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賢者と魔法が下手なポメラニアン  作者: 霧丈來逗
1章 賢者との生活
14/62

10、キュラスとシャルロッテの仕事

今回は前回の最後にあったキュラスと

シャルロッテの『仕事』話です。


前中半⇒キュラス目線

後半⇒?目線



 

 



「それで、どこの国へ潜入させていたのですか?」


「カイテール王国だ。最近動きがあったため、警戒はしていたのだがな。最後の報告は帝国から使者がやってきたという内容だ」


「何人で行かせたんですか?」


 シャルが淡々と問いかける。


「三人だ。一人はこの事を知らせに戻って来たのだが二人は未だに捕らえられている。地下牢にいるそうだ」


 私はその言葉に驚きと違和感を感じる。シャルも同じことを感じたようで怪訝そうな顔をしていた。


「まだ殺されてはいないんですか?」

 

「それが、新しく来た(報告にあった)者たちが王に進言して拷問だけにとどめているそうだ」


「こちらに逃げてきた一人は拷問を受けていないのですか?」


「逃げてくるまでに多少の怪我は負っていますが、それほどひどいものではないようです」



 宰相が神妙な面持ちで答える。それ以上の情報は無いのだろうが、奇妙な点が多すぎる。不安は残っていたものの私たちは準備に取りかかることとした。





___________






 指令を受けてすぐに敵国に向かい、私たちは城に降り立つ。もちろん姿は見られていない。

 シャルと私の他に三人連れてきているが全員真っ黒なフード付きを身にまとっており、フクロウをモチーフにした仮面を付けているため見分けはつかない。そのローブには大量の『暗器(あんき)』が仕込んであるため戦闘になっても問題ないようにはなっているが、出来るだけ無駄な騒ぎは避けたい。

 



 

「行くよ」


 

 シャルの方を見て一つ頷く。そのまま城に潜入していき、地下牢を探す。城の間取りを頭に入れてきたとはいえ邪魔が入ると思っていたが案外すんなりと地下牢にたどり着く。様子を伺うと捕らえられている二人を見つけた。ひどい拷問を受けたのか身体中傷だらけになっている。さすがに見張りが立てられてるので、被害は最小限で見つからないように済ませてしまいたい。合図を送り、私とシャルで見張りを処理する。声をあげる暇も無く事切れた騎士を静かに端に寄せる。その間に残りの三人が牢を開け、二人の拘束を外していく。意識を失っているだけのようでまだ生きている。


 そのまま運びだそうとしたが運悪く複数の足音が聞こえてきた。ここで騒ぎになるのはまずいのでとりあえず騎士を物陰に隠し、全員身を隠す。やってきた人物達は拷問をしに来たようでいくつかの器具を手にしている。はじめはそのまま進んでいた一行だったが見張りがいないことに気づいた一人が急いで牢に駆け寄る。



「おい!いなくな…」


 驚愕の表情で知らせようとする男にシャルが襲いかかり血の花が舞う。それを見て動揺した一行の後ろから私が襲いかかり、シャルと一緒に挟み撃ちにする。とっさのこととはいえ相手も騎士なので剣などで応戦するが意に介することなく一人、また一人と倒れていく。最後に残った一人はすでに戦意を喪失し、膝をついていた。



「あ…悪魔ども」


「懐かしい。そんな風に呼ばれてたこともあったなー」


「氷の悪魔と闇の悪魔だっけ?安直な名前」


 懐かしがるシャルにため息をつきつつ奪った剣を一閃する。とりあえず時間稼ぎは出来たがこれ以上気づかれる前に撤退する必要がある。私たちが交戦している間に残りの三人が拘束を外し、拷問を受けていた二人を担いで牢から運び出す。



「よし。目的は達成したから帰ろうか」








___________







 シャルとキュラス達一行が姿を消してから少し後、地下牢に五人が現れる。



「うわ~、みんな派手にやられてるね」


 少し引いている一人に別の一人が楽しそうに答える。


「ミラ、あの子たちヤバくない?普通にやらかしてってるよ!」

 

 ミラと呼ばれた一人は少し落ち込んだ様子だった。


「うん、タディオンの言った通りだね。これはボクたちの責任だ」


「いやいや、これは俺らのせいじゃないって。あれは二人の個人的なものだよ」


 明らかに肩を落としているミラをフォローするように言葉をかける一人は神妙な面持ちだ。


「ミラ、私もルカに賛成だよ。あんな面があることさえ知らなかったじゃん」


 牢の中を確認していた一人がため息混じりにつぶやく。


「まあ、うちもアルカネットの言ってることに近いかな。あんなことやってるなんてうちらは知らなかったんだから」


 騎士達の遺体を確認していた一人がやれやれと首を振りながら声をかける。すると先程神妙な面持ちをしていたルカと呼ばれた一人がにやっと笑う。


「お、グローリアがまっとうなこと言った。めずらしー!」


「お前そういうこと言うな!せっかくいいこと言ったのに!」

 

 からかいを含んだ一言にグローリアと呼ばれた一人が憤慨する。ルカは楽しそうに笑うだけだった。


「あ~あ、伝言持たせて国に返してあげようと思ったけど遅かったか…」


「まあ報告は後ですればいいし、返す手間が省けただけいいじゃん。あ、でもなんか責任追及とかされるかもしれないからそこはミラよろしく」


「なんでボクなわけ!そんなこと言わないでアルがやってよ!」












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