テレビを見るとき
友人の山田君の話
山田君はハーフかと思うぐらいホリが深く色黒で背も高くさぞやモテるんだろうなという容姿をしていた。
それでも人並みにアニメを見ていたらしく、彼とは宇宙船サジタリウスネタでよく盛り上がったものだ。
そんな山田君は大学生のころ一人暮らしをしていた。大学に入ったのを機に親に無理を言ってアパートを借りたのだ。モテるであろう山田君はきっと彼女を連れ込むことを念頭に置いていたのだろう。
そんなモテるであろう山田君は実は根は真面目なので家に帰るとすぐその日の講義の復習をしていた。
復習やレポートなどが終わり、風呂とご飯を済ませて、テレビを見てくつろぐころには、いつも午後九時を回っていた。
そうしてテレビを見てくつろぐときいつも幽霊と思えるぼんやりしたものが出てきたそうだ。
場所は自分とテレビとの間の場所で、とはいえ高さの違いから見るのには邪魔にならないので電磁波の影響でなんか出てくるのかなとさほど気にせず過ごしていた。
とはいえテレビ見るときは必ず現れていたのでやはりなんとなく気にはしていたらしい。
何しろお茶を入れたりトイレに行ったりしてテレビとの位置を変えてもちょうど間に移動しなおすのだからそれは気になるだろう。
ちなみにその部屋で同棲を始めてからは、幽霊のようなそのぼんやりしたものが現れることもなくなったらしい。
山田君が一人寂しさから幽霊を見るようになったのか、それとも山田君が彼女と一緒に住んだせいで幽霊が失恋でもしたのか、はたまたテレビ好きの幽霊が彼女の不思議な力で(そんなものがあるのかは知らない)追い出されたのか考えるだけでも楽しいものである。