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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
2章 キュラスの過去
27/62

22、闇竜の国ミラルーシェへ

完成です。

すみません。

 



 いよいよ、闇竜の国へ出発する日。

 実は学園があって、連れていくべきか迷われたんだけど明日から長期休みに入るので休むことにした。


 準備を終わらせてから待ち合わせ場所に行くと、もう先にクレナとリザイナさんが来ていた。

 リザイナさんはいつもの白衣を着ていなくて普段着だった。文字が書いてある白のTシャツにジーンズというシンプルな装いだった。アンバーのペンダントも忘れずにつけている。靴は白いスニーカーだ。

 

 クレナはウエストの部分にリボンがある水色と茶色のスカートに黒地に金の刺繍が入っているジャケットを着ている。いつもは明るめの色の服を着るので何だかいつもと違うように感じる。靴は茶色のスニーカーだ。厚底なので少しクレナの背が高くなったように感じる。髪は下ろしている。


 ちなみに私はジーンズに青っぽい模様入りのTシャツその上にカーキの上着を羽織っている。靴はグレーのスニーカーだ。

 

 今日行くのは私とクレナとシャルロッテさん、リザイナさん、そしてキュラスさんの五人。ナイラさんとフィナさんも来るみたいだけど私たちと一緒には行かないそうだ。


 何だかんだ雑談をしてるとキュラスさんが来た。


 キュラスさんは黒のスキニーパンツに白のワイシャツ。その上に青緑に銀の刺繍が入っているジャケットを着ている。もちろんアメジストのペンダントをつけている。靴は黒いブーツをはいている。いつも通りのヒールがついている。これを見ると私だったら絶対転ぶ、と毎回思っている。髪はクレナ同様下ろしている。

 

 なんか今日のクレナとキュラスさんの服、似てない?


「キュラスも来たね。後は、シャルロッテだけか。あと、なんかクレナとファッション似てない?」

「まあ、闇竜の国に行くしね。シャルはいつも通り遅れてくるんじゃない?」

「シャルロッテさんっていつも遅れてくるんですか?」

「ん?クレナは知らなかったね。待ち合わせ時間の十分くらい後に来るよ。だいたいね。」

「そうなんだよね。少し遅れてくることは見越してるよ。」


 私は前にそんなことがあったので知っている。私は『あれ?時間過ぎましたよね?』って言ってたけどリザイナさんとキュラスさんは『いつものことだから』って全然気にしてなかったんだよね。来てからちょっと小言を言ってたけど....。

 

「確かに、もう時間過ぎてますね。まあ、これを見越しているならいいですが....。」

「あっ、あの猫じゃないですか?」


 みんなが私が指差した方を向いた。

 そこには遠くから走ってくる猫がいた。色はシャルさんそのままだ。


 やっとのことで私たちのもとにたどり着くといつもの姿に戻った。

 服装は、グレーチェックのガウチョっぽいズボンに文字入りの白いパーカー、その上にレザーの上着を羽織っている。もちろん二人と同様にカイヤナイトのペンダントをつけている。靴はクレナと少し似ている黒地に雪の結晶が銀で刺繍してある厚底のスニーカーだ。髪はハーフアップにしている。



「シャルロッテ、いつものことだけど大分遅れて

る。」

「う、ごめん。寝坊したのと準備してたので遅れた。」

「もう、準備は昨日のうちにすればいいじゃん。まあ、今日は結構遠いからもう行くよ。」


 あれ?なんだろうこのやり取りが()()()()感じる。何でだろう?


「恭珠?どうしたの?乗ってないの恭珠だけだよ。」

 クレナの言葉に我に返った。

 私が考えている間にキュラスさんがドラゴンになって皆をのせていたようだ。キュラスさんは龍の瞳でこちらをじっと見ていたようだった。だからか、なんだか落ち着かなかった。



 私が乗るとキュラスさんが

『じゃあ、行くよ。』

と念話で伝えた後、舞い上がった。

 あっという間に景色が遠くなった。風もそよ風くらいでとても気持ちいい。


「あ、そう言えば、闇竜の国までどのくらいかかるの?」

「かなり遠いので大分時間がかかります。」

『この早さで半日くらい?途中休憩も入れるからそのくらい。』

「えっ、じゃあクレナって半日も飛んでこっちに来たの?」


「ううん、何日もかけて旅行感覚で来たの。それに私はこんな早さで飛べないもの。キュラス伯母さんは飛ぶのがあり得ないくらい早いから。」


「えっ、じゃあこの早さも相当な感じ?」

『成竜だったら少しの間は大丈夫でしょうね。でもずっとは無理。私は風も結構得意だからそれも使ってるしね。』


 ここで改めてキュラスさんのすごさを思い知った。


「ほんっと、キュラス伯母さんって規格外だよね~。」

『クレナもそのうちなるんじゃないの?』

「なるかもね。」


 皆で笑った。そこで私はあることに気づいた。

「そう言えば、こんなにスピードを出してるのに私たちはそよ風くらいにしか感じないのも何かあるんですか?」

「私も気になる。」

「なんかの魔法?」


 キュラスさんは今、竜だし飛んでるから表情がわからないけどたぶんあきれてると思う。

『恭珠気づくの遅くない?それに、二人なら仕組みが分かってると思ってたんだけど....クレナはどう?』


「はっきりと断言はできないけど、大方結界でも張ってるんじゃないの?」


『うん、ほぼ正解。でも、ただの結界じゃない。 やり方はその龍にもよるけど、私は風の魔法と結界を組み合わせた感じにしてる。ただの結界だと無風になっちゃうから空を飛んでる感じがしないからね。』


「ちなみに、なんにも無しだと、どうなるんですか?」

『...やってみる?』

 

 あ、まずい。キュラスさんの声が笑ってる。

「ちょ、待って。だめだからね」

「キュラス!無理だよ!」

「みんな落ちるから!」

『いくよ~!』

 

 私が口を挟む前に耐えられないほどの暴風が私たちを襲った。

「「「きゃあああああ!!!!!」」」

「皆落ちてんじゃん!」

『あははははは!!!!』

 この時、キュラスさん以外の全員の声が揃った。

「「「「この、鬼畜ーーーー!!!!」」」」

 クレナはすぐに竜になり私を捕まえた。

 シャルさんとリザイナさんは急旋回しながら急降下したキュラスさんに助けられていた。


 全員がキュラスさんの背中に戻った時は息切れを起こしていた。


『まあ、こんな感じになるね~』

「ちょ、恭珠。もうキュラスに、あんなこと言っちゃだめ」

「本当に、死ぬから。」

「いや~うん、私は大丈夫だけど…‥ね。」


「えっ、ちょっと、なんで私なんですか!そこはキュラスさんでしょ!」


「「「言わなかったら、やらないから!!」」」

『だそうだよ。恭珠。』

「やっぱ鬼畜ーーー!!!」


『はははは。まあ、そろそろ半分くらいに来たから一度休憩にしよう。』



 下を見みると今まで騒いでて気づかなかったけど下に町が広がっていた。

「町の人たちは竜を見て驚かないんですか?」

『見えないような魔法を掛けてるよ。』


 キュラスさんは開けたところに降り立った。

 人型に戻るとキュラスさんは少し伸びをした。


「ああ、少し。早すぎたかな?まあいいか。これから三十分くらい休憩をとるよ。町に行って何か買ってきてもいいよ。集合はここね。じゃ、私はちょっと寝る。」

 全部言い切るとキュラスさんは羽を生やしてどこかに飛んでいった。



「寝るんかよ!まあ、町の方にいこっかな~。」

「私も行くよ。」

 

 そう言って二人はさっさと行ってしまった。

「クレナも行かない?」

「うん、いいよ。」

 私たちも町に向かって歩き出した。

 

 そこは、王都とはまた違った雰囲気の賑やかなところだった。露店では新鮮な果物等が売られていた。


「いいね~。なんか王都とは違った感じで賑やかだね~。」

「ほんと~。いろいろ見てみようか。」


「あ、これ飲んでみない?」

 クレナが提案したものは果物のジュースだった。何だか、いろんな種類がある。


「いいね~。私はこのバーズのジュースにしようかな~」

「う~ん。私はクーラのジュースにしようかな~」


 私は赤色のクレナは黄緑のジュースを頼んだ。

 

「ん、美味しい!さっぱりしてて好きかも。」

「う~ん。甘い!」


 すごくおいしかったけどちょっと甘すぎかも。ちょっとしょっぱいものが食べたいかな?


「ね~、クレナ~ちょっと他のものも見ない?」

「いいよ~」


 クレナはまだジュースを飲んでいたけど一緒に来てくれた。


「あ、これ美味しそう!クレナはどう?」

「私はまだこれがあるからいいかな」

「わかった~。これくださ~い!」


 

 その後もいろんなお店を回った。いろんなものがあったな~。

「恭珠、ほどほどにしときなよ?」

「大丈夫だよ~!」



 クレナに言われながらもいろんなものを食べた。アクセサリーのお店を見たときにおしゃれなイヤリングがあった。

 そこで私とクレナは色違いのわっかのイヤリングを買ってつけた。

 私が赤でクレナが金だ。

 なんか、お揃いって感じで嬉しい。


 そんな感じでいろいろ見ているとあっという間に時間が過ぎてしまった。

 



「クレナ~苦しい~!」

「だから言ったじゃん。聞かないで食べちゃうんだから、自業自得。」

「リザイナさ~ん。クレナが冷たい~。」

「注意を聞かないのが悪い。」

「まだ、昼前なのに食べ過ぎはだめだよ、恭珠。」

「ちょっとは考えときなよ」


「えーー!皆、厳しいーーー!」

「ああ、もう行くよ。」


 そう言うとキュラスさんは龍の姿になった。

『恭珠、つくまで寝てていいよ。』

 キュラスさんがそう言ってくれたのでお言葉に甘えてすぐに寝てしまった。





「恭珠、もう着くよ~!」

 どのくらい寝たんだろう?私はクレナの声で目覚めた。

『もう着くよ。周りを見たらわかる』


 キュラスさんにそう言われたので下を見ると大きな都市があった。そこからは竜の姿で飛んでいる者や羽が生えた人型で飛び回っている者もたくさんいた。



「すごい!」

 私はあっという間に目が覚めた。

『さあ、降りるからそのままだと落ちるよ』


 キュラスさんに言われたのでもとの位置に戻ると地面に降り立った。


 門の前には真っ黒な髪と目を持つどこかクレナの面影がある男性がいた。そしてその斜め後ろにも黒の髪と目を持つ男性がいる。前に立っている人より少し年上に見える。


 私たちがキュラスさんから降りてキュラスさんも人型をとると前に立っている男性が笑顔で言った。


「ようこそ、闇竜の国ミラルーシェへ」








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