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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
2章 キュラスの過去
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24、王妃と王太后

 王妃様の名前と言い回しなどを少し変更しました。

 

 みんな顔色が悪くなっている中ノックが響いた。陛下が返事をするとメイドが入ってきた。


「失礼します。陛下、晩餐の用意が整いました。それと、王太后様がいらっしゃっておりまして、晩餐に御一緒したいとのことです。」


「母上が?」


「母上に伝えていたのですか?」


「いいえ、あとで行くつもりだったのですが......今日来るとばれていたようですね。」


「まあ、いいのではないですか?全員揃ってというのも悪くないでしょう。」


「そうですね、母上の分も用意してくれ。私たちもすぐに行く。」


そして立ち上がると私たちに向かって言った。


「今日来てくれたことを祝うために歓迎の晩餐を用意させた。そこで私の妻と、予定にはなかったが....母を紹介したい。」


「もちろんです。お気使い感謝します。」


「へえ、クレナのお母さんか~。どんな人か気になるな~。」


「いや、私は王太后様の方が気になるな~。陛下と、この、キュラスを育てた人だもん」


「あ、それは私も気になります。だってこのキュラス先輩の育ての親ですよ!」


「私は~、クレナのお母さんの方が気になります~!」


 リザイナさんが最初に真面目なことを言ったきり、みんなそれぞれの意見を述べていく。クレナと陛下は苦笑しキュラスさんは呆れている。


「あのですね...まず、あのキュラスというのは何ですか。私をなんだと思っているのですか....。

 それと、私の弟とはいえ一国の王ですよ。もう少し敬意を払ったらどうですか?」


「ははは。姉上、別にいいですよ。今はプライベートな時間ですしね。さ、あまり、待たせてはいられませんから行きましょう。」


 私たちは陛下のあとをついていった。陛下、クレナ私たちとぞろぞろついていくのはかなりシュールな光景だったと思う。


 ようやく大広間に着くとそこにはすでに二人の女性がいて席についていた。一人はキュラスさんより年上に見える黒髪黒目の女性。もう一人はキュラスさんと同じか少し若く見える濃い水色の髪と目の女性だった。



 メイドに案内された席に座ると陛下が言った。

「では、先に簡単に紹介しよう。こちらが私の母だ。」


「マネスト・リーン・ミラルーシェそこにいるシュバルツとイレーネの母、クレナの祖母です。マネストでよろしいですよ。」

 黒髪黒目の女性が言った。落ち着きと威厳が感じられる。


「お久しぶりです、母上。」


「ええ、本当に久しぶりね。あれから元気だった?」


「ええ、母上もお変わりないようでよかったです。」


 キュラスさんとマネスト様の短い会話のなにもお互いを案じるような響きがあり親子の絆が感じられた。


「そして、私の妻フロワールだ。」


「フロワール・ルート・ミラルーシェです。初めまして、皆様。」


「あなたが、シュバルツの妻、現在の王妃なのですね。」


「はい。あの、お義姉様。唐突ではありますが私を王妃として認めてくださいませんか?」


「私の許可は必要ないのでは?もう結婚はしていますし、お母様も認めているのでしょう?」


 キュラスさんはわからないというように聞き返している。確かに式は挙げているしいいんじゃないのかな?


「イレーネ、それは私から説明します。

 実は…今までに王妃に闇龍以外の種族がなったためしがないのです。そのことで意見してくる者も多いですよ。なので、それを認めさせるためには私の力だけでは足りないのです。」


「なので、『漆黒の龍』である私の後ろ盾が必要、そういうことですね。」


「ええ、そうです。あなたを呼んだのはそれもあります。」


「....わかりました。だいぶ、王家をなめている者がいるようですね、いいですよ。

 フロワールそんなに緊張せずとも大丈夫ですよ。別にとって食べはしません。あなたは堂々としていればいいのです。」


 そういってキュラスさんが少し微笑んだ。

 な、なんか印象が変わりすぎて怖い。


「まあ、難しい話はあとにして今は食事を楽しみましょう。賢者の皆さま、クレナ、そして恭珠さん、ぜひテンバール王国の話を聞かせてください。」


「そうですね、ではいただこう。」


 その言葉で食べ始めた。私とクレナ以外はお酒を飲んでいる。料理はとてもおいしかった。それに、マネスト様、フロワール様そして陛下が色々教えてくれたし盛り上げてくれるのでとても楽しいひと時だった。




 食後の紅茶を楽しんでいるとキュラスさんが口を開く。


「さて、シュバルツ、今後に関してですが、私が内政に関われば関わるほど私を嫌悪している者たちが批判してきますよ。それに私があなたを操っているという声も出てくるでしょう。それでも私を内政に関わらせますか?」


 キュラスさんの表情と目はとても真剣だった。 特に目はごまかすことを許さない厳しい光があった。


「はい、それくらい想定しています。この国の王族として、『漆黒の竜』としてこの国を支えてください姉上。」


「....わかりました。それだけのことを考えられるならいいでしょう。それで、私は何から始めればいいですか?」


 少しの沈黙の後キュラスさんが返事を返した。

 頼りにされてるんだ、キュラスさんさすがだな。



「姉上には騎士団、軍など…主に戦闘などについて教えていただきたいのです。

 まあ、見ればわかりますが...ひどいですよ。できれば他の方々にも手伝ってほしいのですが....」


「もちろんいいですが、それではこの国の戦力をさらしているようなものではないのですか?」


 シャルさんの言葉にキュラスさんが答えた。


「別に大丈夫ですよ。陛下に、もしテンバールとミラルーシェが戦争した場合はミラルーシェに味方すると言ってありますからね。私は戦力を知っていますし地形も熟知していますからそんな無謀なことはしませんよ。」


 いやいや、そんな事言っちゃっていいのか?だってテンバール王国の賢者でしょ!

 みんな微妙な顔をしている中、マネスト様が言った。


「まあ、今日はこのくらいにしましょう。皆様お疲れでしょうからゆっくり休んでください。」


 そこで、その場はお開きとなり大広間に残ったのはイレーネ、シュバルツ、マネストだけとなった。



「さて、母上、シュバルツ、私を呼んだ本当の理由は何ですか?」


「あら、ばれていたの?なんでもお見通しってことね。」


「実は、今現在、竜の国にはすべて最強の竜がいます。」


「ええ、知っていますよ。全員揃ったということはどうなるのでしょうね?」


「それなのよ、すべてがそろった今とんでもないことが起こるのでは?と騒がれているの。まあ、一頭だけでも国を滅ぼすような出来事が起こった時もあったものね。それを心配しているので一度戻ってきてもらったの。

 それと二つ目は….フロワールが白か黒か見極めてほしいのよ。」


「…なにか疑う原因が?」


「私はあまり考えたくないのですが、フロワールの親がどうもきな臭いんです。それがどうなのか、もし黒だった場合フロワールが関わっているのか見極めて姉上の率直な意見を聞かせてください。」



「……なるほど、いいですよ。では、こちらからも一つ。

 これはまだ推測ですが私は恭珠が何か隠しているように思うのです。何か、引っかかるのですよ。

...注意深く見てくださいませんか?」


「わかったわ、それくらい大丈夫よ。」

「はい、ですが姉上が気にするなんて、何かありそうですね。」


「ふふ、頼みましたよ。」










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