして倒れていたみたいでね。倒れていたあなたを見つけた人がここまで連れて来てくれたの」



 ナイラさんが親切に教えてくれた。にしても記憶が無いけど誰かに助けられたのか…。とりあえずお礼は言いたいけどその人たちはもういないんだろうか。



「そうなんですか。…あのー、その人まだいますか?お礼を言いたいんですけど」


 ナイラさんはそれを聞いて一瞬驚いたように私を見た。でも何も言わずに直ぐに笑顔を浮かべる。



「ええ。でもその人たちはずっと城にいるから今日は休みなさい。あなたの事もしばらく城で様子をみるから」



 ずっと城にいるという点が引っかかった。城にいるって何?働いてるとかそういうこと?でもまだ倦怠感が残っているため考えるのも面倒だと感じてくる。



「はい。わかりました」


 とりあえず了承の返事をするとナイラさんは頷いて部屋を出て行った。

 本当は私が倒れた状況や、助けてくれた人、城の事などいろいろ考えたいこともあったけどさすがに睡魔には勝てない。横になるとあっという間に眠りについた。













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