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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
1章 賢者との生活
20/62

16、恭珠の学園生活



 その後も私たちは授業をこなしやっとお昼休みになった。

 今日の授業を受けて思ったことがある。賢者たちが私に教えてた内容って専門的なところも少しやっていたし何より教えてもらった内容が授業より進んでいるのだ。

 まあ、魔法学のことは実践練習ばっかりであんまり教えてもらってないけど…


 もう、しばらく勉強しなくてもテストとか楽勝じゃんと思う感じに‥‥



「どうしたの?恭珠?なんかいいことでもあったの?」

 クレナにとってはいいことがあったように見えてるらしい…まあ、実際いいことだけど


「ああ、実はね今日の授業のずっと先を賢者たちに教えてもらってたってことに今気づいてね。テストとか楽勝じゃんって思ったの」


「へえ、そうなんだ‥‥でも残念だね、記述のテストは年三回で今習ってる内容はずっと先のテストで出るんだよ。だから、今はよくてもこれからはしなきゃね」


「ええ~、そうなの?じゃあ、ダメじゃんせっかく勉強さぼれると思ってたのに」


「しっかり、やりなさい!ところで恭珠、さっきから気になってたんだけどなんでそんなに賢者と仲良いの?しかも勉強も教えてもらってんの?」


 そういえば説明してなかったな…

 でも勝手にいいのかな?ま、いっかクレナだし大丈夫でしょ。


「ええ~っとね~、まず私ね草原で一回魔力暴走を起こして超巨大な炎と光の魔力が合わさった火柱?みたいなのを起こしちゃったんだよね。それで、その様子をみてて魔力暴走を抑えるために来てくれたのが3人の賢者リザイナさんとシャルさんとキュラスさんだったんだよね。

 その後城に行ってナイラさんとフィナさんに会ったんだ。それで....」



 私は賢者たちに教えてもらった状況も混ぜながらこれまでのことをクレナに話した。すべて話し終わるとクレナは



「そうだったんだ、それにしても魔力暴走が起こるなんて、大丈夫だった?」


「うん、まあそれがあったから賢者たちに会えたんだけどね」


「ふふ、そうかもね‥‥ねえ恭珠、いま私にした話はあまりたくさんの人にしない方がいいと思う。たぶんあまりよくないことになるから」


「うん、そうだね。クレナの言うとおりにするよ。じゃあこれは私たちの秘密ね」

「わかった、二人だけのね」


 そう言って私たちは笑い合った。








――――――――










 午後からの授業は薬学だった。


「今日の授業は土門樹希(どもんいつき)先生に行っていただきます。」

 初老の男の先生が言った。


「では今日の授業は皆さんで姿を変える薬をつくってみましょう。」

 樹希先生が言った瞬間

「「「やっったーーーー!!!!」」」


と周りから声が上がった。


 樹希先生は笑いながら

「みんなこの薬をつくるときは一際楽しそうですね。作り方はこの本に書かれているので見ながらやってください。皆さんに配りますね。本を見てもわからなかったりしたときは遠慮なく私を呼んでください。それでは二人組をつくって鍋のところに行ってください」


 するとみんな一斉に二人組をつくり鍋の置いてある所へ向かうとさっそく作り始めた。私はもちろんクレナと一緒だ。



「この通りに作ればいいんだよね」

「うん、だけど私こういうの苦手なんだよね」


 クレナがそう言った事に私は驚いた。

「え、そうなの?クレナって何でもできそうなイメージがあるんだけど‥‥」

「そんなわけないじゃん!なんだろうな…こういうしっかり計ってやらないといけないのがどうしても不安なんだよね」


すると、樹希先生がそれを聞いていたようで


「別に失敗しても大丈夫ですよ。この薬ならあまり危険なことにはならないですからね。それに…」


 樹希先生が続きを言おうとしたとき扉が開いて舞風蘭夢(まいかぜらむ)先生と風水黎夜(かざみれいや)先生が入ってきた。

するとそれを見た樹希先生が


「蘭夢先生と黎夜先生に聞いてもかまいませんよ。時間はたくさんあるので落ちついて取り組みましょう」

と言っていた。


 私はこれならいけるかもと思いながら薬をつくり始めた。






 だがやってみるとなかなか難しい…

 周りを見てみるといたるところでボンッという音がして小爆発が起こったり、中身がどろどろのスライムみたいになったりと失敗している人が多かった。

中でも一番ひどかったのが



「なにこれ、どういうこと?」

「色が変わるんだけど?」


 遠くから見てみると鍋から煙が上がっているのだが色がすごい

 赤、青、緑、紫、黄色、ピンクなどと次から次へと色が変わっていくのだ。


 な、なんかきれいだなと思っているとそれをつくった男子のペアが

「じゃあ、最後に人魚の涙を入れるぞ~!」


と言って最後の材料を入れたのだが、その瞬間鍋の中からすさまじい閃光が迸ったのだ。

 目を開けてみると鍋の周りに三人の先生がいて結界を張っていた。それを解除すると樹希先生と蘭夢先生が


「全員けがはない?」

「とっさに結界張ったけど平気?」

などと声をかけてくれた。


 その時鍋の中を見ていた黎夜先生が


「蘭夢、樹希、ルドラの葉っぱ持ってない?」

と言っていた。


 すると樹希先生が


「あ、待って倉庫にあるかも」

と言ってどこかに走っていった。


「黎夜、どうしたの?ルドラの葉なんて何に使うの?」

「これさ、もしかしたら透明薬かもしれない」


 え、透明薬?姿を変える薬じゃなくて?と、思っていると樹希先生が戻ってきたようで


「黎夜、持ってきたよ。いったい何に使うの?」

「樹希、それこの中に入れてみて」


 樹希先生が鍋の中に葉を入れると液体に触れた瞬間葉が一瞬にして溶けたのだ。


「やっぱり....樹希、これ透明薬じゃない?」

「うん、だと思う。

 でも本には姿を変える薬の作り方が書いてあるはずなんだよね」


 すると、黎夜先生が


「ええっと、今できた薬なんだけど姿を変える薬じゃなくて透明になる薬なんだ。一滴だけで透明になれる」


 それを聞いた瞬間周りが一斉に

「「「ええええーーーーーー!!!!」」」

と、声を上げた。


「やってみる?」

と黎夜先生が言うと


 ポケットから一枚の紙を取り出した。そしてそこに一滴薬を垂らすとサッと薬が広がり紙が透明になってしまったのだ。これにはみんな驚いたようでいろんな反応をしている。



 すると考えるのをやめたらしい樹希先生が

「よし、じゃあこのペアは今度はもう一回姿を変える薬をつくってみよう。それであと三十分くらいしたら姿を変える薬と透明薬を実際にみんなで使ってみよう」


と、提案した。するとみんな口々に


「賛成!!」


と、声を上げていた。




 その後はハプニングもあったけどみんな姿を変える薬をつくることができた。

みんなで試してみたんだけど本当に面白かった。



 授業の最後に樹希先生が


「みんな今日はうまくいって良かった。薬は安全に作ったり使ったりすればとても良いものだが間違えばとても危険なものになる。それだけは忘れずにね!」


と、全員に話をして一日目は終わった。












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